with you
お名前をどうぞ、レディ
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自分の執務室で黙々と仕事をこなす。
机の前に設置している応接セットでは、同じように黙々と仕事をこなすサー・クロコダイルがいる。
先ほどまで会議をしていて、本来であればそのあと屋外訓練所で手合わせの予定だったのだが、
急な雨により手合わせは中止。
雨の中出歩きたくないというサー・クロコダイルの要望により、わたしたちはおとなしく仕事をしていた。
「…」
「…」
とくに会話もなく二人とも静かに仕事をしている。
外からはさあさあと雨の音だけがかすかに響いていた。
ちらりとサー・クロコダイルを見れば真剣な顔で書類に目を通している。
うん、まあ、造形は整っているのよね。
手合わせ中にやたらと触れてくることを除けば、決して嫌いなタイプではないのかもしれない。
いや、そう思ってしまっているのがもう手遅れなのだろうか。
「カズヤ」
急にサー・クロコダイルが顔を上げる。とっさのことで反応が鈍った。
「お呼び?」
「朱肉を貸してくれ」
「少々お待ちを」
引き出しを漁って朱肉を取り出す。
取りにくる気配のないサー・クロコダイルの元へ仕方なく立ち上がって渡しに向かう。
朱肉を渡そうとすると、腕ごと彼の方へ体を引かれた。
「…なにかしら」
「おれを見ていただろう」
「なんのことかしら」
ばれていたのか。思わず目がおよぐ。
サー・クロコダイルの膝に座らされて、密着している部分が無性に熱い。
「隠さなくていいさ。お前の考えていることくらいわかる。
おれのことが嫌いじゃないと、そう思っていただろう」
なぜそこまでわかるのだろう。
見透かされていて非常に恥ずかしい。
離れようともがくが、そんなこと、彼は許してくれない。
「恥ずかしがることはない。おれが、カズヤを意識しているだけだ」
「それは告白かしら」
「そうとってもらって構わねえよ」
どうしてそうストレートにものを言うのだろう。
いろいろ考えてしまっているわたしがバカみたいじゃないか。
「残念だけどその告白はお受けしかねるわ」
本当に残念だけど、と心の中で付け加える。
口に出す勇気はまだない。
「今はそれでいい。残念だと思うようになったぶん、前進している」
なんでそう見透かしてしまうの。せっかく黙っていたというのに。
サー・クロコダイルはわたしの腕を離し、背中に手を回して抱きしめた。
首筋に彼の吐息がかかってぞわぞわする。
「離してほしいのだけど」
「そいつは断る。雨がやむまで、こうさせろ」
「嫌よ。仕事にならないじゃない」
「いいじゃねえか。元々仕事をする予定じゃなかったんだ」
「…」
わたしの腕は力なく垂れ下がったままだ。
彼の背中にまわすことも、彼を押しのけることもできない。
情けない思いと、ふわふわした感情が心の中でせめぎ合っている。
「…雨が止んだら離してくださいよ」
「ああ」
結局わたしは彼にされるがままでいることしかできなかった。
机の前に設置している応接セットでは、同じように黙々と仕事をこなすサー・クロコダイルがいる。
先ほどまで会議をしていて、本来であればそのあと屋外訓練所で手合わせの予定だったのだが、
急な雨により手合わせは中止。
雨の中出歩きたくないというサー・クロコダイルの要望により、わたしたちはおとなしく仕事をしていた。
「…」
「…」
とくに会話もなく二人とも静かに仕事をしている。
外からはさあさあと雨の音だけがかすかに響いていた。
ちらりとサー・クロコダイルを見れば真剣な顔で書類に目を通している。
うん、まあ、造形は整っているのよね。
手合わせ中にやたらと触れてくることを除けば、決して嫌いなタイプではないのかもしれない。
いや、そう思ってしまっているのがもう手遅れなのだろうか。
「カズヤ」
急にサー・クロコダイルが顔を上げる。とっさのことで反応が鈍った。
「お呼び?」
「朱肉を貸してくれ」
「少々お待ちを」
引き出しを漁って朱肉を取り出す。
取りにくる気配のないサー・クロコダイルの元へ仕方なく立ち上がって渡しに向かう。
朱肉を渡そうとすると、腕ごと彼の方へ体を引かれた。
「…なにかしら」
「おれを見ていただろう」
「なんのことかしら」
ばれていたのか。思わず目がおよぐ。
サー・クロコダイルの膝に座らされて、密着している部分が無性に熱い。
「隠さなくていいさ。お前の考えていることくらいわかる。
おれのことが嫌いじゃないと、そう思っていただろう」
なぜそこまでわかるのだろう。
見透かされていて非常に恥ずかしい。
離れようともがくが、そんなこと、彼は許してくれない。
「恥ずかしがることはない。おれが、カズヤを意識しているだけだ」
「それは告白かしら」
「そうとってもらって構わねえよ」
どうしてそうストレートにものを言うのだろう。
いろいろ考えてしまっているわたしがバカみたいじゃないか。
「残念だけどその告白はお受けしかねるわ」
本当に残念だけど、と心の中で付け加える。
口に出す勇気はまだない。
「今はそれでいい。残念だと思うようになったぶん、前進している」
なんでそう見透かしてしまうの。せっかく黙っていたというのに。
サー・クロコダイルはわたしの腕を離し、背中に手を回して抱きしめた。
首筋に彼の吐息がかかってぞわぞわする。
「離してほしいのだけど」
「そいつは断る。雨がやむまで、こうさせろ」
「嫌よ。仕事にならないじゃない」
「いいじゃねえか。元々仕事をする予定じゃなかったんだ」
「…」
わたしの腕は力なく垂れ下がったままだ。
彼の背中にまわすことも、彼を押しのけることもできない。
情けない思いと、ふわふわした感情が心の中でせめぎ合っている。
「…雨が止んだら離してくださいよ」
「ああ」
結局わたしは彼にされるがままでいることしかできなかった。