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お名前をどうぞ、レディ
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ある日のマリンフォード。
静かな会議室にわたしの声だけが響く。
「最近、サンディ諸島近辺およびドレスローザ近海にて
新人の海賊たちが暴れているとの報告が多々上がっています。
サー・クロコダイル、ドンキホーテ・ドフラミンゴ各位は
一般人に被害が出る前に迅速な対応をお願いします」
「ああ。見張りを強化しておこう」
「まっかせろって、カズヤちゃん!!
おれ様がばっちり駆逐しておくからよお」
クロコダイルとドフラミンゴが答える。
人間性はさておき、海軍の手も回らないので彼らに頼るしかない。
「よろしくお願いします。
続きまして、東の海の近況ですが…」
「待ってください、カズヤ中将補佐官!!」
そこでわたしの声を遮ったのは、最近少将になった若い海兵だった。
思わず心の中で舌打ちする。
こいつはいわゆる二世で、決まったことをすぐにひっくり返したがる。
そして何故かわたしの意見にばかり突っかかってくるのだ。
「アレン少将。なにか?」
「七武海にばかり頼っていてよいのですか?
我々海軍としても、こんな海賊崩れに頼ってばかりでいけないのでは?」
「(海賊崩れ…。クロコダイルとドフラミンゴがめっちゃ睨んでるよ…)
では、どうなさいます?」
「それは…」
アレン少将はすぐに口をつぐむ。
「では、具体的な案がありましたら後でお持ちください。
東の海の近況ですが、先日ゴア王国の近海で革命軍と思われる集団が発見されましたので
モモンガ中将が偵察に向かいました。
あと一週間ほどで状況報告が上がる予定ですので、その際には…」
一度黙ると、その会議では口を聞かないアレン少将の口出しもなく、会議は淡々と終わった。
会議後にクロコダイルとドフラミンゴに二人の管轄で暴れる海賊の手配書を渡して、
わたしとクロコダイルはいつものとおり、ともにわたしの執務室に引き上げる。
「カズヤ、この後の予定は」
「ちゃんと空けてありますわ。
会議の議事録だけまとめるから少し待っていただける?」
「早くしろよ」
クロコダイルは当たり前のように、わたしの執務室のソファでくつろいでいる。
わたしも素早く議事録をまとめて、後は増刷して会議の参加者に配るだけ…というときだった。
こんこん
執務室の戸がノックされた。
「はい?」
「カズヤさん、僕です。
アレンです。今よろしいでしょうか」
すでに立ち上がって部屋から出ようとしていたクロコダイルが眉間にシワをよせる。
「よろしくねえ。一昨日来やがれ」
「ちょ、クロコダイル?
アレン少将?ごめんなさい。わたしこの後用事あるから…」
「海賊とですか?」
ドアを勢いよく開けて、アレン少将が突入してくる。
そして目の前のクロコダイルを睨みつけた。
「なんで、海賊崩れがカズヤさんの部屋にいるんですか。
部外者は立ち入り禁止ですよ。
出て行ってください」
「あぁ?今、この状況下じゃあ、部外者はてめえだ。
カズヤが忙しいってのが聞こえなかったか?」
なにやら二人の雲行きが怪しくなる。
「はあ…。
アレン少将。わたし、今からクロコダイル氏と訓練なの。
緊急でなければ後に…」
「カズヤさん!?
あなたは少将である僕より、こんな海賊崩れを優先するんですか?」
アレン少将が「海賊崩れ」を連呼する度にクロコダイルの眉間のシワが増えていく。
わたしはもう一度ため息をついた。
「アレン少将。
少将だと言うなら少し言葉遣いを正しなさい。
クロコダイル氏は海賊崩れじゃないわ。
彼はれっきとした王下七武海の海賊よ。
あまり舐めた口をきいていると、いつ殺されるかわからないわ」
わたしが諌めると、何故かアレン少将は顔を輝かせた。
「カズヤさん!!僕を心配してくださってるんですね?
大丈夫ですよ。
あなたは僕が守ります!!」
…宇宙人と話してるみたいだ。
まったく会話になっていない。
「誰がカズヤを守るって?」
クロコダイルがわたしをかばうように、アレン少将とわたしの間に立ちふさがった。
「カズヤはてめえめてぇな貧弱な野郎に守られるほどやわじゃねえ」
「こう見えても僕は少将ですよ?
