with you
お名前をどうぞ、レディ
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視線の先にはクロコダイルの広い背中。
わたしは現在ソファに座って読書中。
クロコダイルは机で航海日誌を書いている。
ふと視線を本から上げたら、クロコダイルの背中が飛び込んできたのだ。
それは逞しくって、広くって、温かい。
他の人から見たら恐怖でしかないだろうけど、わたしにとっては大事なものだ。
見つめているとクロコダイルが振り向いた。
「なにか用か」
「いいえ、ただ見ていただけよ。素敵な後姿だなって思って」
「今更だな。気づかなかったのか」
「あら、もちろん知っていたわよ。改めてそう思ったの」
クロコダイルはふんと鼻を鳴らして机に向き直った。
本当は正面からその姿を見てみたい気もしたけれど、今はその後ろ姿だけで十分ね。
「---おい」
「んーーーー?」
「起きやがれ。んなところで寝ていると風邪をひくぞ」
ああそうか。
クロコダイルの後姿を見つめている内に眠ってしまったのね。
「日誌、書き終わった?」
「とっくにな。もう夕方だぞ。夕飯を作れ」
「そうね、夕飯当番だったわね。なにか食べたいものはある?」
「カズヤが作るものならなんでもかまわねえよ」
「それが一番困ってしまうのだけれど。褒め言葉として受け取っておくわ」
ソファから立ち上がってキッチンへと向かう。
さて、夕飯はどうしようか。
キッチンで冷蔵庫を覗き込むと先日釣ったマグロと、玉ねぎとひじき。
よし、お魚ハンバーグにしよう。
せっせと夕飯を作っているとクロコダイルがやってきた。
わたしの料理中に彼がやってくるのは珍しいことではない。
どうやらわたしがせっせと働いている姿を見るのが好きらしく、料理中はもちろん、洗濯中や掃除中も見に来ることがある。
「今日の夕飯はお魚ハンバーグよ」
「悪くねえな」
「手伝ってくれる?」
「断る。おれはカズヤがちょこまか動いているのを見に来たんだ」
「そんなに面白いものでもないと思うけど」
これもそう珍しいことではない。
クロコダイルは育ちがいいせいか、家事は一通りできる。
しかしやらない。
彼の言うとおり、わたしが動くのを見るためだけに来ているからだ。
わたしとしては並んでキッチンに立ちたいのだけれど、彼が首を縦に振らないことにはどうしようもない。
やらないと言ったらやらない。それがクロコダイルである。
「おい、鍋が吹いているぞ」
「やだ、お味噌汁沸かしちゃった。苦くなってたらごめんなさいね」
「まあかまわねえが……。考え事でもしていたか?」
「あなたのことを考えていたのよ」
「料理中くらい料理に集中しやがれ。それ以外の時ならいくらでも考えろ」
どうやらクロコダイルはわたしの体や心だけではなく、思考も占有したいらしい。
そんなのとっくにしているくせに。
「言われなくても考えているわ。逆に聞くけどあなたはどうなの?」
「適切な時に適切なだけ考えている」
「例えば?」
「寝るとき、カズヤと鍛錬をしている時、風呂に入っている時、食事をしている時、あとはーーー」
「もう結構よ。あなたも大概わたしのこと好きよね」
「知らなかったのか?」
いいえ、知っていましたとも。
そんなことは海軍時代から知っている。
他のことを考えたりしないのだろうかと思うくらい、クロコダイルはわたしのことを思ってくれている。
「ならもう少しわたしのことを考えてしまうようにしましょうか」
「これ以上はねえってくらい考えているんだがな」
「わたし、欲張りだから」
あなたがわたしを占有したがるように、わたしもあなたを占有したいの。
それはただの我儘だけど、あなたもそう考えているなら難しいことじゃないでしょう?
わたしは現在ソファに座って読書中。
クロコダイルは机で航海日誌を書いている。
ふと視線を本から上げたら、クロコダイルの背中が飛び込んできたのだ。
それは逞しくって、広くって、温かい。
他の人から見たら恐怖でしかないだろうけど、わたしにとっては大事なものだ。
見つめているとクロコダイルが振り向いた。
「なにか用か」
「いいえ、ただ見ていただけよ。素敵な後姿だなって思って」
「今更だな。気づかなかったのか」
「あら、もちろん知っていたわよ。改めてそう思ったの」
クロコダイルはふんと鼻を鳴らして机に向き直った。
本当は正面からその姿を見てみたい気もしたけれど、今はその後ろ姿だけで十分ね。
「---おい」
「んーーーー?」
「起きやがれ。んなところで寝ていると風邪をひくぞ」
ああそうか。
クロコダイルの後姿を見つめている内に眠ってしまったのね。
「日誌、書き終わった?」
「とっくにな。もう夕方だぞ。夕飯を作れ」
「そうね、夕飯当番だったわね。なにか食べたいものはある?」
「カズヤが作るものならなんでもかまわねえよ」
「それが一番困ってしまうのだけれど。褒め言葉として受け取っておくわ」
ソファから立ち上がってキッチンへと向かう。
さて、夕飯はどうしようか。
キッチンで冷蔵庫を覗き込むと先日釣ったマグロと、玉ねぎとひじき。
よし、お魚ハンバーグにしよう。
せっせと夕飯を作っているとクロコダイルがやってきた。
わたしの料理中に彼がやってくるのは珍しいことではない。
どうやらわたしがせっせと働いている姿を見るのが好きらしく、料理中はもちろん、洗濯中や掃除中も見に来ることがある。
「今日の夕飯はお魚ハンバーグよ」
「悪くねえな」
「手伝ってくれる?」
「断る。おれはカズヤがちょこまか動いているのを見に来たんだ」
「そんなに面白いものでもないと思うけど」
これもそう珍しいことではない。
クロコダイルは育ちがいいせいか、家事は一通りできる。
しかしやらない。
彼の言うとおり、わたしが動くのを見るためだけに来ているからだ。
わたしとしては並んでキッチンに立ちたいのだけれど、彼が首を縦に振らないことにはどうしようもない。
やらないと言ったらやらない。それがクロコダイルである。
「おい、鍋が吹いているぞ」
「やだ、お味噌汁沸かしちゃった。苦くなってたらごめんなさいね」
「まあかまわねえが……。考え事でもしていたか?」
「あなたのことを考えていたのよ」
「料理中くらい料理に集中しやがれ。それ以外の時ならいくらでも考えろ」
どうやらクロコダイルはわたしの体や心だけではなく、思考も占有したいらしい。
そんなのとっくにしているくせに。
「言われなくても考えているわ。逆に聞くけどあなたはどうなの?」
「適切な時に適切なだけ考えている」
「例えば?」
「寝るとき、カズヤと鍛錬をしている時、風呂に入っている時、食事をしている時、あとはーーー」
「もう結構よ。あなたも大概わたしのこと好きよね」
「知らなかったのか?」
いいえ、知っていましたとも。
そんなことは海軍時代から知っている。
他のことを考えたりしないのだろうかと思うくらい、クロコダイルはわたしのことを思ってくれている。
「ならもう少しわたしのことを考えてしまうようにしましょうか」
「これ以上はねえってくらい考えているんだがな」
「わたし、欲張りだから」
あなたがわたしを占有したがるように、わたしもあなたを占有したいの。
それはただの我儘だけど、あなたもそう考えているなら難しいことじゃないでしょう?