氷の上で彼はなにを思うか
お名前をどうぞ、レディ
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「チサ?悪りぃんだけど、ペンギン送ってやってくんねえ?」
「へ?」
たまには甘えん坊
「なんかペンギンのやつ風邪引いたらしくてさあ」
シャチに言われてペンギンの方を見れば、ぐったりとペンギンが机にうつ伏せていた。
「ちょ、大丈夫なの?」
「大丈夫じゃねぇよ。ロー先輩には俺から言っておくから、後はよろしく」
「シャチ?」
私の返事を待つこともなく、シャチは廊下へかけ出して行ってしまった。
よろしく言われても…
でもペンギンが気になるので、そっと声をかけに行く。
「ペンギン…大丈夫…?」
「あー」
元気のない声が返ってくる。
髪が汗でしっとりしている。
これはかなりまずいんじゃ?
「ちょっと待ってて」
慌てて自販機でスポーツ飲料を買ってペンギンに手渡す。
「悪い…」
水分を補給して少しマシになったのか、ペンギンがゆっくりと顔を上げた。
「動ける?」
「なんとか」
「じゃあ、帰ろう」
ペンギンの荷物をかついで、彼を促す。
「…もしかして一緒に帰るのか?」
「いや?」
「そうじゃないが…」
「じゃ、帰ろう」
ペンギンは何か言いたげだが、かまっている場合じゃない。
シャチに聞いたペンギンの家に向かってゆっくり歩く。
本当はにやけてしまいそうなんだ。
大好きなペンギンの家?
ペンギンの部屋?
うっかり深呼吸してしまうかもしれない。
「なあ」
「はひっ?」
やましい妄想で胸を膨らませていたので、思わず声がうわずる。
ヤバイヤバイ。変な顔をしてないだろうか。
「?
俺のカバン、持たせっぱなしだったろ。
悪い。自分で持つよ」
「あ、うん。私はぜんぜん大丈夫だよ。
なんだったら、ペンギンも持つよ」
…何言ってんだ、私。
女子高生が男子高校生かつぐ気か。
わあ、シュールな絵面。
ペンギンは飽きれたかな…
「ごめ、なんか意味不明なこと言っちゃったて」
「心配させて悪いな」
くすくすと笑いながら、ペンギンは私の頭をなでる。
引かれなかったのは良かったけど…
「じゃあ、持ってくれ」
「へ?…ペン…ひあ?」
頭の上にあったはずの手が私から彼のカバンを奪うと、空いた私の手をとった。
熱い。
熱っぽいんだから、当たり前なんだけど。
「チサ。顔が赤いぞ。風邪、うつしたか?」
「風邪じゃ…ないよ…」
そうか。
それだけ言ってペンギンは前を向く。
そうだ。
私はペンギンを運ぶんだっけ。
手は熱いし、心臓はうるさい。
くらくらしながらも、なんとかペンギンを家まで送り届ける。
「サンキュ。助かった」
片手は私の手を握ったまま。
玄関にカバンを投げて、空いた手で私の頭をなでるペンギン。
「どう、いたひまひて」
…噛んじゃったよ。
うああ、恥ずかしい。
さっきから恥ずかしくて死にそうだ。
ペンギンはいったいどうしちゃったんだろう。
いつもこんなにべたべたするような人じゃないのに…
これはこれで、かわいいんだけどさ。
「本当は上げてやりたいんだけどな。
今日は風邪うつしたら悪いから…。
お礼は今度するよ」
「いっ、いいよ!お礼だなんて…。
ほら、こないだ体育のとき看病してもらったしさ。おあいこ?」
「俺がしたいんだ」
そう言って、ペンギンは私の頭を抱き寄せた。
??
なに?