今すぐカズヤさんにつく悪い虫を退治してみせます?」
「ほう。見せてもらおうじゃねえか」
「僕に負けて七武海脱退となってから謝っても遅いですよ」
わたしが口を挟む間もなく、男たちの熱い戦いが始まった。
屋外訓練場の真ん中でクロコダイルとアレン少将が向かい合う。
「悪いこと言わないから、今すぐやめた方が…」
わたしはため息混じりでアレン少将を止める。
「僕を心配してくださってるんですか?
大丈夫ですよ。安心して僕の勇姿を見守っていてください」
「クロコダイル、殺しちゃダメよ?」
「わかってるさ。死よりも無惨に叩き潰す」
「わかってない!!」
クロコダイルはわたしを後ろにかばい、
悠然とアレン少尉の前に立ちふさがる。
「このおれに楯突く無鉄砲さを買って、先手は譲ってやろう」
「その余裕が命取りですよ??」
構えもしないクロコダイルにアレン少将がサーベル突き出した。
…
……
それだけだった。
海楼石でもなく、覇気をまとっているわけでもないサーベルは
当然のようにクロコダイルの体を素通りする。
「えっ?えっ?」
「まさかそれで終わりとは言わねえよな?」
眉間にシワをよせるクロコダイルにアレン少将が真っ青になる。
「何もしねえなら、こちらから行くぜ?」
「くっ」
アレン少尉がクロコダイルの胴を断ち切るようにサーベルを振り回す。
しかし、先ほどと同様にサーベルはただただ砂を切るだけだ。
「何の冗談だ?」
気の短いクロコダイルがアレン少将の頭を鷲掴み、ぶん投げた。
アレン少将は軽々と放られ、訓練場の隅に突っ伏す。
「何だってんだ?」
あまりの結果にクロコダイルが首を傾げる。
「さあ…」
アレン少将の元に行くと、彼は泣いていた。
「あの…アレン少将?」
「カズヤさん…あいつ…何なんですか!?
なんで…僕のサーベルが…」
「何って…砂?」
「だってカズヤさんは普通に刀でぶった切っていたじゃないですか!!!!」
「そりゃあ覇気まとってたし」
「意味が解りません!!!!」
わたしもわかりません。
首をかしげまくっていると、後ろからクロコダイルに首根っこを掴まれる。
「なんですか」
「おい、小僧」
「ひっ」
アレン少尉はクロコダイルに完全に怯えてしまったらしく
じりじりと後ずさる。
「今後カズヤに手ェ出したらどうなるかわかってんだろうなあ?」
悪人面で怯えた少尉に迫るクロコダイル。
大人げないよ。
「おっ、お前なんかパパにいいつけ「アレン少尉」
あまりの情けない発言に止めに入る。
「カズヤさん!?止めないでください。
こんな荒くれ者に海軍本部内を我が物顔でうろつかれて悔しくないんですか!!!?」
「わたしは今、アレン少尉の失態に情けない気持ちでいっぱいです。
コビー!!」
「はいっっ」
訓練場のそばで野次馬していたコビーを呼びつける。
「少尉をガープ中将のところに連れて行って、この様を報告してきてくれるかしら」
「承りました!!さ、行きますよ」
アレン少尉は最後までなんやかんや騒いでいたが
コビーの腕力にすら敵わず、引きずっていかれた。
「ったく。最後まで小者だな」
クロコダイルは呆れたように紫煙を吐き出した。
「情けないっていうか、同じ海軍として面目ないっていうか…
彼の上司として、大変失礼な真似をしましたと謝るべきなんでしょうね…」
部下の情けなさに涙が出そうだ。
「ふん。
あんな貧弱なもやしの分際でおれのカズヤに手ェ出そうとする方が悪ィ」
「まことに申し訳ございませんでした」
「このつけは体で払ってもらうぜ?」
「今日の訓練はハードモードでよろしく」
「色気のねえ女だ」
クハハ、とクロコダイルが笑った。
「しかし、だ」
「う?」
耳元でぼそりとささやかれる。
「次にカズヤに手ェ出すバカがいたら、もれなく枯らすからな」
「…いませんよ、そんなバカ」
力なく笑ってごまかす。
やれやれ。
そんな物好き、クロコダイルだけですよ。
静かな会議室にわたしの声だけが響く。
「最近、サンディ諸島近辺およびドレスローザ近海にて
新人の海賊たちが暴れているとの報告が多々上がっています。
サー・クロコダイル、ドンキホーテ・ドフラミンゴ各位は
一般人に被害が出る前に迅速な対応をお願いします」
「ああ。見張りを強化しておこう」
「まっかせろって、カズヤちゃん!!
