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お名前をどうぞ、レディ
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「レインディナーズへは何時ごろに行く予定ですか?」
「昼前にここを出て昼飯を食ってからだ」
朝、海楼石の鎖で縛られてぐったりと寝ているクロコダイルを起こす。
仕事モードなのか多少やつれつつもきっちりした答えが返ってくる。
「ったく。死ぬかと思ったぜ」
「わたしも犯されるところでした。海楼石の錠を持ってきて正解でしたよ」
「…この分のつけはきっちり払ってもらわねえとな…」
言うが早いがクロコダイルはわたしの唇に食らいつく。
そろそろこの展開にも慣れてきたのでされるがままに力を抜く。
「ほう。ずいぶんとおとなしいじゃねえか」
「諦めただけですよ。ほら、さっさと身支度してくださいな。
朝ご飯はどうされるのです?
食べる習慣がなければ、わたしはその辺で食べてきますが」
「いや、いつも屋敷内で食ってる。今朝はカズヤの分も用意させてあるから
一緒に食おう」
「アイアイサー。
執務室におりますので、着替えが済んだらお声掛けくださいな」
「ここにいりゃいいじゃねえか」
「なんなら海楼石の錠もありますが」
「警戒心の強いこった」
「日頃の行いって言葉ご存じで?」
朝食の後、午前中は執務室で仕事とのことなので一緒に執務室へ移動する。
「ところでてめえはこれからどうするんだ」
「とりあえず昨日のあなたの勤務状況をまとめて、
終わったら昼まで近所の散策予定です。
一般市民から見た王下七武海サー・クロコダイルの評判を聞いて回ってきます」
「そうか。付き添いは必要か?」
「父親か」
一仕事終わらせてレインベースへ繰り出す。
昨日同様に雲一つなく晴れたレインベースはとにかく暑い。
ワノ国の夏とはまた違った暑さだ。
確かに湿度が低いのはいいのだけれど、いかんせん乾燥がひどくて喉にくる。
いつもどおりの黒スーツが熱を吸ってともかく暑い。
ジャケットは置いてきて正解だようだ。
ついでにクロコダイルに勧められて首に巻いたスカーフの効果も絶大である。
これが無かったら今頃首が真っ赤になってしまっていたに違いない。
活気のある人々に声をかければ、皆一様にクロコダイルを褒め称える。
海賊がここまでもてはやされると軍人としては複雑だけど
監査の結果としては上々だろう。
人望があり、力がある。
クロコダイルの名前を出すだけで犯罪が減るというなら、七武海として優秀この上ない。
でも。
なんだろう。
この違和感。
中将補佐官としては民衆の反応は喜ばしい。
でも。
わたしとしては違和感がある。
クロコダイルはそんなに素晴らしい男か?
もちろん嫌いなわけじゃない。
むしろ好ましいたぐいだ。
でも。
違う。
クロコダイルはそんな民衆から愛されるような男じゃない。
誰も気が付かないのだろうか。
あの狡猾なまなざしに。
厭らしい性根に。
すごく、すごく狡くて黒い何かに。
立ち止まって考えていると、炎天下に焼かれてどうしても思考が暗くなる。
そのせいだろうか。
このレインベースという街が、ひどく揺らいで見えた。
一通り聞いて回ってからクロコダイルの屋敷へ戻る。
「戻りましたよ」
「帰ったか。危ねえことはなかったか?
変な野郎に言い寄られたり、襲われたりはしなかったか?
