side you
お名前をどうぞ、レディ
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眠れない。
わたしはトラファルガーのとなりで何度となく寝返りを打っていた。
双子岬に居たころから、わたしには不眠症気味なところがあって、その頃はよくクロッカスさんに処方してもらった薬で眠りに落ちていた。
しかし今となってはそれがない。
「薬…もう少しもらっておけばよかった…」
何度寝返りを打ったところで眠れるわけじゃない。
参ったな。明日も朝早いというのに。
横を見るとトラファルガーはすやすやと眠っている。
同じベッドで寝ているわたしたちだが、意外なことにトラファルガーはわたしに一切触れてこない。
寝返りだって彼はほとんどうたないのだ。
「トラファルガーなりに、わたしに気を使ってくれてるんだろうな」
申し訳ない反面、だったらわたしはティティと同室になればよかったんじゃないかという気持ちも反面。
「カズサ…?」
「トラファルガー?ごめん、起こした?」
もう何度目かもわからない寝返りを打ったとき、トラファルガーに声をかけられた。
しまった。起こしてしまったか。
「いや、先ほどから目は覚めていた。
カズサ、お前眠れないのか」
ここで隠しても仕方ないだろう。
わたしは素直に首肯する。
「うん、ちょっと目がさえちゃって」
「ここ数日、あまり寝ていないだろ」
あら、そんなことまでばれちゃってたか。
「…うん」
「はあ…。お前な、そういうことはちゃんと報告しろ」
「ごめんなさい。前からそうだったものだから」
薄明かりの中、トラファルガーがため息をつく。
「まあ気づいて放置したおれも悪かったが…。
カズサ。眠れないのはいつからだ?」
「覚えてない。結構前からかな。
まったく眠れないわけじゃないんだよ。
少し寝つきが悪いだけ」
一応最低限の睡眠は取っているつもりだ。
それでもトラファルガーの鋭い眼差しは揺らがない。
「それを眠れていないと言うんだ。
今まではどうしていたんだ」
「クロッカスさんに処方してもらった薬飲んで寝てた」
「そうか。わかった。
今夜は仕方ないからおとなしくしていろ。
明日になったらちゃんと問診しておれが薬を用意してやる」
「トラファルガーは外科医じゃないの?」
「最低限の知識くらいはあるさ」
「そか。じゃあお願いします」
「ああ。それじゃあおれは寝る。また明日」
そう言ってトラファルガーは腕を伸ばし、わたしの頭をそっと撫でた。
なんだろう。
すごく温かい。
まるでトラファルガーの手が帳を下ろしたかのように眠気がじんわりと襲ってきた。
「おやすみなさい、トラファルガー」
そしてわたしは柔らかな眠りに落ちる。
わたしはトラファルガーのとなりで何度となく寝返りを打っていた。
双子岬に居たころから、わたしには不眠症気味なところがあって、その頃はよくクロッカスさんに処方してもらった薬で眠りに落ちていた。
しかし今となってはそれがない。
「薬…もう少しもらっておけばよかった…」
何度寝返りを打ったところで眠れるわけじゃない。
参ったな。明日も朝早いというのに。
横を見るとトラファルガーはすやすやと眠っている。
同じベッドで寝ているわたしたちだが、意外なことにトラファルガーはわたしに一切触れてこない。
寝返りだって彼はほとんどうたないのだ。
「トラファルガーなりに、わたしに気を使ってくれてるんだろうな」
申し訳ない反面、だったらわたしはティティと同室になればよかったんじゃないかという気持ちも反面。
「カズサ…?」
「トラファルガー?ごめん、起こした?」
もう何度目かもわからない寝返りを打ったとき、トラファルガーに声をかけられた。
しまった。起こしてしまったか。
「いや、先ほどから目は覚めていた。
カズサ、お前眠れないのか」
ここで隠しても仕方ないだろう。
わたしは素直に首肯する。
「うん、ちょっと目がさえちゃって」
「ここ数日、あまり寝ていないだろ」
あら、そんなことまでばれちゃってたか。
「…うん」
「はあ…。お前な、そういうことはちゃんと報告しろ」
「ごめんなさい。前からそうだったものだから」
薄明かりの中、トラファルガーがため息をつく。
「まあ気づいて放置したおれも悪かったが…。
カズサ。眠れないのはいつからだ?」
「覚えてない。結構前からかな。
まったく眠れないわけじゃないんだよ。
少し寝つきが悪いだけ」
一応最低限の睡眠は取っているつもりだ。
それでもトラファルガーの鋭い眼差しは揺らがない。
「それを眠れていないと言うんだ。
今まではどうしていたんだ」
「クロッカスさんに処方してもらった薬飲んで寝てた」
「そうか。わかった。
今夜は仕方ないからおとなしくしていろ。
明日になったらちゃんと問診しておれが薬を用意してやる」
「トラファルガーは外科医じゃないの?」
「最低限の知識くらいはあるさ」
「そか。じゃあお願いします」
「ああ。それじゃあおれは寝る。また明日」
そう言ってトラファルガーは腕を伸ばし、わたしの頭をそっと撫でた。
なんだろう。
すごく温かい。
まるでトラファルガーの手が帳を下ろしたかのように眠気がじんわりと襲ってきた。
「おやすみなさい、トラファルガー」
そしてわたしは柔らかな眠りに落ちる。