side you
お名前をどうぞ、レディ
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「南南西から敵襲ーー!!!!」
シャチの叫び声が船内放送を通して響き渡る。
甲板にいたわたしは慌てて刀をひっつかみ、敵船の方へ走った。
そこにはすでにペンギンとティティ、他数名のクルー、そして船長トラファルガーがいた。
……トラファルガーが猛烈に悪い笑顔を浮かべている。
はじめてに近い彼の殺気立った姿に思わずわたしまで笑みが漏れた。
「カズサ、悪い顔してる」
「ティティ、わかるの?」
「わかるわよ。船長と同じ顔してるもの」
それはまことに遺憾だ。
何とか顔を引き締めているとトラファルガーが叫んだ。
「ここはおれ一人で行く!!!!お前らは船を守れ!!!!」
「「「了解!」」」
意外な号令にきょとんとしてしまう。
え?みんなで行かないの?
「ふふ、カズサ納得がいかなそうね」
「残念だがああなった船長は止められないんでな。おれらはおれらのやるべきことをやろう」
ティティとペンギンはそう言うといそいそと銃を構えた。
唐突に敵船から砲弾が飛んでくる。
「カズサ、あれなんとかしろ」
ペンギンの無茶ぶりにため息で答えた。
抜刀して、構えて、そう、砲弾を刀身で滑らせ進行方向を変える。
砲弾は何もない海へと落ちていった。
「ほう、やるじゃねえか」
「…大したことじゃないわ」
相変わらずの悪い笑みでトラファルガーが言う。
彼は敵船が横づけされるや否や一人で突撃していった。
「ねえ、ペンギン。あれってああいうもん?」
「ああ。ああいうもんだ」
いかんせん集団行動に慣れてないからよくわからないのだけど
普通海上で戦闘になったら船長一人で敵船に突撃していくものなのだろうか。
何か違う気がするんだけど。
「まあ、普通とは違うかもな。いかんせんうちの船長は血の気が多いからな。
今日はとくに訓練にも気合を入れていたし戦いたい気分だったんだろう」
「そういうこと」
「そういうこと」
くつくつとペンギンが笑った。
要するにトラファルガーのきまぐれか。それなら納得がいく。
「あ、あれ!!!!」
敵船のマストの上。
狙撃主がトラファルガーを狙っている。トラファルガーは接近戦に夢中で気がついてない。
「っ…!!」
慌ててそちらへ向かおうとするわたしをペンギンが抑えた。
「問題ない」
その瞬間、ティティの銃が煙を吹いた。
「そういう…こと」
「そういうことよ、カズサ」
トラファルガーは一見一人で戦っているようだけど決してそんなことはなかった。
わたしが心配するまでもなかったんだ。
そうだよね。
船長だもんね。
今度は落ち着いてトラファルガーの戦う姿を眺める。
海賊を殴り飛ばして海に放り込み、鋭い蹴りで数名まとめて気絶させる。
囲まれたと思ったら刀で一掃して場を開ける。
本当に、戦い慣れていた。
本当に、殺し慣れていた。
「見惚れてるの?」
気がつくとティティが笑顔でわたしを覗き込んでいた。
「そ、そんなんじゃないよ。ただ、慣れてるなあって思って」
「そうね。海賊だもの。わたしたち」
「ティティもそう?」
「もちろん」
徐々に敵の声が小さくなり、最後は断末魔と共に消えた。
「ペンギン、シャチ、ティティ、敵船からお宝と食料、水を回収しろ。
他のクルーは持ち場に戻れ」
「「「了解!!!!」」」
トラファルガーは何でもないような顔をしてクルーたちに指示を出すと手で返り血をぬぐった。
わたしは無言でタオルを差し出す。
「お、サンキュ。おれの勇姿はちゃんと見てたか?」
「うん。見てた」
「見惚れたか?」
「それは置いといて、本当に海賊なんだなって思った」
置いておかれたのが不満なのかトラファルガーはわずかに口をひねる。
それでもわたしの頭を軽くなでた。
「ああ、おれたちは海賊だ。人殺しも厭わない残忍な犯罪者集団だ。
カズサはおれたちについてきたことを後悔したか?」
その手を払いのけてトラファルガーを見上げる。
「後悔なんてしないよ。わたしだって人を殺したことが無いわけじゃないもの。
知ってるでしょ。
偉大なる航路の入り口で待ち受ける残忍で凶暴な魔女の話」
「くく、そうだったな」
「なんかハートの海賊団ってふだんはのんびりしてて穏やかだから海賊ってことを忘れそうだけど
そうじゃないってわかって良かったよ」
「そうか」
「そうだ」
本当は最初に一人で突撃するトラファルガーを心配しただなんてとてもじゃないけど言えない。
だって彼は心配の必要なんてないほどに強くて凶暴だった。
この心配は胸の中にしまっておこう。
「だが」
「ん?」
「おれを心配するカズサはなかなか良かったぞ」
「し、心配なんてしてないし!」
「くく、照れるな。おれがお前のことで気がつかないことなんてあるわけないだろう」
「ーっ」
ああ、恥ずかしい。ばれていただなんて。
でも悔しいから絶対に口になんて出さない。
トラファルガーは満足そうに、再度わたしの頭を力強くなでた。
シャチの叫び声が船内放送を通して響き渡る。
甲板にいたわたしは慌てて刀をひっつかみ、敵船の方へ走った。
そこにはすでにペンギンとティティ、他数名のクルー、そして船長トラファルガーがいた。
……トラファルガーが猛烈に悪い笑顔を浮かべている。
はじめてに近い彼の殺気立った姿に思わずわたしまで笑みが漏れた。
「カズサ、悪い顔してる」
「ティティ、わかるの?」
「わかるわよ。船長と同じ顔してるもの」
それはまことに遺憾だ。
何とか顔を引き締めているとトラファルガーが叫んだ。
「ここはおれ一人で行く!!!!お前らは船を守れ!!!!」
「「「了解!」」」
意外な号令にきょとんとしてしまう。
え?みんなで行かないの?
