with you
お名前をどうぞ、レディ
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「よお、カズヤ。久しいな」
「お久しぶりでございます」
それは半年振りの再開だった。
しばらく七武海の召集がなかったのだ。
正直、先日誘われたり噛まれたりセクハラされたりと
彼からの接触に困惑していたのでありがたかった。
わたしはまだ彼に対してどう接していいかわからないままだったから。
「ワシを無視するとはいい度胸だな」
「ああ、いたのか」
憤然とするガープ中将を尻目にクロコダイルはわたしに近寄る。
「ガープ、こいつ借りるぜ」
「駄目だ」
「ありがとよ」
「ちょっ!!」
断るガープ中将も、わたしの意思も、何も聞かずに彼はわたしの腕を取り
引きずっていく。
ガープ中将も渋い顔をしながらも引き止めてはくれない。
わたしの迷いや悩みを見抜いてのことだろうか。
「クロコダイル。どこへ行くおつもりです。
わたしは仕事中ですよ」
「だからてめえの上司にちゃんと許可を取ったろうがよ」
あれは許可を取ったとは言わないわよ。
全く持って納得がいかない。
彼に連れ去られて満更でもない自分はもっと納得がいかない。
「ここは景色がいいな」
そんなことを言いながら周りを見渡すクロコダイル。
確かにここはマリンフォードの湾頭。
あたり一面に海が広がっている。
「あなたも、やはり海がお好きなんですね」
「何をくだらないことを。おれは海賊だぞ」
「スナスナの能力者は水に弱いし、そもそも悪魔の実の能力者は海を苦手としていますからね。
そんなあなたは海はお嫌いかと思っていました」
「海賊なんだ。海に嫌われたぐらいで海を嫌う訳ないだろう」
愛おしそうに海を見つめるクロコダイル。
その瞳にわたしは写っているのだろうかなんて、それこそくだらないことを思う。
なんでそんなことを思ってしまうのだろう。
「おれの中で、てめえはずいぶん大きくなってしまったようだ」
クロコダイルが突然こちらに向き直る。
「なんですか、いきなり」
「カズヤが今気にしていただろう。おれのことを」
内心を言い当てられて焦る。
「逆だ。おれが、お前を気にしていた。気にしないではいられなかった。
だからお前の考えに気づかずにいられなかった。
それだけだ」
「あなたは海賊。わたしは海軍ですよ」
「だからこそだ。おれは海賊だからこそ欲しいものは奪ってでも手に入れるんだ。
おれはお前が欲しい」
「…っ…」
真剣で真摯で迷いのない告白。
思わず彼の胸元に飛び込みたい衝動に駆られる。
それをなんとか理性で抑える。
お願いだから、それ以上わたしを誘わないでほしい。
これ以上ないほどに、欲を我慢できないわたしがいる。
「そんな顔をするな。お前の気持ちが確認できた。
今はそれで我慢しておいてやるよ」
今のわたしは一体どんな顔をしていたというのか。
クロコダイルが一瞬沈痛そうな顔を浮かべてわたしの頭を抱いた。
そんなに力はこもっていないはずなのに、まったく抗えない。
このままいられたら良いのに。
そう思ってしまう自分を、もう否定できない。
ぼたぼたと見苦しい涙がこぼれた。
自分の言葉が自分に突き刺さる。
"あなたは海賊。わたしは海軍"
「ううっ…」
「悪かった。ほら、泣くなお嬢様。
そろそろ戻るぞ。ガープの野郎がが心配するぜ」
そう言ってクロコダイルはわたしの頬を不器用に拭い、もう一度軽く抱きしめる。
永遠という言葉が腹ただしい位の一瞬の後、クロコダイルはわたしの手を取り
マリンフォードへ向かって歩き出す。
決められない。わからない。
わたしは、わたしは彼とどうなりたいのだろう。
ああ、ダメだ。
"彼と"居ることを前提としてしまっている時点で、わたしはもうダメなんだ。
視線を上げれば、そこには大きくていかつくて、逞しい背中があった。
その背中が欲しいと思ってしまった。
わたしの左手を見れば、そこには節くれだった太くて長い指と、厚くて熱い掌があった。
その手を離さないで欲しいと思ってしまった。
もうダメだ。
降参しよう。
わたしは、彼をも求めている。
どうしようもなく、彼を求めてやまないわたしです。
「クロコダイル」
「何だ」
まだ、上ずる声で彼を呼べば彼はすぐさまわたしを振り返る。
「わたしも、あなたと同じなんです」
「カズヤ」
「でも、わたしはあなたと違うのです。
あなたのように欲しいものを欲しいと言えないんです」
「カズヤ、お前…」
「だから、ごめんなさい」
「謝るんじゃねえ。おれはお前を諦めない。
だからお前もお前の欲しいものを諦めんな」
「ありがとう。クロコダイル」
「ふん。昼飯にでも行くぞ」
「ええ」
気が付けば日が高くなっていた。
わたしのお腹が音を立てる。
「…こんなときまで情緒のねえ中将補佐官殿だ」
「う…。すみませんね、色気のない女で」
「クハハ。ほら、行くぞ」
彼はいつもの笑みでわたしを引く。
わたしはいつもの抵抗を諦めて彼に引かれる。
いつか、いつか互いのしがらみがなくなったらわたしをさらってください。
いいえ間違えました。