おれ様がばっちり駆逐しておくからよお」
クロコダイルとドフラミンゴが答える。
人間性はさておき、海軍の手も回らないので彼らに頼るしかない。
「よろしくお願いします。
続きまして、東の海の近況ですが…」
「待ってください、カズヤ中将補佐官!!」
そこでわたしの声を遮ったのは、最近少将になった若い海兵だった。
思わず心の中で舌打ちする。
こいつはいわゆる二世で、決まったことをすぐにひっくり返したがる。
そして何故かわたしの意見にばかり突っかかってくるのだ。
「アレン少将。なにか?」
「七武海にばかり頼っていてよいのですか?
我々海軍としても、こんな海賊崩れに頼ってばかりでいけないのでは?」
「(海賊崩れ…。クロコダイルとドフラミンゴがめっちゃ睨んでるよ…)
では、どうなさいます?」
「それは…」
アレン少将はすぐに口をつぐむ。
「では、具体的な案がありましたら後でお持ちください。
東の海の近況ですが、先日ゴア王国の近海で革命軍と思われる集団が発見されましたので
モモンガ中将が偵察に向かいました。
あと一週間ほどで状況報告が上がる予定ですので、その際には…」
一度黙ると、その会議では口を聞かないアレン少将の口出しもなく、会議は淡々と終わった。
会議後にクロコダイルとドフラミンゴに二人の管轄で暴れる海賊の手配書を渡して、
わたしとクロコダイルはいつものとおり、ともにわたしの執務室に引き上げる。
「カズヤ、この後の予定は」
「ちゃんと空けてありますわ。
会議の議事録だけまとめるから少し待っていただける?」
「早くしろよ」
クロコダイルは当たり前のように、わたしの執務室のソファでくつろいでいる。
わたしも素早く議事録をまとめて、後は増刷して会議の参加者に配るだけ…というときだった。
こんこん
執務室の戸がノックされた。
「はい?」
「カズヤさん、僕です。
アレンです。今よろしいでしょうか」
すでに立ち上がって部屋から出ようとしていたクロコダイルが眉間にシワをよせる。
「よろしくねえ。一昨日来やがれ」
「ちょ、クロコダイル?
アレン少将?ごめんなさい。わたしこの後用事あるから…」
「海賊とですか?」
ドアを勢いよく開けて、アレン少将が突入してくる。
そして目の前のクロコダイルを睨みつけた。
「なんで、海賊崩れがカズヤさんの部屋にいるんですか。
部外者は立ち入り禁止ですよ。
出て行ってください」
「あぁ?今、この状況下じゃあ、部外者はてめえだ。
カズヤが忙しいってのが聞こえなかったか?」
なにやら二人の雲行きが怪しくなる。
「はあ…。
アレン少将。わたし、今からクロコダイル氏と訓練なの。
緊急でなければ後に…」
「カズヤさん!?
あなたは少将である僕より、こんな海賊崩れを優先するんですか?」
アレン少将が「海賊崩れ」を連呼する度にクロコダイルの眉間のシワが増えていく。
わたしはもう一度ため息をついた。
「アレン少将。
少将だと言うなら少し言葉遣いを正しなさい。
クロコダイル氏は海賊崩れじゃないわ。
彼はれっきとした王下七武海の海賊よ。
あまり舐めた口をきいていると、いつ殺されるかわからないわ」
わたしが諌めると、何故かアレン少将は顔を輝かせた。
「カズヤさん!!僕を心配してくださってるんですね?
大丈夫ですよ。
あなたは僕が守ります!!」
…宇宙人と話してるみたいだ。
まったく会話になっていない。
「誰がカズヤを守るって?」
クロコダイルがわたしをかばうように、アレン少将とわたしの間に立ちふさがった。
「カズヤはてめえめてぇな貧弱な野郎に守られるほどやわじゃねえ」
「こう見えても僕は少将ですよ?
