幻想郷に存在する真っ赤な館、紅魔館。そこにはいつも主のために一生懸命に働く人間の姿があった。



　時間は三時。全体真っ赤な紅魔館にも太陽が差し込み、主である吸血鬼《レミリア・スカーレット》がもっとも嫌いな時間でもある。
　そんな時間だが、いま僕はそんな主のいる部屋の前に来ている。僕は静かにドアを三回叩いた。

「お嬢様、ナナシです。入ってもよろしいでしょうか？」

「入りなさい」

　レミリアから許しをもらいなるべく音を立てずに部屋の中へと入る。紅魔館に来てそれなりに日が経つのでこういったことはもう慣れてしまった。

　僕はゆっくりと部屋を歩く。そしてレミリアの隣に立って手に持っているものを静かに置いた。

「お嬢様、今日のデザートはショートケーキとなります」

「いつもありがとうね、ナナシ」

　そういってレミリアは僕が置いたフォークを持った。
　そう、この時間はレミリアのおやつの時間なのだ。レミリアは目の前のショートケーキを嬉しそうに食べ始めた。