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お名前をどうぞ、レディ
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想定どおり。
わたしがニヤリと笑い、部下が震え上がっている。
「あのバカに連絡しなさい」
部下が駆け出した。
…
数時間前、マリンフォードに通報があった。
アラバスタ王国近くの島で海賊が暴れているとのことだったので、
わたしは部下を数名連れて向かった。
その島の近海まで軍艦を進めれば、
通報どおり海賊が町を荒しているのがわかる。
軍艦を港の影に止めて部下たちには待機と作戦を命ずる。
わたしは女性士官と二人で海軍の腕章を外して小舟で島の港へ向かった。
いわゆるおとり捜査だ。
わたしと女性士官二人で海賊どもに捕まるふりをする。
うまく全員がそろったところで女性士官を逃し他の部下たちを呼びに行かせる。
わたしは一通り暴れて海賊を捕獲する。
かつんと島へ踏み入る。
そこで嫌なものを見た。
見覚えのあるジョリーロジャー。
これは…次に会ったときに張り倒してくれる。
沈痛な面持ちに女性士官がわたしの顔を覗き込む。
「あの…カズヤちゅう…さん。いかがされました?」
「何でもないわ。何かあったらここに連絡して現状を伝えなさい。
バカが出るわ。
ああ、バカがうつるといけないから早めに切るのよ」
ささっとバカの電伝虫の番号をメモして彼女に渡す。
「さ、行くわよ」
「あ、は、はいっ」
向かうのは奴らが根城にしていそうな酒場。
適当にぶらついていると、下卑た笑い声が聞こえてきた。
おそらくここだ。
二人で店に入れば鬱陶しい視線がからみつく。
「お、こんなしけた島に女二人連れかあ?」
「両方なかなかじゃねえか。しばらく遊んだら売っぱらちまおうぜ」
「いい値段になりそうだ」
女性士官は小さく震えている。
彼女はまだ海軍に入って日が浅いから仕方ない。
できるだけ軍人臭の少ない方が都合が良いから連れてきたのだけど
可哀そうだったかしら。
「なあなあ、姉ちゃん。おれらと遊ぼうぜ」
「二人まとめて可愛がってやっからよ」
「ひっ」
女性士官が悲鳴を上げる。
「おうおう、かわいいなあ。大丈夫だよ。優しくしてやっからねえ」
そもそもあんたらの顔がこの世に優しくないわよ。
おとなしく捕まって、わたしの小銭に変わるといいわ。
そして文頭に戻る。
想定どおり。
バカどもはバカらしく、バカみたいに使い古された手であっさり罠にはまってくれた。
わたしがニヤリと笑い、部下が震え上がっている。
「あのバカに連絡しなさい」
女性士官が駆け出した。
しかし、すぐに海賊に捕まってしまう。
「おいおい、お友達置いて逃げるたあ薄情な姉ちゃんだなあ?」
「っ…」
「こっちはこっちで何ニヤついちゃってんの?」
「カズヤさっ…」
女性士官は両腕を後ろに回されて捕まってしまっている。
そろそろかわいそうなので作戦変更。
さくっと暴れて、残りの連中は後日このバカどもを取り仕切っている大バカにでも
始末してもらうとしよう。
「あ?なんだあ?このねえちゃ…うぐっ!!!?」
「てめえ!!!!仲間に何しやがった!!!!」
一番近くにいた海賊の横っ腹に回し蹴り。
バカはバカらしく軽く吹っ飛ぶ。
もう一人突っ込んできたので回した足を上にあげて踵を落とす。
変な音を立ててバカが沈んだ。
周囲が一気に殺気立つ。
「てっ、てめえ!!!!
何者だ!!!?
この女がどうなっても構わねえのか!!!?」
海賊は愚かにも捕まっていた女性士官を盾に脅してきた。
バカはどこまでいってもバカなのね。
ため息を溢す。
「構わないわ。自分の身も守れない者は海軍に不要です」
女性士官の瞳が絶望にゆがむ。
厳しいことを言ってしまったが、見捨てるつもりはさらさらない。
もちろん助けに入る。
「か、海軍だあ!!!?