「ふふ、カズサ納得がいかなそうね」
「残念だがああなった船長は止められないんでな。おれらはおれらのやるべきことをやろう」
ティティとペンギンはそう言うといそいそと銃を構えた。
唐突に敵船から砲弾が飛んでくる。
「カズサ、あれなんとかしろ」
ペンギンの無茶ぶりにため息で答えた。
抜刀して、構えて、そう、砲弾を刀身で滑らせ進行方向を変える。
砲弾は何もない海へと落ちていった。
「ほう、やるじゃねえか」
「…大したことじゃないわ」
相変わらずの悪い笑みでトラファルガーが言う。
彼は敵船が横づけされるや否や一人で突撃していった。
「ねえ、ペンギン。あれってああいうもん?」
「ああ。ああいうもんだ」
いかんせん集団行動に慣れてないからよくわからないのだけど
普通海上で戦闘になったら船長一人で敵船に突撃していくものなのだろうか。
何か違う気がするんだけど。
「まあ、普通とは違うかもな。いかんせんうちの船長は血の気が多いからな。
今日はとくに訓練にも気合を入れていたし戦いたい気分だったんだろう」
「そういうこと」
「そういうこと」
くつくつとペンギンが笑った。
要するにトラファルガーのきまぐれか。それなら納得がいく。
「あ、あれ!!!!」
敵船のマストの上。
狙撃主がトラファルガーを狙っている。トラファルガーは接近戦に夢中で気がついてない。
「っ…!!」
慌ててそちらへ向かおうとするわたしをペンギンが抑えた。
「問題ない」
その瞬間、ティティの銃が煙を吹いた。
「そういう…こと」
「そういうことよ、カズサ」
トラファルガーは一見一人で戦っているようだけど決してそんなことはなかった。
わたしが心配するまでもなかったんだ。
そうだよね。
船長だもんね。
今度は落ち着いてトラファルガーの戦う姿を眺める。
海賊を殴り飛ばして海に放り込み、鋭い蹴りで数名まとめて気絶させる。
囲まれたと思ったら刀で一掃して場を開ける。
本当に、戦い慣れていた。
本当に、殺し慣れていた。
「見惚れてるの?」
気がつくとティティが笑顔でわたしを覗き込んでいた。
「そ、そんなんじゃないよ。ただ、慣れてるなあって思って」
「そうね。海賊だもの。わたしたち」
「ティティもそう?」
「もちろん」
徐々に敵の声が小さくなり、最後は断末魔と共に消えた。
「ペンギン、シャチ、ティティ、敵船からお宝と食料、水を回収しろ。
他のクルーは持ち場に戻れ」
「「「了解!!!!」」」
トラファルガーは何でもないような顔をしてクルーたちに指示を出すと手で返り血をぬぐった。
わたしは無言でタオルを差し出す。
「お、サンキュ。おれの勇姿はちゃんと見てたか?」
「うん。見てた」
「見惚れたか?」
「それは置いといて、本当に海賊なんだなって思った」
置いておかれたのが不満なのかトラファルガーはわずかに口をひねる。
それでもわたしの頭を軽くなでた。
「ああ、おれたちは海賊だ。人殺しも厭わない残忍な犯罪者集団だ。
カズサはおれたちについてきたことを後悔したか?」
その手を払いのけてトラファルガーを見上げる。
「後悔なんてしないよ。わたしだって人を殺したことが無いわけじゃないもの。
知ってるでしょ。
偉大なる航路の入り口で待ち受ける残忍で凶暴な魔女の話」
「くく、そうだったな」
「なんかハートの海賊団ってふだんはのんびりしてて穏やかだから海賊ってことを忘れそうだけど
そうじゃないってわかって良かったよ」
「そうか」
「そうだ」
本当は最初に一人で突撃するトラファルガーを心配しただなんてとてもじゃないけど言えない。
だって彼は心配の必要なんてないほどに強くて凶暴だった。
この心配は胸の中にしまっておこう。
「だが」
「ん?」
「おれを心配するカズサはなかなか良かったぞ」
「し、心配なんてしてないし!」
「くく、照れるな。おれがお前のことで気がつかないことなんてあるわけないだろう」
「ーっ」
ああ、恥ずかしい。ばれていただなんて。
でも悔しいから絶対に口になんて出さない。
トラファルガーは満足そうに、再度わたしの頭を力強くなでた。