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お名前をどうぞ、レディ
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ある時、サー・クロコダイルは七武海を除籍になった。
彼の経営するバロック・ワークス社がアラバスタ王国を乗っ取ろうとしていた。
その目論見が世間に暴かれ、英雄クロコダイルは麦藁のルフィに倒された。
彼は海底監獄インペルダウン、レベル6に投獄されることになり、
わたしはその搬送役を承った。
搬送の日、わたしはとある海軍本部グランドライン支部を訪れたのだが…
そこにはいろいろ残念な光景が広がっていた。
まず牢獄が崩壊している。
そしてバロックワークス社の幹部数名が消えている。
あげくにクロコダイルとダズ・ホーネスが囚人服ではなくなっていた。
「…サー・クロコダイル…と、ダズ・ホーネ…もとい変態をインペルダウンに連行に参りました。
海軍本部中将補佐官、カズヤです」
「悪い方向に言い直すな」
「いや、変態の名を冠するに相応しい服装なもので…。
ダズ・ホーネスの趣味に興味はございませんが、インペルダウンに着いたら
囚人服に着替えてくださいね」
少なくともわたしは囚人の趣味にも服装にも興味はないので、そっと流すこととして
彼の腕に海楼石の錠をかける。
「変態ではない。スーパーマンだ」
「…それで構いませんので、インペルダウンに着いたら囚人服に着替えてくださいね…」
「かわいそうなものを見る目でこちらを見るな」
「気のせいです。わたしめはあなたの趣味にも服装にも関知する気はございませんので
今は思う存分奇行を楽しまれてください。
今のうちにどうぞ」
ぎゃあぎゃあ騒ぐダズ・ホーネスを無視して今度はサー・クロコダイルに向き直る。
「で、あなたのそれはなんです?
ていうかあの変態も含めて、どこからそんな服を持ち出したんですか?」
「知らん。いきなり服装が変わった。
おそらくMs,ゴールデン・ウィークの能力なんだろうが…」
「ああ、あの捕獲しそこねたバロックワークス社の幹部ですね」
「そうだ。この服装は…海賊王か?」
クロコダイル自身もいぶかしげに自分の服装を眺めている。
逞しい肢体に凛々しいワイシャツと豪奢なマントが良く似合っている。
「よくお似合いですよ。でもこれだけはさせてください」
その素敵な装いにまったく似合わない錠をかける。
こればかりは仕方ない。
「よくお似合いなのに残念です。
ところであなたは脱走されなかったんですね」
「そうして欲しかったか?」
「わからないです。わたしにはわたしの気持ちがわかりません」
「気が乗らなかったんでね。愛する女の迎えを待たない男はモテねえからな」
「御冗談を」
クスリと笑いつつ、逃げてほしかった、という気持ちを心の奥底に仕舞う。
彼はわたしがインペルダウンへの迎えだとしても、
こうして待っていてくれたのだ。
でも、それ以上どうにもできない。
彼のしたことは許されることではない。
「おい、カズヤ。てめえまさか本当に…」
「あら、カズヤ早かったのね」
「ヒナ」
「お待たせ。残りを連れてきたわよ」
「ありがとう」
ヒナがバロックワークス社幹部の残党を投げ出した。
ヒナも崩壊した牢獄を見てため息を吐いた。
「まったく残念な光景ね。
ヒナ残念。
で?カズヤ、あの変態は何?」
「あれはああいう趣味の持ち主なの。そっとしておいてあげて」
「おい、お前ら二人そろって可哀そうなものを見る目でこちらを見るな!!!!」
「さ、四人とも行くわよ」
騒がしい三人とニヤニヤしたままのクロコダイルを連れて、わたしは軍艦に乗り込み
インペルダウンへ向かった。
「さて、これで手続きは以上よ。後は一生ここで幽閉されることになるわ」
ガシャリと音を立てて錠が落ちる。
わたしと、サー・クロコダイルの間には鉄格子という名の永遠の溝ができた。
もうわたしからは何をすることもなく、何をすることもできない。
あとはさようならと言うだけだ。
しかし、クロコダイルは海楼石につながれた右手で、わたしの左手を取った。
「なあ、カズヤ。おれと遊ばないか」
「素敵なお誘いですこと」
「もし、おれがこのインペルダウンから脱出できたらおれの勝ち」
こんな状況でも、クロコダイルの貫禄も余裕の笑みも絶えることはない。
「脱出できなかったらカズヤの勝ち。てめえには随分ハンデがあるだろう」
「クロコダイル」
「景品はお互いだ。おれがこのままここにいれば、
てめえはいつでもおれに会いに来て煮るなり焼くなり好きにすりゃあいい。
だが万が一におれがここから出られたら……
おれは今度こそてめえを奪い去るぞ」
彼はわたしの何をこれ以上奪うというのか。
もうこれ以上ないほど彼に奪われてしまっているのに。
それに、わたしが勝つもなにも彼はインペルダウンに捕らわれたまま。
永遠に捕らわれているかどうかは彼が死ぬまでわからない。
決してわたしのものになるわけではない。
「景品が不公平ですね」
思わず本音が漏れる。
「他に、ほしいものでもあるか?」
だって、そこにあなたが捕らわれている限り、あなたはわたしのものになんてならないじゃない。
精一杯の意地を張って、その言葉を飲み込む。
「いいえ、それで結構ですよ。サー・クロコダイル」
「そうか。賭けは成立。ゲームは今この瞬間からだ」
