side you
お名前をどうぞ、レディ
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「おい、カズサ」
「なんですか、船長」
ようやくハートの海賊団にも慣れてきたある日。
とても天気が良かったから、女クルーの一人、ティティと狭い甲板で洗濯をしていた。
二人できゃあきゃあと泡を投げているところに、船長、トラファルガー・ローが声をかけてきたのだ。
最初は無表情だったのが、わたしの返事で眉間にシワを寄せる。
「ローだ」
「トラファルガー・ロー」
「ロー」
「なんですか、船長」
「名前で呼べ」
殺意と獰猛さを隠しもしない顔で、そんなかわいいことを言う我らが船長。
「カズサ、いいかげん折れなって」
ティティがけらけらと笑う。
そうなんだ。
このやり取りは初めてじゃあない。
わたしがハートの海賊団に入ってからほぼ毎日数回は繰り返されている。
海賊団内で知らない人はいないくらいだ。
「カズサ。船長命令だ。おれを名前で呼べ」
「トラファルガー・ロー」
「ぶった切る」
「それができなかったから、わたしはこの船にいるんだよーだ」
こめかみをひくつかせながら、抜刀の姿勢に入る船長に
わたしも背にした刀を構える。
「はいはい、ケンカしないの」
「ティティ。船長にはクルーを教育する義務がある」
「モラハラはんたーい!」
「こら」
ティティに軽く小突かれる。
「カズサ。いいじゃない。名前で呼ぶくらい。
嫌なら嫌で、ちゃんと理由を言いなさい」
本当は理由なんかないんだ。
ただ、最初は照れ臭くて船長と呼んでいたのを
今更変えるのが余計に恥ずかしいだけ。
「……かし…から…」
「聞こえねえぞ」
「だーかーらー!!
恥ずかしいの!!
照れ臭いの!!
なんで、わたしだけ名前なのよう。
ほかのみんなは船長とかキャプテンとか呼んでるじゃないですか!?」
「カズサ…あんた…」
「ティティ、悪いがこいつを返してもらうぞ」
いきなり船長の肩ににかつぎ上げられる。
「貸し出しありがとうございました」
「ちょ、ティティ!?船長!?」
ティティは満面の笑みで手を振っている。
薄情者め…
船長の顔はうかがい知れない。
でも、絶対ろくな顔してないよ?
そのまま船長室へかつぎ込まれたと思ったベッドに放られた。
「何するんですか!?せん…ちょ…?」
「何だと思う?」
何とか仰向けに起き上がろうするわたしに、船長が迫っていた。
あかん。
ヤバイヤバイ。
わたしの貞操がっ!!
このど変態に、変態紳士に奪われる!!
「いっ、いいです、言わなくて!!
だからどいてください!!」
「どかねえ。散々焦らしたと思ったら、んなかわいいワガママ抜かして、ただで済むと思うのか?」
「意味わかんないから!!」
「いいや、お前はこの状況を打破する方法を知っているはずだ」
「うー…。な、名前?」
「正解だ。呼ばなきゃ事態は悪化するぜ?」
恥ずかしい?
ああ、こんなことになるくらいなら、変な意地張らないで名前くらい呼べばよかった…
「くっ…背に腹は変えられない…。
ロー…さん?」
船長は一瞬優しく微笑み…光速で悪魔の笑みにひるがえった。
「ハズレだ」
「ひぃっ」
船長はわたしの耳元の髪を一房手に取り、ちゅっと音を立てて口付けた。
「ワザとか?」
「んなわけあるか!!この変態紳士!!」
「くく、意味がわからねえな」
変態船長が耳元でささやく。
息が耳にかかってぞくぞくする。
「わあったわよ!
っ……
…ぉ」
「聞こえねえ」
「ロー!!
トラファルガー・ロー!!
ロー船長!!」
「逆ギレか?かわいいだけだぞ」
「ドエム!」
「何とでも言え。おれはカズサの前でなら変態だろうが船長だろうが
何にでもなってやるよ」
「いえ、船長でいてください」
隙をついて光速でローの下から這い出る。
「この変態ロー!!
夕飯はパンだけにしてやる!!」
子どもみたいなことを言って船長室から走り出た。
甲板へかけ戻るとティティが洗濯物を干している。
「ティティ!!ごめん、任せちゃって…
すべてはあの変態ローのせいだから。
やつの夕飯はパン大盛りで手を打ってもらえる?」
「結局名前で呼んでるじゃない」
ティティがくすくすと笑う。
「変態の魔の手には逆らえなかったのよ」
「はいはい」
聞き流された。
…仕方ないか。遅かれ早かれこうなってたんだ。
「ロー、どうぞ召し上がれ」
「本気だったのか」
パン大盛りのプレートをローの前に笑顔で差し出す。
遅かれ早かれだったのはわかってるけど。
悔しいのは悔しいからさ。
これくらいの意地悪は許してね?