けっ、厳しい上司を持つと可哀そ…
「バカが」
わたしが地を蹴った瞬間想定外の声が聞こえた。
さらり、さらり。
バカの口を砂が多い、体の水分を吸い取る。
「おれのシマで好き勝手暴れてんじゃねえよ。
クソ鳥の手下が」
砂煙の奥からクロコダイルが現れた。
わたしは急ブレーキをかけてクロコダイルの正面に立つ。
「ずいぶん冷たい中将補佐官殿だなあ?」
「嘘に決まっているでしょう。人の見せ場、邪魔してくれちゃって」
女性士官が目を丸くして見上げている。
「ああ、貴女は彼に会うのは初めてね。
彼はサー・クロコダイル。王下七武海の一角よ」
「あの…七武海の一人…」
「危ないから彼の後ろに下がっていなさいな。
あまり気は進まないけど海軍の戦いを見ていなさい」
まだ震えの止まらない女性士官にパサリとジャケットをかぶせる。
「カズヤ中将補佐官…」
「サー・クロコダイル、掩護を」
「クハハ、人使いの荒い中将補佐官殿だぜ」
なんて言いながらも女性士官の前に立つあたり、わたしの顔を立ててくれるようだ。
周囲を見渡せば海賊たちがこちらに殺意を向けている。
「何がクロコダイルだ!!!!おれらにゃあのお方がついてんだ!!!!」
「女一人たあ舐めたマネしてくれるぜ!!!!」
「…剃」
一番近くにいた海賊に突っこむ。
跳ねて膝を顔に叩き込み、隣にいた海賊に肘を落とし込む。
「嵐脚」
周囲を囲まれるが逆に好都合。
まとめてふっ飛ばす。
遠くから銃が放たれるが鉄塊で払う。
バカが悲鳴を上げる前に砂が銃と海賊をひとまとめにからめ捕る。
わたしから距離を取っていた連中はどうやらクロコダイルが片付けておいてくれたようだ。
再度周囲を見渡せば立っているのはわたしとクロコダイルだけだ。
「お邪魔したわね。店と町の修理は明日からでいいかしら」
「は、はい!!ありがとうございました!!!!」
店主に声をかけ、飲み物代と迷惑料よ、と札束を放る。
店主は呆けながらもぺこぺこと礼を言う。
海賊討伐に結局海賊に助けられてしまった手前
礼をもらってもバツが悪いので、すぐに女性士官の元にかがみこむ。
「貴女、立てる?」
「はい…。わたし…なんのお役にも立てなくて…カズヤ中将補佐官のおっしゃるとおり
わたしなんて海軍に不要なのでは…」
女性士官は涙目で震えている。
「電話」
「はいっ…?」
「バカに電話しといて」
「あ…」
「それが済んだら船にいる皆に今夜はここに停泊、
明日以降は町の復興作業に入ることを伝えてきてちょうだい」
「了解しました!!!!」
さすが軍人命令を受けるとすぐに立ち上がった。
わたしも立ち上がり女性士官に微笑みかける。
「よろしい。貴女だけは別の仕事があるわ。
今夜は早く寝なさい。そして明日以降はわたしと特訓」
「え…」
「返事は」
「う…承りました!!!!」
「じゃ、よろしく」
駆け出す女性士官を見守る。
「お前、意外とちゃんと上司できるんだな」
「なによ失礼ね」
ニヤニヤしながらわたしに寄り添うクロコダイルを睨む。
せっかく礼を言ったのにこれじゃあ台無しじゃない。
「クハハ、すねんな。
さすが、中将補佐官殿だな。あの程度じゃあおれの出る幕でもなかったか?」
「そんなことないわよ。クロコダイルが後ろにいてくれたから
わたしは彼女をかばいながら戦わずに済んだの。
お礼を言うわ。
ありがとう英雄さん」
「ほう、珍しく殊勝だな」
「ご不満かしら」
「いいや」
「なら良かった」
少し微笑んで、クロコダイルを見上げる。
クロコダイルはわたしの頭をぽんぽんと撫でた。
また子ども扱いして。
「ところで、バカってのはどこのバカだ」
ふと、クロコダイルが不愉快そうに眉間にしわを寄せる。
「想定どおり、貴方がさっき言ってたバカ鳥よ」
「ふん。胸糞悪い鳥だ」
「ま、今回は後で土下座で踏んであげることで許してあげるわ。
想定外のこともあったしね」
「お優しいこった」
