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お名前をどうぞ、レディ
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ベッドに転がり、彼を眺める。
彼は静かに海図とログポースを見比べている。
「ねえ、鰐」
「何だ、その呼び方…」
「いえ、いつもと違う呼び方をしてみようと思いまして」
「アホか」
こちらに顔すら向けず、クロコダイルは一蹴する。
酷い話ね。
この乙女心に気が付かないなんて。
…いや、乙女心に目ざといクロコダイルは不気味ね…
某童話の金の斧と銀の斧、そして落とした銅の斧を思い出す。
"あなたが落としたのは、
この「さわやかイケメンのクロコダイルですか?」
それとも「ワイルドイケメンのクロコダイルですか?」"
「いいえ、ぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴なクロコダイルです…ぶふっ」
自分で想像してみて笑いが込み上げてきた。
さわやかとか…ないないないっ!!
クロコダイルがさわやかイケメンっ…無理っ!!
ワイルドかと言われれば確かにワイルドだけど、一般的ワイルドではなく
むしろ悪の親玉だ。
実際そうだったし。
どっちにしろ、ないないないっ
「ぶふっ…うくくっ!!ないわー、ないないっ!!」
「誰がぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴だ。この凶悪娘」
「ぎゃあっ!!!!」
一人で笑い転げていたら、クロコダイルが接近していた。
接近というより馬乗り状態だ。
さわやか(笑)クロコダイルを想像していたせいで、いつもより一層人相が悪く見える。
やっぱり"ぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴"よね。
さわやか(笑)
ワイルド(笑)
ダメだ。本人とのギャップに笑いを堪えられない。
「くくくっ…ないー、無理ー」
「何言ってやがる」
「うくく、ごめんなさい、な、なんでもないのよ」
「嘘をつけ」
「だってあなたが構ってくれないから」
額に青筋が浮かびかけたのを見て、そろそろ笑い転げるのを止める。
いろんな意味で必死だ。
「はあ?」
クロコダイルの眉間にしわが寄る。
そうでしょう、そうでしょう。
あなたには、このさびしい乙女心なんてわからないわ。
「だーかーらー。
……構ってほしくていつもと違う呼び方をしてみたんです」
「はあ?」
ダメだ。通じていない。
いえ、はなから通じるなんて思ってなかったけどね。
これで通じるようなチョロイ男といたって面白くもなんともないもの。
ここでまた、"さわやか(笑)イケメン(笑)クロコダイル"が脳裏をかすめるが必死に余所へ追いやる。
「てめえはバカか」
「そうなんですよ。わたし、あなたに関してはバカなんです」
そう言って上体を起こし、クロコダイルにしがみつく。
「だから、あんなバカな手を使ってあなたの気を引こうとしたの」
クスクスと笑いながら彼の厚い胸板に顔をうずめる。
「これ以上惹こうたあ、いい度胸だ」
ぼすん
ベッドのスプリングを軋ませて、荒々しい口づけとともにベッドに押し倒された。
わたしには逃げ場も仕様も抗いようもない。
おとなしくされるがままに口内をかきまわされる。
「ぶはっ…。窒息…するかと思いました…」
「ふん。嫌ならくだらねえことするんじゃねえよ」
その距離5センチ。
熱い吐息がわたしを包む。
「嫌じゃないから、繰り返します」
「ちっ、バカが」
再び熱く深く口づけられる。
きっと彼はわたしが嫌がらないことなんてわかってたんだ。
本当はさびしくて気を引こうとしていたこともわかっていたんだ。
だから最初の呼びかけに答えず、わたしがバカなことをするのを待っていたのでしょう。
そうしたら"仕方ない振り"でわたしに構いに来るのよね。
ふふ、かわいい。
そんな些細な建前なんていらないのに。
わざと、あえて、仕方なく、振る舞っていることにわたしが気が付いているって知ってるくせに。
それでもそうせざるを得ないのは意地っ張りだから?
