with you
お名前をどうぞ、レディ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
火拳のエースの公開処刑。
予想通りに白ヒゲ海賊団は現れた。
姉としては、うまいこと白ヒゲ海賊団がエース君を逃がしてはくれまいかと
思わざるを得ない。
でも海軍所属のわたしでは何もできなくて歯がゆいばかり。
そんなとき戦争の局面が大きく揺れ動いた。
一席の軍艦が空から降ってきたたことにより。
「ガープ、また貴様の「家族」だぞ!!!」
「ルフィ~!!!」
「ルフィ君と…、クロコダイル!!?」
「カズヤ」
クロコダイルと目が合った。
小さくその唇が動く。
呼んでいる。わたしのことを、クロコダイルが。
「カズヤ中将補佐、今は頃合いじゃねェ」
耐えるガープ中将に訴えかけられる。
「っ…!!
ガープ中将、申し訳ございません。私情に走りました」
ガープ中将だって本当はルフィ君とエース君をここから逃がしてしまいたいのだ。
しかし立場をわきまえ、拳を震わせてこらえている。
わたしがそれを無視するわけにはいかない。
それでもクロコダイルから目を離せなくて。
先に目を逸らしたのはクロコダイルの方だった。
サラサラと白髭を狙いに行く。
…
「ガープ中将も行ってしまいました」
「誰が自分からいけと言ったのじゃ」
ガープ中将が先まで座っていた場所へ
わたしも腰を落とす。
「久しぶりね」
「ああ…」
火拳がようやくわたしに気が付いたのか顔をこちらへ向けた。
「みんな、自分の大事なものを守りたいだけなのにね」
「ああ」
「あはは、君はそればっかり…
…まったく…こんな状況じゃなきゃ君ともゆっくり話をしてみたかったんだけどねえ」
ため息を吐いて辺りを見回せば周囲は硝煙と血しぶきが舞い散り
生臭さに拍車をかけている。
「てめえはいかなくていいのか」
エース君が睨んでくる。
「お姉さまと呼んでちょうだい。
わたしはガープ中将の補佐官だからね。
ガープ中将が守るべき場所を守るだけよ」
「そうかよ」
火拳は悲しそうに戦いの様子を見ていた。
彼の仲間が切られ撃たれ殺されていく。
わたしは無表情で彼の…サー・クロコダイルの行くえを追っていた。
白髭海賊団をちぎっては投げ、同時に迫りくる海兵もろとも吹き飛ばしている。
わたしは、今まで彼の良い面しか見ていなかったんだなと実感させられる。
彼はそうなんだ。
残忍で、凶悪で獰猛で賢しい海賊なんだ。
いつかアラバスタで感じた違和感が、ようやく溶けていく。
…じゃあ、どうする?
だったら、どうする?
…
その後もわたしはクロコダイルをひたすら見つめ続けていた。
クロコダイルはたまにちらりとこちらを見ては敵を薙ぎ払いつつ
少しずつ近づいてくる。
そして。
ガープ中将がルフィ君に殴り飛ばされた。
わたしは慌ててガープ中将を追う。
「ガープ中将!!
ご…ご無事でしょうか!!?」
「時代に…"決着"をか……!!!
