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お名前をどうぞ、レディ
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「カズヤ」
いつもどおりの静かなインペルダウンlevel6。
スタスタと歩いていると呼び止められた。
「あらジンベイ。久しいわね。こんなところで再開するとは思わなかったわ」
せっかくなので腰を下ろす。
七武海海峡のジンベイ。
火拳のエースの公開処刑への参加を拒否して投獄された七武海。
インペルダウンlevel6に居るのは知っていたが、遭遇するのは初めてだ。
「おぬし、あしげく通っておるらしいの」
「ええ」
「そんなにあの男に会いたいか」
ジンベイは眉をひそめる。
まあ、不信だろう。
海軍が犯罪者に会いに牢獄へ通っているだなんて。
「わたしはわたしの所有物の様子をうかがいにきてるのよ」
「所有物じゃと?」
「ええ。彼がここに居る限り、彼の所有権はわたしにあるわ」
ジンベイの顔が、ますますしかめられる。
「どういう意味じゃ」
「ところで」
ジンベイの疑問を無視して視線を左に逸らす。
「そちらがルフィ君のお兄ちゃんかしら?」
「……ああ」
ジンベイが頷き、うなだれていた顔が上を向いた。
「…てめえは誰だ」
低い声がうなる。
「カズヤ。海軍本部ガープ中将補佐官をしています」
「ルフィを知っているのか」
「ええ。先日会ってきたわ。元気だったわよ」
「そうか」
火拳の顔が、わずかに弛む。
弟の無事を聞けば嬉しいだろう。
「あなたが死んでも、ルフィ君についてはできる限りのことをするわ」
「カズヤ!!」
「頼む」
ジンベイが吠え、火拳が再度頭を垂れた。
「ジンベイ。わたしにはわたしにできることしかできないの。
火拳を庇うにも、わたしには理由も謂われもない」
「しかしっ」
「そして、火拳をかばった結果が今のあなたでしょう」
「っ…」
「わたしにはわたしにできることしかできないの。
ジンベイ。火拳をかばうあなたをかばうのがせいぜいよ」
わたしは立ち上がりスカートをはたく。
「ではまたね。エース君。ジンベイ」
来たときと同じようにスタスタ歩けば、いつもの見慣れた檻の前に出た。
無言で檻に寄りかかり体育座りでしゃがみ込む。
「挨拶もなしか」
「…」
「何落ち込んでやがる」
「…」
「このおれを無視するとはいい度胸だ」
じゃらりと音がして、頭に鈍痛が走った。
「っ!!いった…っ痛い!!」
「痛いようにしたからな」
砂ワニの鉤爪で叩かれたらしい。
「女の子の頭になんてことを!!」
涙目で睨めばクロコダイルは頬を弛ませた。
「誰が女の子だ。おれの目の前には魔女しかいねえぜ?」
そして反対の右手でわたしの頭をわしわしと撫でる。
どっかりとわたしの後ろに座り込んだ。
「で?女の子とやらは何しょぼくれてやがる」
「からかわないで。一応落ち込んでいるのよ」
頬を膨らませてクロコダイルに向き直る。
「わたし、無力だなって」
「……」
「誰も救えないし守れないのね」
「大事な人も、大事な弟も、大事な友達も……
っ!!痛い!!」
また叩かれた。
涙目で振り返ればクロコダイルが機嫌の悪い顔で睨んでいた。
「なによう」
「バカか。てめえは」
「こんなところに捕まってるバカに言われたくないわ」
「てめえはてめえにできることをしてりゃいいんだ」
クロコダイルは檻越しに右手を伸ばしてわたしの頭を寄せる。
まっすぐに見つめられて何も言えない。
頭に添えられた右手はわたしの頬に触れて、いつの間にか流れていた涙を拭う。
「あるだろうが。てめえができること」
「……」
クロコダイルの右手に手を添えて立ち上がる。
「ありがとう」
「情けねえ中将補佐官殿だ」
そんな憎まれ口を無視して身を翻す。
再びジンベイと火拳の檻の前へ行く。
「エース君。こっちきて」
「あ?」
火拳は素直にこちらに体を伸ばす。
わたしは右手を伸ばして火拳の頭をわしわしと撫でた。
「わたしはわたしにできることをするわ」
「……」
そっと手を離し檻を離れる。
わたしはわたしにできることをしよう。
唇をかみしめて歩き出す。
さあ、わたしもそろそろ覚悟を決めようか。
「カズヤ中将補佐官」
「あら、ドミノ。なにかしら?」
「最近、よくいらっしゃいますね」
「ええ」
「不審な振る舞いは避けていただきますよう」