ガチャリ、海楼石の手錠を引きずって彼は監獄から手を伸ばす。
わたしの顎を取り自分の方へ向けた。
「open the game」
彼の唇がわたしの唇を奪い、ゲームは始まった。
彼の経営するバロック・ワークス社がアラバスタ王国を乗っ取ろうとしていた。
その目論見が世間に暴かれ、英雄クロコダイルは麦藁のルフィに倒された。
彼は海底監獄インペルダウン、レベル6に投獄されることになり、
わたしはその搬送役を承った。
搬送の日、わたしはとある海軍本部グランドライン支部を訪れたのだが…
そこにはいろいろ残念な光景が広がっていた。
まず牢獄が崩壊している。
そしてバロックワークス社の幹部数名が消えている。
あげくにクロコダイルとダズ・ホーネスが囚人服ではなくなっていた。
「…サー・クロコダイル…と、ダズ・ホーネ…もとい変態をインペルダウンに連行に参りました。
海軍本部中将補佐官、カズヤです」
「悪い方向に言い直すな」
「いや、変態の名を冠するに相応しい服装なもので…。
ダズ・ホーネスの趣味に興味はございませんが、インペルダウンに着いたら
囚人服に着替えてくださいね」
少なくともわたしは囚人の趣味にも服装にも興味はないので、そっと流すこととして
彼の腕に海楼石の錠をかける。
「変態ではない。スーパーマンだ」
「…それで構いませんので、インペルダウンに着いたら囚人服に着替えてくださいね…」
「かわいそうなものを見る目でこちらを見るな」
「気のせいです。わたしめはあなたの趣味にも服装にも関知する気はございませんので
今は思う存分奇行を楽しまれてください。
今のうちにどうぞ」
ぎゃあぎゃあ騒ぐダズ・ホーネスを無視して今度はサー・クロコダイルに向き直る。
「で、あなたのそれはなんです?
ていうかあの変態も含めて、どこからそんな服を持ち出したんですか?」
「知らん。いきなり服装が変わった。
おそらくMs,ゴールデン・ウィークの能力なんだろうが…」
「ああ、あの捕獲しそこねたバロックワークス社の幹部ですね」
「そうだ。この服装は…海賊王か?」
クロコダイル自身もいぶかしげに自分の服装を眺めている。
逞しい肢体に凛々しいワイシャツと豪奢なマントが良く似合っている。
「よくお似合いですよ。でもこれだけはさせてください」
その素敵な装いにまったく似合わない錠をかける。
こればかりは仕方ない。
「よくお似合いなのに残念です。
ところであなたは脱走されなかったんですね」
「そうして欲しかったか?」
「わからないです。わたしにはわたしの気持ちがわかりません」
「気が乗らなかったんでね。愛する女の迎えを待たない男はモテねえからな」
「御冗談を」
クスリと笑いつつ、逃げてほしかった、という気持ちを心の奥底に仕舞う。
彼はわたしがインペルダウンへの迎えだとしても、
こうして待っていてくれたのだ。
でも、それ以上どうにもできない。
彼のしたことは許されることではない。
「おい、カズヤ。てめえまさか本当に…」
「あら、カズヤ早かったのね」
「ヒナ」
「お待たせ。残りを連れてきたわよ」
「ありがとう」
ヒナがバロックワークス社幹部の残党を投げ出した。
ヒナも崩壊した牢獄を見てため息を吐いた。
「まったく残念な光景ね。
ヒナ残念。
で?カズヤ、あの変態は何?」
「あれはああいう趣味の持ち主なの。そっとしておいてあげて」
「おい、お前ら二人そろって可哀そうなものを見る目でこちらを見るな!!!!」
「さ、四人とも行くわよ」
騒がしい三人とニヤニヤしたままのクロコダイルを連れて、わたしは軍艦に乗り込み
インペルダウンへ向かった。
「さて、これで手続きは以上よ。後は一生ここで幽閉されることになるわ」
ガシャリと音を立てて錠が落ちる。
わたしと、サー・クロコダイルの間には鉄格子という名の永遠の溝ができた。
もうわたしからは何をすることもなく、何をすることもできない。
あとはさようならと言うだけだ。
しかし、クロコダイルは海楼石につながれた右手で、わたしの左手を取った。
「なあ、カズヤ。おれと遊ばないか」
「素敵なお誘いですこと」
「もし、おれがこのインペルダウンから脱出できたらおれの勝ち」
こんな状況でも、クロコダイルの貫禄も余裕の笑みも絶えることはない。
「脱出できなかったらカズヤの勝ち。てめえには随分ハンデがあるだろう」
「クロコダイル」
「景品はお互いだ。おれがこのままここにいれば、
てめえはいつでもおれに会いに来て煮るなり焼くなり好きにすりゃあいい。
だが万が一におれがここから出られたら……
おれは今度こそてめえを奪い去るぞ」
彼はわたしの何をこれ以上奪うというのか。
もうこれ以上ないほど彼に奪われてしまっているのに。
それに、わたしが勝つもなにも彼はインペルダウンに捕らわれたまま。
永遠に捕らわれているかどうかは彼が死ぬまでわからない。
決してわたしのものになるわけではない。
「景品が不公平ですね」
思わず本音が漏れる。
「他に、ほしいものでもあるか?」
だって、そこにあなたが捕らわれている限り、あなたはわたしのものになんてならないじゃない。
精一杯の意地を張って、その言葉を飲み込む。
「いいえ、それで結構ですよ。サー・クロコダイル」
「そうか。賭けは成立。ゲームは今この瞬間からだ」
ガチャリ、海楼石の手錠を引きずって彼は監獄から手を伸ばす。
わたしの顎を取り自分の方へ向けた。
「open the game」
彼の唇がわたしの唇を奪い、ゲームは始まった。