with you
お名前をどうぞ、レディ
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「はあ…」
つくともないため息がこぼれる。
なんかしんどいなあ。
なんかだるいなあ。
原因はいたく簡単で、雨が降っていて肌寒くて心細い。
ただそれだけ。
気圧の変化で調子が狂う。
そのためわたしは船長室のベッドに腰掛けてぼんやりしていた。
「おい、カズヤ」
「お呼びかしら?」
機嫌の悪い声に顔を上げれば海図とにらめっこをしていたはずのクロコダイルがわたしの正面に立っていた。
「いかがなさったの?」
「何ため息なんぞついてやがる」
「気圧が低くてだるいのよ」
「そうかよ」
わかっているでしょうに。
クロコダイルはわたしのとなりに腰掛けるとわたしの体を倒し、膝枕を提供してくれる。
珍しい。
何事かしら。
「クロコダイル?」
彼は何も答えない。
わたしもそれ以上は追求せず、されるがままに大人しくする。
クロコダイルの武骨な手がわたしの髪を梳く。
鉤爪はわたしの背中に添えられている。
穏やかで静かな時間が流れていく。
「カズヤ」
「ん?」
「船速を上げて雨の海域を素早く抜けるのと、このままじっと雨が止むのを待つのと、てめえはどちらを選ぶ?」
「難しい問題ね」
「そうでもねえだろうが」
「だって」
あなたはきっと、わたしが前者を選ぶだろうと思っているのだろうけど。
「こうしてあなたと過ごしているのが幸せだから」
このままゆっくり、ゆっくり時間が過ぎればいいと思ってしまうの。
それはわたしのわがままかしら?
彼は一瞬呆けたような顔でわたしを見下ろすが、すぐに目を細める。
「クハハ、そりゃ選びがてえな」
「でしょう?」
「だが」
クロコダイルはそっとわたしを起こす。
「おれ以外のもんに影響されるカズヤをこれ以上みているのは耐えがてえな」
今度はわたしが呆ける番だった。
いきなり何を言い出すかと思えば、なんてかわいい独占欲。
「ふふ、そうね」
ベッドから立ち上がりクロコダイルの手を引く。
「それじゃあキャプテン。ご指示を」
「南南西に全速先進だ」
「イエス、サー」
踊るように手を引いて、操舵室へ向かう。
ダズに声をかけて帆の向きを変える。
突然の進路転換にダズは首をかしげるけど、まだ理由は教えてあげない。
もう少しだけ、クロコダイルの優しさをわたしだけに独占させて?
つくともないため息がこぼれる。
なんかしんどいなあ。
なんかだるいなあ。
原因はいたく簡単で、雨が降っていて肌寒くて心細い。
ただそれだけ。
気圧の変化で調子が狂う。
そのためわたしは船長室のベッドに腰掛けてぼんやりしていた。
「おい、カズヤ」
「お呼びかしら?」
機嫌の悪い声に顔を上げれば海図とにらめっこをしていたはずのクロコダイルがわたしの正面に立っていた。
「いかがなさったの?」
「何ため息なんぞついてやがる」
「気圧が低くてだるいのよ」
「そうかよ」
わかっているでしょうに。
クロコダイルはわたしのとなりに腰掛けるとわたしの体を倒し、膝枕を提供してくれる。
珍しい。
何事かしら。
「クロコダイル?」
彼は何も答えない。
わたしもそれ以上は追求せず、されるがままに大人しくする。
クロコダイルの武骨な手がわたしの髪を梳く。
鉤爪はわたしの背中に添えられている。
穏やかで静かな時間が流れていく。
「カズヤ」
「ん?」
「船速を上げて雨の海域を素早く抜けるのと、このままじっと雨が止むのを待つのと、てめえはどちらを選ぶ?」
「難しい問題ね」
「そうでもねえだろうが」
「だって」
あなたはきっと、わたしが前者を選ぶだろうと思っているのだろうけど。
「こうしてあなたと過ごしているのが幸せだから」
このままゆっくり、ゆっくり時間が過ぎればいいと思ってしまうの。
それはわたしのわがままかしら?
彼は一瞬呆けたような顔でわたしを見下ろすが、すぐに目を細める。
「クハハ、そりゃ選びがてえな」
「でしょう?」
「だが」
クロコダイルはそっとわたしを起こす。
「おれ以外のもんに影響されるカズヤをこれ以上みているのは耐えがてえな」
今度はわたしが呆ける番だった。
いきなり何を言い出すかと思えば、なんてかわいい独占欲。
「ふふ、そうね」
ベッドから立ち上がりクロコダイルの手を引く。
「それじゃあキャプテン。ご指示を」
「南南西に全速先進だ」
「イエス、サー」
踊るように手を引いて、操舵室へ向かう。
ダズに声をかけて帆の向きを変える。
突然の進路転換にダズは首をかしげるけど、まだ理由は教えてあげない。
もう少しだけ、クロコダイルの優しさをわたしだけに独占させて?