「なんですか、船長」
ようやくハートの海賊団にも慣れてきたある日。
とても天気が良かったから、女クルーの一人、ティティと狭い甲板で洗濯をしていた。
二人できゃあきゃあと泡を投げているところに、船長、トラファルガー・ローが声をかけてきたのだ。
最初は無表情だったのが、わたしの返事で眉間にシワを寄せる。
「ローだ」
「トラファルガー・ロー」
「ロー」
「なんですか、船長」
「名前で呼べ」
殺意と獰猛さを隠しもしない顔で、そんなかわいいことを言う我らが船長。
「カズサ、いいかげん折れなって」
ティティがけらけらと笑う。
そうなんだ。
このやり取りは初めてじゃあない。
わたしがハートの海賊団に入ってからほぼ毎日数回は繰り返されている。
海賊団内で知らない人はいないくらいだ。
「カズサ。船長命令だ。おれを名前で呼べ」
「トラファルガー・ロー」
「ぶった切る」
「それができなかったから、わたしはこの船にいるんだよーだ」
こめかみをひくつかせながら、抜刀の姿勢に入る船長に
わたしも背にした刀を構える。
「はいはい、ケンカしないの」
「ティティ。船長にはクルーを教育する義務がある」
「モラハラはんたーい!」
「こら」
ティティに軽く小突かれる。
「カズサ。いいじゃない。名前で呼ぶくらい。
嫌なら嫌で、ちゃんと理由を言いなさい」
本当は理由なんかないんだ。
ただ、最初は照れ臭くて船長と呼んでいたのを
今更変えるのが余計に恥ずかしいだけ。
「……かし…から…」
「聞こえねえぞ」
「だーかーらー!!
恥ずかしいの!!
照れ臭いの!!
なんで、わたしだけ名前なのよう。
ほかのみんなは船長とかキャプテンとか呼んでるじゃないですか!?」
「カズサ…あんた…」
「ティティ、悪いがこいつを返してもらうぞ」
いきなり船長の肩ににかつぎ上げられる。
「貸し出しありがとうございました」
「ちょ、ティティ!?船長!?」
ティティは満面の笑みで手を振っている。
薄情者め…
船長の顔はうかがい知れない。
でも、絶対ろくな顔してないよ?
そのまま船長室へかつぎ込まれたと思ったベッドに放られた。
「何するんですか!?せん…ちょ…?」
「何だと思う?」
何とか仰向けに起き上がろうするわたしに、船長が迫っていた。
あかん。
ヤバイヤバイ。
わたしの貞操がっ!!
このど変態に、変態紳士に奪われる!!
「いっ、いいです、言わなくて!!
だからどいてください!!」
「どかねえ。散々焦らしたと思ったら、んなかわいいワガママ抜かして、ただで済むと思うのか?」
「意味わかんないから!!」
「いいや、お前はこの状況を打破する方法を知っているはずだ」
「うー…。な、名前?」
「正解だ。呼ばなきゃ事態は悪化するぜ?」
恥ずかしい?
ああ、こんなことになるくらいなら、変な意地張らないで名前くらい呼べばよかった…
「くっ…背に腹は変えられない…。
ロー…さん?」
船長は一瞬優しく微笑み…光速で悪魔の笑みにひるがえった。
「ハズレだ」
「ひぃっ」
船長はわたしの耳元の髪を一房手に取り、ちゅっと音を立てて口付けた。
「ワザとか?」
「んなわけあるか!!この変態紳士!!」
「くく、意味がわからねえな」
変態船長が耳元でささやく。
息が耳にかかってぞくぞくする。
「わあったわよ!
っ……
…ぉ」
「聞こえねえ」
「ロー!!
トラファルガー・ロー!!
ロー船長!!」
「逆ギレか?かわいいだけだぞ」
「ドエム!」
「何とでも言え。おれはカズサの前でなら変態だろうが船長だろうが
何にでもなってやるよ」
「いえ、船長でいてください」
隙をついて光速でローの下から這い出る。
「この変態ロー!!
夕飯はパンだけにしてやる!!」
子どもみたいなことを言って船長室から走り出た。
甲板へかけ戻るとティティが洗濯物を干している。
「ティティ!!ごめん、任せちゃって…
すべてはあの変態ローのせいだから。
やつの夕飯はパン大盛りで手を打ってもらえる?」
「結局名前で呼んでるじゃない」
ティティがくすくすと笑う。
「変態の魔の手には逆らえなかったのよ」
「はいはい」
聞き流された。
…仕方ないか。遅かれ早かれこうなってたんだ。
「ロー、どうぞ召し上がれ」
「本気だったのか」
パン大盛りのプレートをローの前に笑顔で差し出す。
遅かれ早かれだったのはわかってるけど。
悔しいのは悔しいからさ。
これくらいの意地悪は許してね?