クロコダイルと二人で笑いあう。
ピンク色のバカが招集もかかっていないのにマリンフォードまでやってきたのは次の日。
わたしがいないことを知って、町までやってきてバカなことを言ったり
クロコダイルがいるのを見て喧嘩を吹っかけてきたのも同じ日だった。
わたしがニヤリと笑い、部下が震え上がっている。
「あのバカに連絡しなさい」
部下が駆け出した。
…
数時間前、マリンフォードに通報があった。
アラバスタ王国近くの島で海賊が暴れているとのことだったので、
わたしは部下を数名連れて向かった。
その島の近海まで軍艦を進めれば、
通報どおり海賊が町を荒しているのがわかる。
軍艦を港の影に止めて部下たちには待機と作戦を命ずる。
わたしは女性士官と二人で海軍の腕章を外して小舟で島の港へ向かった。
いわゆるおとり捜査だ。
わたしと女性士官二人で海賊どもに捕まるふりをする。
うまく全員がそろったところで女性士官を逃し他の部下たちを呼びに行かせる。
わたしは一通り暴れて海賊を捕獲する。
かつんと島へ踏み入る。
そこで嫌なものを見た。
見覚えのあるジョリーロジャー。
これは…次に会ったときに張り倒してくれる。
沈痛な面持ちに女性士官がわたしの顔を覗き込む。
「あの…カズヤちゅう…さん。いかがされました?」
「何でもないわ。何かあったらここに連絡して現状を伝えなさい。
バカが出るわ。
ああ、バカがうつるといけないから早めに切るのよ」
ささっとバカの電伝虫の番号をメモして彼女に渡す。
「さ、行くわよ」
「あ、は、はいっ」
向かうのは奴らが根城にしていそうな酒場。
適当にぶらついていると、下卑た笑い声が聞こえてきた。
おそらくここだ。
二人で店に入れば鬱陶しい視線がからみつく。
「お、こんなしけた島に女二人連れかあ?」
「両方なかなかじゃねえか。しばらく遊んだら売っぱらちまおうぜ」
「いい値段になりそうだ」
女性士官は小さく震えている。
彼女はまだ海軍に入って日が浅いから仕方ない。
できるだけ軍人臭の少ない方が都合が良いから連れてきたのだけど
可哀そうだったかしら。
「なあなあ、姉ちゃん。おれらと遊ぼうぜ」
「二人まとめて可愛がってやっからよ」
「ひっ」
女性士官が悲鳴を上げる。
「おうおう、かわいいなあ。大丈夫だよ。優しくしてやっからねえ」
そもそもあんたらの顔がこの世に優しくないわよ。
おとなしく捕まって、わたしの小銭に変わるといいわ。
そして文頭に戻る。
想定どおり。
バカどもはバカらしく、バカみたいに使い古された手であっさり罠にはまってくれた。
わたしがニヤリと笑い、部下が震え上がっている。
「あのバカに連絡しなさい」
女性士官が駆け出した。
しかし、すぐに海賊に捕まってしまう。
「おいおい、お友達置いて逃げるたあ薄情な姉ちゃんだなあ?」
「っ…」
「こっちはこっちで何ニヤついちゃってんの?」
「カズヤさっ…」
女性士官は両腕を後ろに回されて捕まってしまっている。
そろそろかわいそうなので作戦変更。
さくっと暴れて、残りの連中は後日このバカどもを取り仕切っている大バカにでも
始末してもらうとしよう。
「あ?なんだあ?このねえちゃ…うぐっ!!!?」
「てめえ!!!!仲間に何しやがった!!!!」
一番近くにいた海賊の横っ腹に回し蹴り。
バカはバカらしく軽く吹っ飛ぶ。
もう一人突っ込んできたので回した足を上にあげて踵を落とす。
変な音を立ててバカが沈んだ。
周囲が一気に殺気立つ。
「てっ、てめえ!!!!
何者だ!!!?
この女がどうなっても構わねえのか!!!?」
海賊は愚かにも捕まっていた女性士官を盾に脅してきた。
バカはどこまでいってもバカなのね。
ため息を溢す。
「構わないわ。自分の身も守れない者は海軍に不要です」
女性士官の瞳が絶望にゆがむ。
厳しいことを言ってしまったが、見捨てるつもりはさらさらない。
もちろん助けに入る。
「か、海軍だあ!!!?
