with you
お名前をどうぞ、レディ
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戦乱を抜けて、わたしの軍艦を使って海へ出る。
まさか海軍を止めた直後にこの船にのることになるとは思わなかったけど。仕方ない。
クロコダイルもダズも傷だらけなので二人を医務室に放り込んで手当をする。
勝手知ったる我が船は、わたしが何者であろうといつもどおりに迎えてくれる。
「…へたくそだな」
何とか二人に手当てを施すと、ダズにため息をつかれる。
「うるさいわね。自分以外の人間の怪我なんてほとんど手当したことないのよ」
ダズを睨んで黙らせる。
「ほとんどってことは誰かの手当はしたことがあるってことか」
若干不機嫌な声でクロコダイルがわたしを引き寄せた。
「動くと怪我に悪いわよ」
「いいから答えやがれ」
「妹とか」
「とか…?」
「う…たしぎちゃんとかスモーカー君とかです」
最後のスモーカー君の名前で、クロコダイルの機嫌が一層悪くなったらしい。
わたしの腕をつかむ右手の力が増して痛い。
「クロコダイル、痛いんだけど」
「わざとだ。カズヤ、おれが捕まっている間に浮気たあ感心しねえなあ」
いつの間にか咥えたらしい葉巻が紫煙を吐き、
先ほどまでクロコダイルのとなりに座っていたダズはそそくさと
医務室から退避していた。
「浮気じゃないわ。わたしが訓練の最中に
スモーカー君のお腹をかっさばいちゃったから手当しただけです。
何より今後はクロコダイルとダズと自分以外の手当なんかしないわよ」
「当たり前だ、馬鹿野郎。一回きりか」
「ええ、一回だけ」
それを聞いて少し落ち着いたのか、わたしの腕を握る力が少し緩んだ。
すかさず座ったままのクロコダイルの頭を抱きしめる。
「わたしはもうあなただけのものだし、あなたはもうわたしだけのものです」
クロコダイルは無言でわたしを抱き寄せる。
「もう離しませんし、離れません」
「当たり前だ」
しばらく互いの温度を確かめ合う。
「今日は先に寝られてくださいな」
「てめえはどうするんだ」
わたしが一緒に寝室へ行かないことが不満らしいクロコダイルが低く唸る。
「わたしは今夜は見張りをしているわ。
あなたもダズも怪我だらけなんだから寝てらしてくださいな」
「てめえはおれのもんだ。片時も離さねえよ」
「怪我に障るわよ」
「構いやしねえ」
本当に。なんて仕方のない人だろう。
そんな彼を好きになってしまったわたしはもっと仕方のない人間なのだろう。
でもそれでいいと思ってしまう、愚かな自分がそこにいた。
「じゃあご一緒してくださる?」
「クハハ、色気はねえが、久しぶりにデートと洒落込むか」
「あら、きれいな星空のもとでデートなんて素敵じゃない」
わたしと彼は、ようやく船出を迎えた。
まさか海軍を止めた直後にこの船にのることになるとは思わなかったけど。仕方ない。
クロコダイルもダズも傷だらけなので二人を医務室に放り込んで手当をする。
勝手知ったる我が船は、わたしが何者であろうといつもどおりに迎えてくれる。
「…へたくそだな」
何とか二人に手当てを施すと、ダズにため息をつかれる。
「うるさいわね。自分以外の人間の怪我なんてほとんど手当したことないのよ」
ダズを睨んで黙らせる。
「ほとんどってことは誰かの手当はしたことがあるってことか」
若干不機嫌な声でクロコダイルがわたしを引き寄せた。
「動くと怪我に悪いわよ」
「いいから答えやがれ」
「妹とか」
「とか…?」
「う…たしぎちゃんとかスモーカー君とかです」
最後のスモーカー君の名前で、クロコダイルの機嫌が一層悪くなったらしい。
わたしの腕をつかむ右手の力が増して痛い。
「クロコダイル、痛いんだけど」
「わざとだ。カズヤ、おれが捕まっている間に浮気たあ感心しねえなあ」
いつの間にか咥えたらしい葉巻が紫煙を吐き、
先ほどまでクロコダイルのとなりに座っていたダズはそそくさと
医務室から退避していた。
「浮気じゃないわ。わたしが訓練の最中に
スモーカー君のお腹をかっさばいちゃったから手当しただけです。
何より今後はクロコダイルとダズと自分以外の手当なんかしないわよ」
「当たり前だ、馬鹿野郎。一回きりか」
「ええ、一回だけ」
それを聞いて少し落ち着いたのか、わたしの腕を握る力が少し緩んだ。
すかさず座ったままのクロコダイルの頭を抱きしめる。
「わたしはもうあなただけのものだし、あなたはもうわたしだけのものです」
クロコダイルは無言でわたしを抱き寄せる。
「もう離しませんし、離れません」
「当たり前だ」
しばらく互いの温度を確かめ合う。
「今日は先に寝られてくださいな」
「てめえはどうするんだ」
わたしが一緒に寝室へ行かないことが不満らしいクロコダイルが低く唸る。
「わたしは今夜は見張りをしているわ。
あなたもダズも怪我だらけなんだから寝てらしてくださいな」
「てめえはおれのもんだ。片時も離さねえよ」
「怪我に障るわよ」
「構いやしねえ」
本当に。なんて仕方のない人だろう。
そんな彼を好きになってしまったわたしはもっと仕方のない人間なのだろう。
でもそれでいいと思ってしまう、愚かな自分がそこにいた。
「じゃあご一緒してくださる?」
「クハハ、色気はねえが、久しぶりにデートと洒落込むか」
「あら、きれいな星空のもとでデートなんて素敵じゃない」
わたしと彼は、ようやく船出を迎えた。