頃合いじゃねェか…」
ぽつりと、ガープ中将が零す。
「中…将…?」
「お前もけじめをつけろ、カズヤ中将補佐官」
鋭い眼差しが、わたしをつらぬく。
その後ろに見ているのが誰だか、わたしは知っている。
けじめ。
わたしのけじめ。
「お前が、お前の好きに決めろ」
その眼差しに揺らぎはない。
「お前は、ワシの孫じゃねえ」
「ガープ…中将…」
「好きに、決めろ。ワシからの、カズヤ中将補佐官への最後の命令だ」
「ガープ中将…。
承知、いたしました。
ガープ中将の命に従い、わたくしカズヤ中将補佐官は己が意志のとおり、
今に、けじめをつけます」
最後の、ガープ中将への敬礼。
最後の、海軍、カズヤ中将補佐官としての敬礼。
わたしの後ろから、ガープ中将とは意を異とするまっすぐな眼差しがわたしを射抜く。
承知いたしました、ガープ中将。
さようなら、ガープ中将。
これからは、あなたについて参りましょう。
「よろしい」
何でもないかのように、ニカッと微笑み手をヒラヒラと振るガープ中将。
わたしもニカッと笑い返した。
そして、くるりと振り返る。
彼はいつもどおりのぶっちょう面。
「どうやら、賭はあなたの勝ちだったよですね」
そっと、クロコダイルのもとへ足を進める。
その距離、10センチ。
「わたしめに、ご命を。
サー・クロコダイル」
「ハッ、テメェが命じて聞く女かぁ?」
横を見やれば、ガープ中将は麦藁のルフィと火拳のエースの元へと駆けていた。
それを追うセンゴク元帥。
もう、わたしは彼らの部下ではないから。
正面を向いてニヤリと笑みを返す。
「それが、聞く価値のある命ならば」
「社長…」
わたしの態度が気に入らないのだろう。
ミスター1、いやダズが、わたしとクロコダイルの間に割って入ろうとする。
しかし、それはクロコダイル自身に拒まれた。
「イイじゃねえか。面白くて、イイ女だ」
小さくダズがわたしを睨む。
「そういきり立たないで、ダズ。
これからよろしくしてちょうだいな」
ニカッと笑って差し出した手は、無視された。
正解だ。
「正解だ。ダズ」
そう、わたしの手を取っていたら彼は今頃わたしに叩き潰されていただろうから。
昔の、クロコダイルのように。
もっとも彼はサラサラと逃れたけど。
「カズヤ中将補佐官!!」
わたしのかつての字を呼ぶ声に首を傾ける。
「あら、モモンガ中将」
「あなたは、あなたは海軍を裏切るのか!!」
いきり立つモモンガ中将。
ここはクロコダイルと同じく、ニヤリと笑み返す。
「裏切るも何も、わたしは元から海軍の味方じゃない」
首を戻す。
「わたしはガープ中将の部下よ」
「しかしっ」
「ガープ中将の命に従い
わたしのけじめをつけた」
「っ!!」
モモンガ中将が跳ねた。
わたしに切りかかるつもりだろう。
しかし、クロコダイルもダズも踵を返す。
あらあら。
かわいい部下のかわいいピンチを無視だなんて。
「お前のどこがピンチだ」
「心を読まないでちょうだい」
「顔に出ている」
「何を呑気にっ…、っ!!」
わたしはくるりとその場で舞う。
モモンガ中将が、地に平伏した。
「モモンガ中将、あなたはわたしにかなわないことくらい知っているでしょう」
「カズヤ中将補佐かっ」
「違います」
「我々が再びあなたを脅威に感じる日がくるとは…」
「何とでも思えばいいわ」
海軍を抜けた以上、クロコダイルに呼ばれる以外の名に意味はない。
「カズヤ」
「お呼びで?クロコダイル」
「これからのお前は中将補佐官ではない」
何を今更。
「行くぞ。ダズ、……
魔女」
魔女、ね。
イイ呼び名じゃない。
「魔女……っ、これからは海賊か」
「ええ、そうよ。モモンガ中将。
イイ女にイイ呼び名。連れに元七武海。悪くないわ」
わたしの返事に、モモンガ中将はガクリとうなだれた。
「このおれを連れ扱いか。まったく身の程を知らねえ女だ」
「その身の程知らずにご執心なのはどちらのクロコダイルかしら」
機嫌の悪そうな口調とは裏腹に機嫌の良い笑顔を浮かべる、クロコダイル。
わたしが隣に並べば、より嬉しそう。
「行くぞ、野郎共」
「「イエス、サー」」
ダズと二人、勢い良く応えた。
予想通りに白ヒゲ海賊団は現れた。
姉としては、うまいこと白ヒゲ海賊団がエース君を逃がしてはくれまいかと
思わざるを得ない。
でも海軍所属のわたしでは何もできなくて歯がゆいばかり。
そんなとき戦争の局面が大きく揺れ動いた。
一席の軍艦が空から降ってきたたことにより。
「ガープ、また貴様の「家族」だぞ!!!」
「ルフィ~!!!」
「ルフィ君と…、クロコダイル!!?」
「カズヤ」
クロコダイルと目が合った。
小さくその唇が動く。
呼んでいる。わたしのことを、クロコダイルが。
「カズヤ中将補佐、今は頃合いじゃねェ」
耐えるガープ中将に訴えかけられる。
「っ…!!