昨日のバカな女どもに出くわしたりはしなかったか?」
「…父親か。
汗かいたからシャワー浴びてきます。
にしても暑いわね。スーツじゃ厳しいわ」
クロコダイルの心配はさておくとして…
この暑さじゃこれ以上スーツで出かけるには無理がある。
と言ってもスーツ以外の服は持ち合わせていない。
なんか衣類を買ってくれば良かった。
「ああ、それなら昨日のうちにてめえ用の服を取り寄せておいた」
そういうとクロコダイルはソファを指す。
そこにはゆったりしたローブのような服一式と靴と鞄までそろえてある。
「手を煩わせてしまったわね。
こんなに用意してもらって…。ありがとう。
お金出すわ」
「構いやしねえよ。いいからシャワー浴びてこい」
「のぞかないでよ」
「いや、おれもあび
「却下」
シャワーを浴びて軽く昼食をとったあと、二人でレインディナーズへ向かう。
「わたし、カジノって初めてなのよね」
「ほう。
せっかくだ。少し都合つけてやるからやってみたらどうだ?」
「仕事中なのだけど…
ま、これも監査の一環てことで嗜んでみようかしら」
というわけで、まずはルーレットの前に座る。
「やり方はさっき説明したとおりだ。
相手は…そうだな。
おい、てめえこいつの相手になってくれねえか」
そう言ってクロコダイルに指名されたのは
昨日わたしとクロコダイルの仲にやっかんでいた女性だった。
「ちょっと、クロコダイル!?
どういうつもりよ」
クロコダイルを引き寄せ文句を言う。
しかしクロコダイルはどこを吹く風。
「いいじゃねえか。
おれの女を見せつけてやるんだよ」
「もう…」
「あら、自信がないの?
だったらクロコダイル様の隣をわたしに明け渡して、
とっとと尻尾を巻いて逃げればいいんじゃないかしら?」
「初めてなの。お手柔らかに頼むわ」
このバカ女。
目にもの見せてくれる。
かくして、女同士の戦いの火蓋はきって落とされた。
クロコダイルに嵌められた感は否めないが、挑発してきた女が悪い。
「黒」
「白」
「白の36」
「黒の1」
「クハハ、大人気ねえなあ、カズヤ」
クロコダイルが楽しそうに戦況を見守っている。
当の女は冷や汗をかき真っ青になっていた。
当然だろう。
ここまでわたしの15連勝なのだから。
「ひっ、卑怯よ?
いったいどんなイカサマしてるわけ?」
わたしの連勝が20を超えたところで女が発狂した。
「してないわよ。言ったでしょ?初めてって」
はたして見聞色の覇気を使うのはイカサマなのかどうか…
まあ経営者のクロコダイルが笑って見てるんだからセーフなのだろう。
「クロコダイル様?
こんな卑怯な女、許しておいていいのですか?」
「ほう。おれの女に卑怯とは言ってくれる。
だいたい経営者の目の前でイカサマやらかすバカがここにいると思うのか?
経営者たるおれが、それを許すとでも?」
女は悔しそうに唇を噛む。
「もうやめておく?」
なんとなくいたたまれなくなって、助け船を出す。
なんか可哀想だし。
確かに大人気なかったし。
なにより十分稼いだし。
「なっ、なによ!!余裕ぶっちゃって!!
っ…まあいいわ。
次は覚えてらっしゃいよ!!!?」
小悪党な捨て台詞を吐くと女はカツカツとヒールを響かせて立ち去ってしまった。
「良かったのかしら」
「クハハ、お優しい中将補佐官殿だ。
放っておけ。
敗者には負け方は選べねえんだよ」
そうクロコダイルは笑って立ち上がる。
「さて、これから先はおれのお相手を願おうか」
「じゃあ、ポーカーしましょう。
ルールわかるし」
わたしとクロコダイルの間でお金をやりとりしても仕方ないので
賭け金はいっさいなし。
その代わり、いつもの訓練同様にできるだけの力で相手を叩き潰す。
とは言っても百戦練磨のクロコダイルと今日初めてカジノにきたわたしでは、結果なんてたかが知れていて。
それでも見聞色の覇気でなんとか勝負と言えるところまでもっていく。
ポーカー、ブラックジャック、スロット等々一通りクロコダイルに教わって遊ぶ。
終わった頃には既に日が暮れていた。
「カズヤは勝負運があるな。
センスもいい。
どうだ、ここでディーラーでもやるか?」
帰り道、クロコダイルに誘われる。
「前にもお伝えしたとおりですよ」
「クハハ、つれねえ女だ」
お願い。
誘わないで。
わたしの理性が弾き飛んでしまう。
あなたは気がついているのかしら。
わたしがこんなにもあなたに揺らいでいること。
嫌いじゃないよ。
でも怖いな。
結構好きだよ。
でもきな臭い。
そうして、二日目の監査が終了した。
「昼前にここを出て昼飯を食ってからだ」
朝、海楼石の鎖で縛られてぐったりと寝ているクロコダイルを起こす。
仕事モードなのか多少やつれつつもきっちりした答えが返ってくる。
「ったく。死ぬかと思ったぜ」
「わたしも犯されるところでした。海楼石の錠を持ってきて正解でしたよ」
「…この分のつけはきっちり払ってもらわねえとな…」
言うが早いがクロコダイルはわたしの唇に食らいつく。
そろそろこの展開にも慣れてきたのでされるがままに力を抜く。
「ほう。ずいぶんとおとなしいじゃねえか」
「諦めただけですよ。ほら、さっさと身支度してくださいな。
朝ご飯はどうされるのです?
