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お名前をどうぞ、レディ
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「なぁ、なんでお前、ガープの補佐なんかやってやがんだ」
会議へ向かう途中、マリンフォードの廊下で
突如サー・クロコダイルに訪ねられた。
「なぜって……気が付いたらいただけですよ」
わたしは適当に返事をする。
あまり、詳細な理由はサー・クロコダイルには言いたくない。
気が付いたらこうなっていたのは間違いでもない。
「お前、元賞金稼ぎだろ」
「!!
よくご存知で」
びっくりして、思わず目を見開いてしまう。
何故それを。
誰にも話したことなんてないのに。
しかし、ごまかしたところで、この男には通じないだろう。
「幾多の海賊達の夢を摘み取って名をあげていた賞金稼ぎが、
こんなところでもったいねえな」
サー・クロコダイルはふぅ、と紫煙を吐く。
そうね。かつては二子岬でグランドラインへと夢をいだいてやってきた海賊を
潰して壊して打ちのめして生計を立てていた。
それが気が付いたら海軍本部所属の中将補佐官だ。
「そうですね。一介の賞金稼ぎごときが中将補佐なんて身に余りますわ」
「違え」
じろりとサー・クロコダイルがわたしを睨む。
じゃあ何?
一介の賞金稼ぎに過ぎなかったわたしが今やこの立場だ。
身に余る以外の何だというのかしら。
「だいたい、てめえに白は似合わねえんだよ」
「やっぱり変ですかね」
そこでしたか。
自分でもいまいちな服装かなとは思っていたのだ。
黒のスーツに同色のスカート。
真っ白な正義のマント。
…変ですね。
答えに悩んでいる間に、サー・クロコダイルはサラサラとわたしに身を寄せてくる。
避ける気はない。
武装色の覇気をまとい、彼の首へ手を伸ばし引き寄せる。
「何のつもりだ」
「こちらのセリフですわ」
サー・クロコダイルの耳元に唇を寄せ答える。
毎度毎度襲われているのだ。
そりゃあ、警戒もするし学びもする。
彼のタイミングはだいたいわかる。
「別にいつかの返事なら急いじゃいねえぜ?」
「わたし、海軍本部所属、中将補佐官でございますので」
背にした身の丈程の大鎚で、サー・クロコダイルを叩き潰して身を離し背を向ける。
後ろで、サラサラと砂の擦れる音が聞こえた。
わたしごときの覇気では彼を倒すなんてできない。
「ずいぶん、成長したもんだぜ」
「それはどうも。
日々中将や凶悪な海賊と鍛錬しておりますので」
「やはりてめえにゃ"黒い魔女"の二つ名が良く似合う」
「……それはどうも」
気が付いたらまた"魔女"と呼ばれるようになっていた。
"黒い魔女"
"殺戮の魔女"
"死の魔女"
等々何がしかの"魔女"と呼ばれる。
若い女性に向かって、ずいぶんな呼び方だけど、
海賊狩り時代からの二つ名だ。
「魔女こそ、おれの隣を歩くにふさわしい」
「つつしんで遠慮しますわ」
言葉だけでも断る。
魔女だけど、女だけど、軍人だから。
軍人が海賊と馴れあってはいけない。
またスモーカー君に怒られてしまう。
でも彼は七武海。
一応政府公認の海賊で、名義上は海軍の見方。
その大義名分がやっかいだ。
わたしと彼が一緒にいてはいけない理由が途端に希薄になる。
海軍と七武海が共闘して何が悪いのか。
確かに、彼に惹かれるわたしがいるのも否定はできない。
でも。
わたしは海軍。
彼は海賊。
相容れない。
これ以上、彼を気にしてはいけない。
相容れてはいけない。
わたしはどうしたいのか。
どうするのが適切か。
少なくとも、今彼についていくのは危うい。
ただでさえ弱い自分が、ますます弱くなってしまいそうで。
今のわたしには答えは見つからない。
なのに、彼は当たり前のようにわたしの手を引くんだ。
「ほら、さっさと行くぞ。センゴクが待ってやがるんだろう」
「んもう」
それは進展か。後退か。
答えは見つからず、わたしはいつもどおりに彼と並んで歩いてしまう。
会議へ向かう途中、マリンフォードの廊下で
突如サー・クロコダイルに訪ねられた。
「なぜって……気が付いたらいただけですよ」
わたしは適当に返事をする。
あまり、詳細な理由はサー・クロコダイルには言いたくない。
気が付いたらこうなっていたのは間違いでもない。
「お前、元賞金稼ぎだろ」
「!!