ガープ中将、申し訳ございません。私情に走りました」
ガープ中将だって本当はルフィ君とエース君をここから逃がしてしまいたいのだ。
しかし立場をわきまえ、拳を震わせてこらえている。
わたしがそれを無視するわけにはいかない。
それでもクロコダイルから目を離せなくて。
先に目を逸らしたのはクロコダイルの方だった。
サラサラと白髭を狙いに行く。
…
「ガープ中将も行ってしまいました」
「誰が自分からいけと言ったのじゃ」
ガープ中将が先まで座っていた場所へ
わたしも腰を落とす。
「久しぶりね」
「ああ…」
火拳がようやくわたしに気が付いたのか顔をこちらへ向けた。
「みんな、自分の大事なものを守りたいだけなのにね」
「ああ」
「あはは、君はそればっかり…
…まったく…こんな状況じゃなきゃ君ともゆっくり話をしてみたかったんだけどねえ」
ため息を吐いて辺りを見回せば周囲は硝煙と血しぶきが舞い散り
生臭さに拍車をかけている。
「てめえはいかなくていいのか」
エース君が睨んでくる。
「お姉さまと呼んでちょうだい。
わたしはガープ中将の補佐官だからね。
ガープ中将が守るべき場所を守るだけよ」
「そうかよ」
火拳は悲しそうに戦いの様子を見ていた。
彼の仲間が切られ撃たれ殺されていく。
わたしは無表情で彼の…サー・クロコダイルの行くえを追っていた。
白髭海賊団をちぎっては投げ、同時に迫りくる海兵もろとも吹き飛ばしている。
わたしは、今まで彼の良い面しか見ていなかったんだなと実感させられる。
彼はそうなんだ。
残忍で、凶悪で獰猛で賢しい海賊なんだ。
いつかアラバスタで感じた違和感が、ようやく溶けていく。
…じゃあ、どうする?
だったら、どうする?
…
その後もわたしはクロコダイルをひたすら見つめ続けていた。
クロコダイルはたまにちらりとこちらを見ては敵を薙ぎ払いつつ
少しずつ近づいてくる。
そして。
ガープ中将がルフィ君に殴り飛ばされた。
わたしは慌ててガープ中将を追う。
「ガープ中将!!
ご…ご無事でしょうか!!?」
「時代に…"決着"をか……!!!