食べる習慣がなければ、わたしはその辺で食べてきますが」
「いや、いつも屋敷内で食ってる。今朝はカズヤの分も用意させてあるから
一緒に食おう」
「アイアイサー。
執務室におりますので、着替えが済んだらお声掛けくださいな」
「ここにいりゃいいじゃねえか」
「なんなら海楼石の錠もありますが」
「警戒心の強いこった」
「日頃の行いって言葉ご存じで?」
朝食の後、午前中は執務室で仕事とのことなので一緒に執務室へ移動する。
「ところでてめえはこれからどうするんだ」
「とりあえず昨日のあなたの勤務状況をまとめて、
終わったら昼まで近所の散策予定です。
一般市民から見た王下七武海サー・クロコダイルの評判を聞いて回ってきます」
「そうか。付き添いは必要か?」
「父親か」
一仕事終わらせてレインベースへ繰り出す。
昨日同様に雲一つなく晴れたレインベースはとにかく暑い。
ワノ国の夏とはまた違った暑さだ。
確かに湿度が低いのはいいのだけれど、いかんせん乾燥がひどくて喉にくる。
いつもどおりの黒スーツが熱を吸ってともかく暑い。
ジャケットは置いてきて正解だようだ。
ついでにクロコダイルに勧められて首に巻いたスカーフの効果も絶大である。
これが無かったら今頃首が真っ赤になってしまっていたに違いない。
活気のある人々に声をかければ、皆一様にクロコダイルを褒め称える。
海賊がここまでもてはやされると軍人としては複雑だけど
監査の結果としては上々だろう。
人望があり、力がある。
クロコダイルの名前を出すだけで犯罪が減るというなら、七武海として優秀この上ない。
でも。
なんだろう。
この違和感。
中将補佐官としては民衆の反応は喜ばしい。
でも。
わたしとしては違和感がある。
クロコダイルはそんなに素晴らしい男か?
もちろん嫌いなわけじゃない。
むしろ好ましいたぐいだ。
でも。
違う。
クロコダイルはそんな民衆から愛されるような男じゃない。
誰も気が付かないのだろうか。
あの狡猾なまなざしに。
厭らしい性根に。
すごく、すごく狡くて黒い何かに。
立ち止まって考えていると、炎天下に焼かれてどうしても思考が暗くなる。
そのせいだろうか。
このレインベースという街が、ひどく揺らいで見えた。
一通り聞いて回ってからクロコダイルの屋敷へ戻る。
「戻りましたよ」
「帰ったか。危ねえことはなかったか?
変な野郎に言い寄られたり、襲われたりはしなかったか?