「さて、このゲームはどちらに軍配があがる?」
クロコダイルはすべてを見透かしたようにニヤつく。
「もちろん、あなたよ」
わたしも同じように微笑み返す。
「いや、カズヤの勝ちだな」
「それはどうかしら?」
そう言って二人でじゃれあう。
いつもと違う呼び方をしてみたって、
いつもと違うあなたを想像したって、
結局いつもどおりに二人でまどろみ合ってしまうんだ。
だって、どちらがより深く愛しているかなんて測れないもの。
彼は静かに海図とログポースを見比べている。
「ねえ、鰐」
「何だ、その呼び方…」
「いえ、いつもと違う呼び方をしてみようと思いまして」
「アホか」
こちらに顔すら向けず、クロコダイルは一蹴する。
酷い話ね。
この乙女心に気が付かないなんて。
…いや、乙女心に目ざといクロコダイルは不気味ね…
某童話の金の斧と銀の斧、そして落とした銅の斧を思い出す。
"あなたが落としたのは、
この「さわやかイケメンのクロコダイルですか?」
それとも「ワイルドイケメンのクロコダイルですか?」"
「いいえ、ぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴なクロコダイルです…ぶふっ」
自分で想像してみて笑いが込み上げてきた。
さわやかとか…ないないないっ!!
クロコダイルがさわやかイケメンっ…無理っ!!
ワイルドかと言われれば確かにワイルドだけど、一般的ワイルドではなく
むしろ悪の親玉だ。
実際そうだったし。
どっちにしろ、ないないないっ
「ぶふっ…うくくっ!!ないわー、ないないっ!!」
「誰がぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴だ。この凶悪娘」
「ぎゃあっ!!!!」
一人で笑い転げていたら、クロコダイルが接近していた。
接近というより馬乗り状態だ。
さわやか(笑)クロコダイルを想像していたせいで、いつもより一層人相が悪く見える。
やっぱり"ぶっきらぼうで無愛想で残忍で横暴"よね。
さわやか(笑)
ワイルド(笑)
ダメだ。本人とのギャップに笑いを堪えられない。
「くくくっ…ないー、無理ー」
「何言ってやがる」
「うくく、ごめんなさい、な、なんでもないのよ」
「嘘をつけ」
「だってあなたが構ってくれないから」
額に青筋が浮かびかけたのを見て、そろそろ笑い転げるのを止める。
いろんな意味で必死だ。
「はあ?」
クロコダイルの眉間にしわが寄る。
そうでしょう、そうでしょう。
あなたには、このさびしい乙女心なんてわからないわ。
「だーかーらー。
……構ってほしくていつもと違う呼び方をしてみたんです」
「はあ?」
ダメだ。通じていない。
いえ、はなから通じるなんて思ってなかったけどね。
これで通じるようなチョロイ男といたって面白くもなんともないもの。
ここでまた、"さわやか(笑)イケメン(笑)クロコダイル"が脳裏をかすめるが必死に余所へ追いやる。
「てめえはバカか」
「そうなんですよ。わたし、あなたに関してはバカなんです」
そう言って上体を起こし、クロコダイルにしがみつく。
「だから、あんなバカな手を使ってあなたの気を引こうとしたの」
クスクスと笑いながら彼の厚い胸板に顔をうずめる。
「これ以上惹こうたあ、いい度胸だ」
ぼすん
ベッドのスプリングを軋ませて、荒々しい口づけとともにベッドに押し倒された。
わたしには逃げ場も仕様も抗いようもない。
おとなしくされるがままに口内をかきまわされる。
「ぶはっ…。窒息…するかと思いました…」
「ふん。嫌ならくだらねえことするんじゃねえよ」
その距離5センチ。
熱い吐息がわたしを包む。
「嫌じゃないから、繰り返します」
「ちっ、バカが」
再び熱く深く口づけられる。
きっと彼はわたしが嫌がらないことなんてわかってたんだ。
本当はさびしくて気を引こうとしていたこともわかっていたんだ。
だから最初の呼びかけに答えず、わたしがバカなことをするのを待っていたのでしょう。
そうしたら"仕方ない振り"でわたしに構いに来るのよね。
ふふ、かわいい。
そんな些細な建前なんていらないのに。
わざと、あえて、仕方なく、振る舞っていることにわたしが気が付いているって知ってるくせに。
それでもそうせざるを得ないのは意地っ張りだから?
「さて、このゲームはどちらに軍配があがる?」
クロコダイルはすべてを見透かしたようにニヤつく。
「もちろん、あなたよ」
わたしも同じように微笑み返す。
「いや、カズヤの勝ちだな」
「それはどうかしら?」
そう言って二人でじゃれあう。
いつもと違う呼び方をしてみたって、
いつもと違うあなたを想像したって、
結局いつもどおりに二人でまどろみ合ってしまうんだ。
だって、どちらがより深く愛しているかなんて測れないもの。