よくご存知で」
びっくりして、思わず目を見開いてしまう。
何故それを。
誰にも話したことなんてないのに。
しかし、ごまかしたところで、この男には通じないだろう。
「幾多の海賊達の夢を摘み取って名をあげていた賞金稼ぎが、
こんなところでもったいねえな」
サー・クロコダイルはふぅ、と紫煙を吐く。
そうね。かつては二子岬でグランドラインへと夢をいだいてやってきた海賊を
潰して壊して打ちのめして生計を立てていた。
それが気が付いたら海軍本部所属の中将補佐官だ。
「そうですね。一介の賞金稼ぎごときが中将補佐なんて身に余りますわ」
「違え」
じろりとサー・クロコダイルがわたしを睨む。
じゃあ何?
一介の賞金稼ぎに過ぎなかったわたしが今やこの立場だ。
身に余る以外の何だというのかしら。
「だいたい、てめえに白は似合わねえんだよ」
「やっぱり変ですかね」
そこでしたか。
自分でもいまいちな服装かなとは思っていたのだ。
黒のスーツに同色のスカート。
真っ白な正義のマント。
…変ですね。
答えに悩んでいる間に、サー・クロコダイルはサラサラとわたしに身を寄せてくる。
避ける気はない。
武装色の覇気をまとい、彼の首へ手を伸ばし引き寄せる。
「何のつもりだ」
「こちらのセリフですわ」
サー・クロコダイルの耳元に唇を寄せ答える。
毎度毎度襲われているのだ。
そりゃあ、警戒もするし学びもする。
彼のタイミングはだいたいわかる。
「別にいつかの返事なら急いじゃいねえぜ?」
「わたし、海軍本部所属、中将補佐官でございますので」
背にした身の丈程の大鎚で、サー・クロコダイルを叩き潰して身を離し背を向ける。
後ろで、サラサラと砂の擦れる音が聞こえた。
わたしごときの覇気では彼を倒すなんてできない。
「ずいぶん、成長したもんだぜ」
「それはどうも。
日々中将や凶悪な海賊と鍛錬しておりますので」
「やはりてめえにゃ"黒い魔女"の二つ名が良く似合う」
「……それはどうも」
気が付いたらまた"魔女"と呼ばれるようになっていた。
"黒い魔女"
"殺戮の魔女"
"死の魔女"
等々何がしかの"魔女"と呼ばれる。
若い女性に向かって、ずいぶんな呼び方だけど、
海賊狩り時代からの二つ名だ。
「魔女こそ、おれの隣を歩くにふさわしい」
「つつしんで遠慮しますわ」
言葉だけでも断る。
魔女だけど、女だけど、軍人だから。
軍人が海賊と馴れあってはいけない。
またスモーカー君に怒られてしまう。
でも彼は七武海。
一応政府公認の海賊で、名義上は海軍の見方。
その大義名分がやっかいだ。
わたしと彼が一緒にいてはいけない理由が途端に希薄になる。
海軍と七武海が共闘して何が悪いのか。
確かに、彼に惹かれるわたしがいるのも否定はできない。
でも。
わたしは海軍。
彼は海賊。
相容れない。
これ以上、彼を気にしてはいけない。
相容れてはいけない。
わたしはどうしたいのか。
どうするのが適切か。
少なくとも、今彼についていくのは危うい。
ただでさえ弱い自分が、ますます弱くなってしまいそうで。
今のわたしには答えは見つからない。
なのに、彼は当たり前のようにわたしの手を引くんだ。
「ほら、さっさと行くぞ。センゴクが待ってやがるんだろう」
「んもう」
それは進展か。後退か。
答えは見つからず、わたしはいつもどおりに彼と並んで歩いてしまう。