頃合いじゃねェか…」
ぽつりと、ガープ中将が零す。
「中…将…?」
「お前もけじめをつけろ、カズヤ中将補佐官」
鋭い眼差しが、わたしをつらぬく。
その後ろに見ているのが誰だか、わたしは知っている。
けじめ。
わたしのけじめ。
「お前が、お前の好きに決めろ」
その眼差しに揺らぎはない。
「お前は、ワシの孫じゃねえ」
「ガープ…中将…」
「好きに、決めろ。ワシからの、カズヤ中将補佐官への最後の命令だ」
「ガープ中将…。
承知、いたしました。
ガープ中将の命に従い、わたくしカズヤ中将補佐官は己が意志のとおり、
今に、けじめをつけます」
最後の、ガープ中将への敬礼。
最後の、海軍、カズヤ中将補佐官としての敬礼。
わたしの後ろから、ガープ中将とは意を異とするまっすぐな眼差しがわたしを射抜く。
承知いたしました、ガープ中将。
さようなら、ガープ中将。
これからは、あなたについて参りましょう。
「よろしい」
何でもないかのように、ニカッと微笑み手をヒラヒラと振るガープ中将。
わたしもニカッと笑い返した。
そして、くるりと振り返る。
彼はいつもどおりのぶっちょう面。
「どうやら、賭はあなたの勝ちだったよですね」
そっと、クロコダイルのもとへ足を進める。
その距離、10センチ。
「わたしめに、ご命を。
サー・クロコダイル」
「ハッ、テメェが命じて聞く女かぁ?」
横を見やれば、ガープ中将は麦藁のルフィと火拳のエースの元へと駆けていた。
それを追うセンゴク元帥。
もう、わたしは彼らの部下ではないから。
正面を向いてニヤリと笑みを返す。
「それが、聞く価値のある命ならば」
「社長…」
わたしの態度が気に入らないのだろう。
ミスター1、いやダズが、わたしとクロコダイルの間に割って入ろうとする。
しかし、それはクロコダイル自身に拒まれた。
「イイじゃねえか。面白くて、イイ女だ」
小さくダズがわたしを睨む。
「そういきり立たないで、ダズ。
これからよろしくしてちょうだいな」
ニカッと笑って差し出した手は、無視された。
正解だ。
「正解だ。ダズ」
そう、わたしの手を取っていたら彼は今頃わたしに叩き潰されていただろうから。
昔の、クロコダイルのように。
もっとも彼はサラサラと逃れたけど。
「カズヤ中将補佐官!!」
わたしのかつての字を呼ぶ声に首を傾ける。
「あら、モモンガ中将」
「あなたは、あなたは海軍を裏切るのか!!」
いきり立つモモンガ中将。
ここはクロコダイルと同じく、ニヤリと笑み返す。
「裏切るも何も、わたしは元から海軍の味方じゃない」
首を戻す。
「わたしはガープ中将の部下よ」
「しかしっ」
「ガープ中将の命に従い
わたしのけじめをつけた」
「っ!!」
モモンガ中将が跳ねた。
わたしに切りかかるつもりだろう。
しかし、クロコダイルもダズも踵を返す。
あらあら。
かわいい部下のかわいいピンチを無視だなんて。
「お前のどこがピンチだ」
「心を読まないでちょうだい」
「顔に出ている」
「何を呑気にっ…、っ!!」
わたしはくるりとその場で舞う。
モモンガ中将が、地に平伏した。
「モモンガ中将、あなたはわたしにかなわないことくらい知っているでしょう」
「カズヤ中将補佐かっ」
「違います」
「我々が再びあなたを脅威に感じる日がくるとは…」
「何とでも思えばいいわ」
海軍を抜けた以上、クロコダイルに呼ばれる以外の名に意味はない。
「カズヤ」
「お呼びで?クロコダイル」
「これからのお前は中将補佐官ではない」
何を今更。
「行くぞ。ダズ、……
魔女」
魔女、ね。
イイ呼び名じゃない。
「魔女……っ、これからは海賊か」
「ええ、そうよ。モモンガ中将。
イイ女にイイ呼び名。連れに元七武海。悪くないわ」
わたしの返事に、モモンガ中将はガクリとうなだれた。
「このおれを連れ扱いか。まったく身の程を知らねえ女だ」
「その身の程知らずにご執心なのはどちらのクロコダイルかしら」
機嫌の悪そうな口調とは裏腹に機嫌の良い笑顔を浮かべる、クロコダイル。
わたしが隣に並べば、より嬉しそう。
「行くぞ、野郎共」
「「イエス、サー」」
ダズと二人、勢い良く応えた。