昨日のバカな女どもに出くわしたりはしなかったか?」
「…父親か。
汗かいたからシャワー浴びてきます。
にしても暑いわね。スーツじゃ厳しいわ」
クロコダイルの心配はさておくとして…
この暑さじゃこれ以上スーツで出かけるには無理がある。
と言ってもスーツ以外の服は持ち合わせていない。
なんか衣類を買ってくれば良かった。
「ああ、それなら昨日のうちにてめえ用の服を取り寄せておいた」
そういうとクロコダイルはソファを指す。
そこにはゆったりしたローブのような服一式と靴と鞄までそろえてある。
「手を煩わせてしまったわね。
こんなに用意してもらって…。ありがとう。
お金出すわ」
「構いやしねえよ。いいからシャワー浴びてこい」
「のぞかないでよ」
「いや、おれもあび
「却下」
シャワーを浴びて軽く昼食をとったあと、二人でレインディナーズへ向かう。
「わたし、カジノって初めてなのよね」
「ほう。
せっかくだ。少し都合つけてやるからやってみたらどうだ?」
「仕事中なのだけど…
ま、これも監査の一環てことで嗜んでみようかしら」
というわけで、まずはルーレットの前に座る。
「やり方はさっき説明したとおりだ。
相手は…そうだな。
おい、てめえこいつの相手になってくれねえか」
そう言ってクロコダイルに指名されたのは
昨日わたしとクロコダイルの仲にやっかんでいた女性だった。
「ちょっと、クロコダイル!?
どういうつもりよ」
クロコダイルを引き寄せ文句を言う。
しかしクロコダイルはどこを吹く風。
「いいじゃねえか。
おれの女を見せつけてやるんだよ」
「もう…」
「あら、自信がないの?
だったらクロコダイル様の隣をわたしに明け渡して、
とっとと尻尾を巻いて逃げればいいんじゃないかしら?」
「初めてなの。お手柔らかに頼むわ」
このバカ女。
目にもの見せてくれる。
かくして、女同士の戦いの火蓋はきって落とされた。
クロコダイルに嵌められた感は否めないが、挑発してきた女が悪い。
「黒」
「白」
「白の36」
「黒の1」
「クハハ、大人気ねえなあ、カズヤ」
クロコダイルが楽しそうに戦況を見守っている。
当の女は冷や汗をかき真っ青になっていた。
当然だろう。
ここまでわたしの15連勝なのだから。
「ひっ、卑怯よ?
いったいどんなイカサマしてるわけ?」
わたしの連勝が20を超えたところで女が発狂した。
「してないわよ。言ったでしょ?初めてって」
はたして見聞色の覇気を使うのはイカサマなのかどうか…
まあ経営者のクロコダイルが笑って見てるんだからセーフなのだろう。
「クロコダイル様?
こんな卑怯な女、許しておいていいのですか?」
「ほう。おれの女に卑怯とは言ってくれる。
だいたい経営者の目の前でイカサマやらかすバカがここにいると思うのか?
経営者たるおれが、それを許すとでも?」
女は悔しそうに唇を噛む。
「もうやめておく?」
なんとなくいたたまれなくなって、助け船を出す。
なんか可哀想だし。
確かに大人気なかったし。
なにより十分稼いだし。
「なっ、なによ!!余裕ぶっちゃって!!
っ…まあいいわ。
次は覚えてらっしゃいよ!!!?」
小悪党な捨て台詞を吐くと女はカツカツとヒールを響かせて立ち去ってしまった。
「良かったのかしら」
「クハハ、お優しい中将補佐官殿だ。
放っておけ。
敗者には負け方は選べねえんだよ」
そうクロコダイルは笑って立ち上がる。
「さて、これから先はおれのお相手を願おうか」
「じゃあ、ポーカーしましょう。
ルールわかるし」
わたしとクロコダイルの間でお金をやりとりしても仕方ないので
賭け金はいっさいなし。
その代わり、いつもの訓練同様にできるだけの力で相手を叩き潰す。
とは言っても百戦練磨のクロコダイルと今日初めてカジノにきたわたしでは、結果なんてたかが知れていて。
それでも見聞色の覇気でなんとか勝負と言えるところまでもっていく。
ポーカー、ブラックジャック、スロット等々一通りクロコダイルに教わって遊ぶ。
終わった頃には既に日が暮れていた。
「カズヤは勝負運があるな。
センスもいい。
どうだ、ここでディーラーでもやるか?」
帰り道、クロコダイルに誘われる。
「前にもお伝えしたとおりですよ」
「クハハ、つれねえ女だ」
お願い。
誘わないで。
わたしの理性が弾き飛んでしまう。
あなたは気がついているのかしら。
わたしがこんなにもあなたに揺らいでいること。
嫌いじゃないよ。
でも怖いな。
結構好きだよ。
でもきな臭い。
そうして、二日目の監査が終了した。