いつかわたしがもっと強くなったら、貴方の隣に置いてください。
わたしがあなたを諦めずに済むくらい強く慣れたなら。
「お久しぶりでございます」
それは半年振りの再開だった。
しばらく七武海の召集がなかったのだ。
正直、先日誘われたり噛まれたりセクハラされたりと
彼からの接触に困惑していたのでありがたかった。
わたしはまだ彼に対してどう接していいかわからないままだったから。
「ワシを無視するとはいい度胸だな」
「ああ、いたのか」
憤然とするガープ中将を尻目にクロコダイルはわたしに近寄る。
「ガープ、こいつ借りるぜ」
「駄目だ」
「ありがとよ」
「ちょっ!!」
断るガープ中将も、わたしの意思も、何も聞かずに彼はわたしの腕を取り
引きずっていく。
ガープ中将も渋い顔をしながらも引き止めてはくれない。
わたしの迷いや悩みを見抜いてのことだろうか。
「クロコダイル。どこへ行くおつもりです。
わたしは仕事中ですよ」
「だからてめえの上司にちゃんと許可を取ったろうがよ」
あれは許可を取ったとは言わないわよ。
全く持って納得がいかない。
彼に連れ去られて満更でもない自分はもっと納得がいかない。
「ここは景色がいいな」
そんなことを言いながら周りを見渡すクロコダイル。
確かにここはマリンフォードの湾頭。
あたり一面に海が広がっている。
「あなたも、やはり海がお好きなんですね」
「何をくだらないことを。おれは海賊だぞ」
「スナスナの能力者は水に弱いし、そもそも悪魔の実の能力者は海を苦手としていますからね。
そんなあなたは海はお嫌いかと思っていました」
「海賊なんだ。海に嫌われたぐらいで海を嫌う訳ないだろう」
愛おしそうに海を見つめるクロコダイル。
その瞳にわたしは写っているのだろうかなんて、それこそくだらないことを思う。
なんでそんなことを思ってしまうのだろう。
「おれの中で、てめえはずいぶん大きくなってしまったようだ」
クロコダイルが突然こちらに向き直る。
「なんですか、いきなり」
「カズヤが今気にしていただろう。おれのことを」
内心を言い当てられて焦る。
「逆だ。おれが、お前を気にしていた。気にしないではいられなかった。
だからお前の考えに気づかずにいられなかった。
それだけだ」
「あなたは海賊。わたしは海軍ですよ」
「だからこそだ。おれは海賊だからこそ欲しいものは奪ってでも手に入れるんだ。
おれはお前が欲しい」
「…っ…」
真剣で真摯で迷いのない告白。
思わず彼の胸元に飛び込みたい衝動に駆られる。
それをなんとか理性で抑える。
お願いだから、それ以上わたしを誘わないでほしい。
これ以上ないほどに、欲を我慢できないわたしがいる。
「そんな顔をするな。お前の気持ちが確認できた。
今はそれで我慢しておいてやるよ」
今のわたしは一体どんな顔をしていたというのか。
クロコダイルが一瞬沈痛そうな顔を浮かべてわたしの頭を抱いた。
そんなに力はこもっていないはずなのに、まったく抗えない。
このままいられたら良いのに。
そう思ってしまう自分を、もう否定できない。
ぼたぼたと見苦しい涙がこぼれた。
自分の言葉が自分に突き刺さる。
"あなたは海賊。わたしは海軍"
「ううっ…」
「悪かった。ほら、泣くなお嬢様。
そろそろ戻るぞ。ガープの野郎がが心配するぜ」
そう言ってクロコダイルはわたしの頬を不器用に拭い、もう一度軽く抱きしめる。
永遠という言葉が腹ただしい位の一瞬の後、クロコダイルはわたしの手を取り
マリンフォードへ向かって歩き出す。
決められない。わからない。
わたしは、わたしは彼とどうなりたいのだろう。
ああ、ダメだ。
"彼と"居ることを前提としてしまっている時点で、わたしはもうダメなんだ。
視線を上げれば、そこには大きくていかつくて、逞しい背中があった。
その背中が欲しいと思ってしまった。
わたしの左手を見れば、そこには節くれだった太くて長い指と、厚くて熱い掌があった。
その手を離さないで欲しいと思ってしまった。
もうダメだ。
降参しよう。
わたしは、彼をも求めている。
どうしようもなく、彼を求めてやまないわたしです。
「クロコダイル」
「何だ」
まだ、上ずる声で彼を呼べば彼はすぐさまわたしを振り返る。
「わたしも、あなたと同じなんです」
「カズヤ」
「でも、わたしはあなたと違うのです。
あなたのように欲しいものを欲しいと言えないんです」
「カズヤ、お前…」
「だから、ごめんなさい」
「謝るんじゃねえ。おれはお前を諦めない。
だからお前もお前の欲しいものを諦めんな」
「ありがとう。クロコダイル」
「ふん。昼飯にでも行くぞ」
「ええ」
気が付けば日が高くなっていた。
わたしのお腹が音を立てる。
「…こんなときまで情緒のねえ中将補佐官殿だ」
「う…。すみませんね、色気のない女で」
「クハハ。ほら、行くぞ」
彼はいつもの笑みでわたしを引く。
わたしはいつもの抵抗を諦めて彼に引かれる。
いつか、いつか互いのしがらみがなくなったらわたしをさらってください。
いいえ間違えました。
いつかわたしがもっと強くなったら、貴方の隣に置いてください。
わたしがあなたを諦めずに済むくらい強く慣れたなら。