けっ、厳しい上司を持つと可哀そ…
「バカが」
わたしが地を蹴った瞬間想定外の声が聞こえた。
さらり、さらり。
バカの口を砂が多い、体の水分を吸い取る。
「おれのシマで好き勝手暴れてんじゃねえよ。
クソ鳥の手下が」
砂煙の奥からクロコダイルが現れた。
わたしは急ブレーキをかけてクロコダイルの正面に立つ。
「ずいぶん冷たい中将補佐官殿だなあ?」
「嘘に決まっているでしょう。人の見せ場、邪魔してくれちゃって」
女性士官が目を丸くして見上げている。
「ああ、貴女は彼に会うのは初めてね。
彼はサー・クロコダイル。王下七武海の一角よ」
「あの…七武海の一人…」
「危ないから彼の後ろに下がっていなさいな。
あまり気は進まないけど海軍の戦いを見ていなさい」
まだ震えの止まらない女性士官にパサリとジャケットをかぶせる。
「カズヤ中将補佐官…」
「サー・クロコダイル、掩護を」
「クハハ、人使いの荒い中将補佐官殿だぜ」
なんて言いながらも女性士官の前に立つあたり、わたしの顔を立ててくれるようだ。
周囲を見渡せば海賊たちがこちらに殺意を向けている。
「何がクロコダイルだ!!!!おれらにゃあのお方がついてんだ!!!!」
「女一人たあ舐めたマネしてくれるぜ!!!!」
「…剃」
一番近くにいた海賊に突っこむ。
跳ねて膝を顔に叩き込み、隣にいた海賊に肘を落とし込む。
「嵐脚」
周囲を囲まれるが逆に好都合。
まとめてふっ飛ばす。
遠くから銃が放たれるが鉄塊で払う。
バカが悲鳴を上げる前に砂が銃と海賊をひとまとめにからめ捕る。
わたしから距離を取っていた連中はどうやらクロコダイルが片付けておいてくれたようだ。
再度周囲を見渡せば立っているのはわたしとクロコダイルだけだ。
「お邪魔したわね。店と町の修理は明日からでいいかしら」
「は、はい!!ありがとうございました!!!!」
店主に声をかけ、飲み物代と迷惑料よ、と札束を放る。
店主は呆けながらもぺこぺこと礼を言う。
海賊討伐に結局海賊に助けられてしまった手前
礼をもらってもバツが悪いので、すぐに女性士官の元にかがみこむ。
「貴女、立てる?」
「はい…。わたし…なんのお役にも立てなくて…カズヤ中将補佐官のおっしゃるとおり
わたしなんて海軍に不要なのでは…」
女性士官は涙目で震えている。
「電話」
「はいっ…?」
「バカに電話しといて」
「あ…」
「それが済んだら船にいる皆に今夜はここに停泊、
明日以降は町の復興作業に入ることを伝えてきてちょうだい」
「了解しました!!!!」
さすが軍人命令を受けるとすぐに立ち上がった。
わたしも立ち上がり女性士官に微笑みかける。
「よろしい。貴女だけは別の仕事があるわ。
今夜は早く寝なさい。そして明日以降はわたしと特訓」
「え…」
「返事は」
「う…承りました!!!!」
「じゃ、よろしく」
駆け出す女性士官を見守る。
「お前、意外とちゃんと上司できるんだな」
「なによ失礼ね」
ニヤニヤしながらわたしに寄り添うクロコダイルを睨む。
せっかく礼を言ったのにこれじゃあ台無しじゃない。
「クハハ、すねんな。
さすが、中将補佐官殿だな。あの程度じゃあおれの出る幕でもなかったか?」
「そんなことないわよ。クロコダイルが後ろにいてくれたから
わたしは彼女をかばいながら戦わずに済んだの。
お礼を言うわ。
ありがとう英雄さん」
「ほう、珍しく殊勝だな」
「ご不満かしら」
「いいや」
「なら良かった」
少し微笑んで、クロコダイルを見上げる。
クロコダイルはわたしの頭をぽんぽんと撫でた。
また子ども扱いして。
「ところで、バカってのはどこのバカだ」
ふと、クロコダイルが不愉快そうに眉間にしわを寄せる。
「想定どおり、貴方がさっき言ってたバカ鳥よ」
「ふん。胸糞悪い鳥だ」
「ま、今回は後で土下座で踏んであげることで許してあげるわ。
想定外のこともあったしね」
「お優しいこった」
クロコダイルと二人で笑いあう。
ピンク色のバカが招集もかかっていないのにマリンフォードまでやってきたのは次の日。
わたしがいないことを知って、町までやってきてバカなことを言ったり
クロコダイルがいるのを見て喧嘩を吹っかけてきたのも同じ日だった。