今すぐカズヤさんにつく悪い虫を退治してみせます?」
「ほう。見せてもらおうじゃねえか」
「僕に負けて七武海脱退となってから謝っても遅いですよ」
わたしが口を挟む間もなく、男たちの熱い戦いが始まった。
屋外訓練場の真ん中でクロコダイルとアレン少将が向かい合う。
「悪いこと言わないから、今すぐやめた方が…」
わたしはため息混じりでアレン少将を止める。
「僕を心配してくださってるんですか?
大丈夫ですよ。安心して僕の勇姿を見守っていてください」
「クロコダイル、殺しちゃダメよ?」
「わかってるさ。死よりも無惨に叩き潰す」
「わかってない!!」
クロコダイルはわたしを後ろにかばい、
悠然とアレン少尉の前に立ちふさがる。
「このおれに楯突く無鉄砲さを買って、先手は譲ってやろう」
「その余裕が命取りですよ??」
構えもしないクロコダイルにアレン少将がサーベル突き出した。
…
……
それだけだった。
海楼石でもなく、覇気をまとっているわけでもないサーベルは
当然のようにクロコダイルの体を素通りする。
「えっ?えっ?」
「まさかそれで終わりとは言わねえよな?」
眉間にシワをよせるクロコダイルにアレン少将が真っ青になる。
「何もしねえなら、こちらから行くぜ?」
「くっ」
アレン少尉がクロコダイルの胴を断ち切るようにサーベルを振り回す。
しかし、先ほどと同様にサーベルはただただ砂を切るだけだ。
「何の冗談だ?」
気の短いクロコダイルがアレン少将の頭を鷲掴み、ぶん投げた。
アレン少将は軽々と放られ、訓練場の隅に突っ伏す。
「何だってんだ?」
あまりの結果にクロコダイルが首を傾げる。
「さあ…」
アレン少将の元に行くと、彼は泣いていた。
「あの…アレン少将?」
「カズヤさん…あいつ…何なんですか!?
なんで…僕のサーベルが…」
「何って…砂?」
「だってカズヤさんは普通に刀でぶった切っていたじゃないですか!!!!」
「そりゃあ覇気まとってたし」
「意味が解りません!!!!」
わたしもわかりません。
首をかしげまくっていると、後ろからクロコダイルに首根っこを掴まれる。
「なんですか」
「おい、小僧」
「ひっ」
アレン少尉はクロコダイルに完全に怯えてしまったらしく
じりじりと後ずさる。
「今後カズヤに手ェ出したらどうなるかわかってんだろうなあ?」
悪人面で怯えた少尉に迫るクロコダイル。
大人げないよ。
「おっ、お前なんかパパにいいつけ「アレン少尉」
あまりの情けない発言に止めに入る。
「カズヤさん!?止めないでください。
こんな荒くれ者に海軍本部内を我が物顔でうろつかれて悔しくないんですか!!!?」
「わたしは今、アレン少尉の失態に情けない気持ちでいっぱいです。
コビー!!」
「はいっっ」
訓練場のそばで野次馬していたコビーを呼びつける。
「少尉をガープ中将のところに連れて行って、この様を報告してきてくれるかしら」
「承りました!!さ、行きますよ」
アレン少尉は最後までなんやかんや騒いでいたが
コビーの腕力にすら敵わず、引きずっていかれた。
「ったく。最後まで小者だな」
クロコダイルは呆れたように紫煙を吐き出した。
「情けないっていうか、同じ海軍として面目ないっていうか…
彼の上司として、大変失礼な真似をしましたと謝るべきなんでしょうね…」
部下の情けなさに涙が出そうだ。
「ふん。
あんな貧弱なもやしの分際でおれのカズヤに手ェ出そうとする方が悪ィ」
「まことに申し訳ございませんでした」
「このつけは体で払ってもらうぜ?」
「今日の訓練はハードモードでよろしく」
「色気のねえ女だ」
クハハ、とクロコダイルが笑った。
「しかし、だ」
「う?」
耳元でぼそりとささやかれる。
「次にカズヤに手ェ出すバカがいたら、もれなく枯らすからな」
「…いませんよ、そんなバカ」
力なく笑ってごまかす。
やれやれ。
そんな物好き、クロコダイルだけですよ。