side you
お名前をどうぞ、レディ
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「面舵いっぱーい」
ベポの誘導に従って大きく右へ舵を切る。
「カズサ、船を港に着けるのうまくなったねえ」
「もともと一人で航海してたからね」
暖かい春島の陽気の中、我らハートの海賊団は島の裏の入り江へそっと潜水艦を寄せる。
船長の方針もあり、極力島の人の生活を脅かすようなことはしないようにしているのだ。
「今日の買い出し当番は、何を隠そうおれ!!」
シャチが張り切って島へと降りていく。
それに続いて数名がわいわい盛り上がりながら島の反対側にある町へと向かっていく。
「船長は行かなくて良かったんですか?」
「名前で呼べと言っただろうが」
「あいあい。ローは行かないの?」
「あいつらみてえに女に困ってねえからな」
「ああ、そう」
なぜかドヤ顔でわたしを見下ろすローをスルーしてわたしもひらりと島に下りる。
「カズサは船番だろうが」
「そうなんだけどさー。暇だから、ロー、組手しよー」
目一杯に腕を振って見せれば、ローは満足そうに微笑む。
「可愛げのねえ誘いだ」
「しないのー?」
「もっとうまく誘ってみろ」
「じゃあ、いいわ」
クルリと踵を返して一人刀を構える。
後ろに気配を感じて刀をなげば、予想通りローが紙一重で避けて見せた。
「相変わらずの身のこなしですねえ」
「可愛げのねえ嫁をしつけてやるのもおれの仕事みてえだな」
「誰が嫁ですか」
刺突を繰り出すが、これもあっさりとかわされる。
「カズサ以外に誰がいる」
ローの長い脚が横っ面めがけて飛んでくるのをしゃがんでかわし、
低姿勢のまま回し蹴りを放つが、これも軽く跳ねてかわされた。
「町に行けばかわいい女の子がいっぱいいますよ」
「おれはカズサを嫁にするんだ」
「勝手なことをおっしゃいますね」
「その敬語、可愛くねえからやめろ」
「うふふ、嫌です」
互いに攻撃を繰り出しつつも、互いにかわすので一向に決着はつかない。
「ねえ、ロー」
「なんだ」
「楽しいですねえ」
「は?」
「こうやって遊びながらしゃべるの、楽しいです」
ひらり、ひらり。
わたしとてそんなに手を抜いているつもりはないのに、彼には一向に攻撃が当たらない。
それは向こうも同じだろう。
それなりに汗をかいて、長い手足を振り回しているが、わたしはせっせと避けている。
「遊び、か。軽く言ってくれるぜ」
「ふふ。わたしも結構攻撃してるつもりなんですけどね。ローは強いから」
「だから?」
「こうして、誰かと遊べるのが、すごく嬉しい」
ずっと一人で海賊狩りをしていたから。
誰かと鍛錬なんて久しぶりで。
遊んでいるのかと思ってしまうくらい楽しい。
「誰か、じゃないだろ」
少しむすっとして、ローが手刀を繰り出す。
それを横にはじいて急接近からの攻撃。
ローの帽子がひらりと中を舞った。
「そうでした」
「名前を呼べ」
「ロー」
「カズサ。ま、今日はこれくらいにしておいてやる。
シャワーでも浴びてこい」
帽子を拾いながらローは手をひらひらと振る。
「わたし、船番だよ?」
「おれが見ておいてやるよ」
「ありがとう」
素直に引き下がって、船へと戻る。
独りじゃないことが嬉しくて。
一緒にいるのがトラファルガー・ローだってことが嬉しいなんて。
まだ、ローには言えない。
ベポの誘導に従って大きく右へ舵を切る。
「カズサ、船を港に着けるのうまくなったねえ」
「もともと一人で航海してたからね」
暖かい春島の陽気の中、我らハートの海賊団は島の裏の入り江へそっと潜水艦を寄せる。
船長の方針もあり、極力島の人の生活を脅かすようなことはしないようにしているのだ。
「今日の買い出し当番は、何を隠そうおれ!!」
シャチが張り切って島へと降りていく。
それに続いて数名がわいわい盛り上がりながら島の反対側にある町へと向かっていく。
「船長は行かなくて良かったんですか?」
「名前で呼べと言っただろうが」
「あいあい。ローは行かないの?」
「あいつらみてえに女に困ってねえからな」
「ああ、そう」
なぜかドヤ顔でわたしを見下ろすローをスルーしてわたしもひらりと島に下りる。
「カズサは船番だろうが」
「そうなんだけどさー。暇だから、ロー、組手しよー」
目一杯に腕を振って見せれば、ローは満足そうに微笑む。
「可愛げのねえ誘いだ」
「しないのー?」
「もっとうまく誘ってみろ」
「じゃあ、いいわ」
クルリと踵を返して一人刀を構える。
後ろに気配を感じて刀をなげば、予想通りローが紙一重で避けて見せた。
「相変わらずの身のこなしですねえ」
「可愛げのねえ嫁をしつけてやるのもおれの仕事みてえだな」
「誰が嫁ですか」
刺突を繰り出すが、これもあっさりとかわされる。
「カズサ以外に誰がいる」
ローの長い脚が横っ面めがけて飛んでくるのをしゃがんでかわし、
低姿勢のまま回し蹴りを放つが、これも軽く跳ねてかわされた。
「町に行けばかわいい女の子がいっぱいいますよ」
「おれはカズサを嫁にするんだ」
「勝手なことをおっしゃいますね」
「その敬語、可愛くねえからやめろ」
「うふふ、嫌です」
互いに攻撃を繰り出しつつも、互いにかわすので一向に決着はつかない。
「ねえ、ロー」
「なんだ」
「楽しいですねえ」
「は?」
「こうやって遊びながらしゃべるの、楽しいです」
ひらり、ひらり。
わたしとてそんなに手を抜いているつもりはないのに、彼には一向に攻撃が当たらない。
それは向こうも同じだろう。
それなりに汗をかいて、長い手足を振り回しているが、わたしはせっせと避けている。
「遊び、か。軽く言ってくれるぜ」
「ふふ。わたしも結構攻撃してるつもりなんですけどね。ローは強いから」
「だから?」
「こうして、誰かと遊べるのが、すごく嬉しい」
ずっと一人で海賊狩りをしていたから。
誰かと鍛錬なんて久しぶりで。
遊んでいるのかと思ってしまうくらい楽しい。
「誰か、じゃないだろ」
少しむすっとして、ローが手刀を繰り出す。
それを横にはじいて急接近からの攻撃。
ローの帽子がひらりと中を舞った。
「そうでした」
「名前を呼べ」
「ロー」
「カズサ。ま、今日はこれくらいにしておいてやる。
シャワーでも浴びてこい」
帽子を拾いながらローは手をひらひらと振る。
「わたし、船番だよ?」
「おれが見ておいてやるよ」
「ありがとう」
素直に引き下がって、船へと戻る。
独りじゃないことが嬉しくて。
一緒にいるのがトラファルガー・ローだってことが嬉しいなんて。
まだ、ローには言えない。