「気をつけるわ」
ひらひらとドミノに手を振る。
彼女の杞憂むなしく。
わたしは何度でもここに戻ってしまうのだろう。
いつもどおりの静かなインペルダウンlevel6。
スタスタと歩いていると呼び止められた。
「あらジンベイ。久しいわね。こんなところで再開するとは思わなかったわ」
せっかくなので腰を下ろす。
七武海海峡のジンベイ。
火拳のエースの公開処刑への参加を拒否して投獄された七武海。
インペルダウンlevel6に居るのは知っていたが、遭遇するのは初めてだ。
「おぬし、あしげく通っておるらしいの」
「ええ」
「そんなにあの男に会いたいか」
ジンベイは眉をひそめる。
まあ、不信だろう。
海軍が犯罪者に会いに牢獄へ通っているだなんて。
「わたしはわたしの所有物の様子をうかがいにきてるのよ」
「所有物じゃと?」
「ええ。彼がここに居る限り、彼の所有権はわたしにあるわ」
ジンベイの顔が、ますますしかめられる。
「どういう意味じゃ」
「ところで」
ジンベイの疑問を無視して視線を左に逸らす。
「そちらがルフィ君のお兄ちゃんかしら?」
「……ああ」
ジンベイが頷き、うなだれていた顔が上を向いた。
「…てめえは誰だ」
低い声がうなる。
「カズヤ。海軍本部ガープ中将補佐官をしています」
「ルフィを知っているのか」
「ええ。先日会ってきたわ。元気だったわよ」
「そうか」
火拳の顔が、わずかに弛む。
弟の無事を聞けば嬉しいだろう。
「あなたが死んでも、ルフィ君についてはできる限りのことをするわ」
「カズヤ!!」
「頼む」
ジンベイが吠え、火拳が再度頭を垂れた。
「ジンベイ。わたしにはわたしにできることしかできないの。
火拳を庇うにも、わたしには理由も謂われもない」
「しかしっ」
「そして、火拳をかばった結果が今のあなたでしょう」
「っ…」
「わたしにはわたしにできることしかできないの。
ジンベイ。火拳をかばうあなたをかばうのがせいぜいよ」
わたしは立ち上がりスカートをはたく。
「ではまたね。エース君。ジンベイ」
来たときと同じようにスタスタ歩けば、いつもの見慣れた檻の前に出た。
無言で檻に寄りかかり体育座りでしゃがみ込む。
「挨拶もなしか」
「…」
「何落ち込んでやがる」
「…」
「このおれを無視するとはいい度胸だ」
じゃらりと音がして、頭に鈍痛が走った。
「っ!!いった…っ痛い!!」
「痛いようにしたからな」
砂ワニの鉤爪で叩かれたらしい。
「女の子の頭になんてことを!!」
涙目で睨めばクロコダイルは頬を弛ませた。
「誰が女の子だ。おれの目の前には魔女しかいねえぜ?」
そして反対の右手でわたしの頭をわしわしと撫でる。
どっかりとわたしの後ろに座り込んだ。
「で?女の子とやらは何しょぼくれてやがる」
「からかわないで。一応落ち込んでいるのよ」
頬を膨らませてクロコダイルに向き直る。
「わたし、無力だなって」
「……」
「誰も救えないし守れないのね」
「大事な人も、大事な弟も、大事な友達も……
っ!!痛い!!」
また叩かれた。
涙目で振り返ればクロコダイルが機嫌の悪い顔で睨んでいた。
「なによう」
「バカか。てめえは」
「こんなところに捕まってるバカに言われたくないわ」
「てめえはてめえにできることをしてりゃいいんだ」
クロコダイルは檻越しに右手を伸ばしてわたしの頭を寄せる。
まっすぐに見つめられて何も言えない。
頭に添えられた右手はわたしの頬に触れて、いつの間にか流れていた涙を拭う。
「あるだろうが。てめえができること」
「……」
クロコダイルの右手に手を添えて立ち上がる。
「ありがとう」
「情けねえ中将補佐官殿だ」
そんな憎まれ口を無視して身を翻す。
再びジンベイと火拳の檻の前へ行く。
「エース君。こっちきて」
「あ?」
火拳は素直にこちらに体を伸ばす。
わたしは右手を伸ばして火拳の頭をわしわしと撫でた。
「わたしはわたしにできることをするわ」
「……」
そっと手を離し檻を離れる。
わたしはわたしにできることをしよう。
唇をかみしめて歩き出す。
さあ、わたしもそろそろ覚悟を決めようか。
「カズヤ中将補佐官」
「あら、ドミノ。なにかしら?」
「最近、よくいらっしゃいますね」
「ええ」
「不審な振る舞いは避けていただきますよう」
「気をつけるわ」
ひらひらとドミノに手を振る。
彼女の杞憂むなしく。
わたしは何度でもここに戻ってしまうのだろう。