「嫁がほしい」

目の前のケバい男が唐突につぶやいた。

「その辺で見繕ってらしては？
あなたならよりどりみどりでしょう。ドフラミンゴ」

どうせ、いつもの思いつきだろうと適当に返事をする。
しかし彼は眉間に深くシワをよせた。

「いや、誰にするかは決めてある」

「では、プロポーズしてらしては？」

「今したつもりだったんだがな」

…さっきのあれはプロポーズだったのか。
雑すぎるでしょ。

「わたしには『アイスが食べたい』くらいにしか聞こえませんでしたが」

「フフフ、しかたねえな。


アリス。おれの嫁になれ」

「承知いたしました」

「……お前も大概だな」

「お互い様でしてよ」

アイスと違って、わたしは彼を受け入れてしまっているから。
わたしはアイスよりも容易く彼の手中に落ちていく。