「ペン…ギン…?」
「ありがとう」
そしてそっと体が離れる。
「ありがとうな。明日か明後日には学校行くからさ」
いつもより少し赤い顔で、いつも通りに手を降るペンギン。
いまだテンパったままの私には気の利いたことなんて言えなくて。
「うん。
あの、お大事にね」
「ああ、ありがとう」
扉がパタリと閉まって、私とペンギンの間を遮る。
心臓が爆発しそうだった。
貴方への恋熱に浮かされてるんです。
なんてバカみたいなこと言うとこだった。
「風邪で、心細かったのかな」
少し我に返って歩き出す。
そうだよね。
それだけだよね。
今度は1人の帰り道。
浮かれて歩く。
「へ?」
たまには甘えん坊
「なんかペンギンのやつ風邪引いたらしくてさあ」
シャチに言われてペンギンの方を見れば、ぐったりとペンギンが机にうつ伏せていた。
「ちょ、大丈夫なの?」
「大丈夫じゃねぇよ。ロー先輩には俺から言っておくから、後はよろしく」
「シャチ?」
私の返事を待つこともなく、シャチは廊下へかけ出して行ってしまった。
よろしく言われても…
でもペンギンが気になるので、そっと声をかけに行く。
「ペンギン…大丈夫…?」
「あー」
元気のない声が返ってくる。
髪が汗でしっとりしている。
これはかなりまずいんじゃ?
「ちょっと待ってて」
慌てて自販機でスポーツ飲料を買ってペンギンに手渡す。
「悪い…」
水分を補給して少しマシになったのか、ペンギンがゆっくりと顔を上げた。
「動ける?」
「なんとか」
「じゃあ、帰ろう」
ペンギンの荷物をかついで、彼を促す。
「…もしかして一緒に帰るのか?」
「いや?」
「そうじゃないが…」
「じゃ、帰ろう」
ペンギンは何か言いたげだが、かまっている場合じゃない。
シャチに聞いたペンギンの家に向かってゆっくり歩く。
本当はにやけてしまいそうなんだ。
大好きなペンギンの家?
ペンギンの部屋?
うっかり深呼吸してしまうかもしれない。
「なあ」
「はひっ?」
やましい妄想で胸を膨らませていたので、思わず声がうわずる。
ヤバイヤバイ。変な顔をしてないだろうか。
「?
俺のカバン、持たせっぱなしだったろ。
悪い。自分で持つよ」
「あ、うん。私はぜんぜん大丈夫だよ。
なんだったら、ペンギンも持つよ」
…何言ってんだ、私。
女子高生が男子高校生かつぐ気か。
わあ、シュールな絵面。
ペンギンは飽きれたかな…
「ごめ、なんか意味不明なこと言っちゃったて」
「心配させて悪いな」
くすくすと笑いながら、ペンギンは私の頭をなでる。
引かれなかったのは良かったけど…
「じゃあ、持ってくれ」
「へ?…ペン…ひあ?」
頭の上にあったはずの手が私から彼のカバンを奪うと、空いた私の手をとった。
熱い。
熱っぽいんだから、当たり前なんだけど。
「チサ。顔が赤いぞ。風邪、うつしたか?」
「風邪じゃ…ないよ…」
そうか。
それだけ言ってペンギンは前を向く。
そうだ。
私はペンギンを運ぶんだっけ。
手は熱いし、心臓はうるさい。
くらくらしながらも、なんとかペンギンを家まで送り届ける。
「サンキュ。助かった」
片手は私の手を握ったまま。
玄関にカバンを投げて、空いた手で私の頭をなでるペンギン。
「どう、いたひまひて」
…噛んじゃったよ。
うああ、恥ずかしい。
さっきから恥ずかしくて死にそうだ。
ペンギンはいったいどうしちゃったんだろう。
いつもこんなにべたべたするような人じゃないのに…
これはこれで、かわいいんだけどさ。
「本当は上げてやりたいんだけどな。
今日は風邪うつしたら悪いから…。
お礼は今度するよ」
「いっ、いいよ!お礼だなんて…。
ほら、こないだ体育のとき看病してもらったしさ。おあいこ?」
「俺がしたいんだ」
そう言って、ペンギンは私の頭を抱き寄せた。
??
なに?
「ペン…ギン…?」
「ありがとう」
そしてそっと体が離れる。
「ありがとうな。明日か明後日には学校行くからさ」
いつもより少し赤い顔で、いつも通りに手を降るペンギン。
いまだテンパったままの私には気の利いたことなんて言えなくて。
「うん。
あの、お大事にね」
「ああ、ありがとう」
扉がパタリと閉まって、私とペンギンの間を遮る。
心臓が爆発しそうだった。
貴方への恋熱に浮かされてるんです。
なんてバカみたいなこと言うとこだった。
「風邪で、心細かったのかな」
少し我に返って歩き出す。
そうだよね。
それだけだよね。
今度は1人の帰り道。
浮かれて歩く。