揺らいだ恋
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ピンポーン
部屋のチャイムがなる
「純花、いるんだろ?開けろ」
この声…
間違いない
「芹くん…」
もう既にマンションまで来ていたんだ
久遠は私から手を離して玄関へと向かいドアを開けた
芹は一瞬だけ久遠の目を見て言葉をかけずに素通りし
私の元へ真っ直ぐに歩いて手を掴み
ただ一言
「帰るぞ」
芹くん怒ってるのが私にはわかる
けど、手を引かれながら気になった久遠のほうに振り向くと
切ない表情にいたたまれなくなる
私はダメ元で芹くんに話し掛けた
「芹くん待って!」
「なに」
「直ぐに…行くから先に行ってて、直ぐに追いかけるからお願い」
その返事は酷く冷たいものだった
芹は一瞬久遠に視線を向ける
「いいよ、車で待ってるから早くこいよ」
いいよなんて言うと思わなかったけど、
芹くんは私が芹くんから離れないって絶対的な自信があるからだ
私はどうしても久遠くんに言っておきたい言葉があった
芹くんはバタンとドアを閉めて出ていった
私はそれを確認すると
振り向いて久遠を見つめた
『行くのか?それがお前の返事なんだな』
「…うん、その前にどうしても言っておきたいことがあって」
『なんだ?』
「…好きになってくれて、ありがとう」
その言葉に久遠は目を見開く
そしてまた切ない表情に変わる
『そういうこと言うなよ…
俺じゃダメなんだな。
ごめん、これが最初で…最後だから』
「え?」
そういうと私の頬に両手添えてキスを1つ落とした
『キス…ごめんな、俺もお前を好きになって良かったって思ってる。
もう行ってくれ』
「うん、行くね。ごめん…ね」
私はその場から逃げるようにして去った
正直、気持ちは揺らいだ
あのまま芹くんが来なければきっと私は…
歩きながらそんなことを考えていたら芹くんの車が停車しているのが見えた
これから私はきっと芹くんの罰を受けなきゃいけない
何もかも完璧な芹くんが唯一不器用とする人を愛すること。
私はその不器用な芹くんの愛を求めずにはいられない
ずっと
そして人の愛し方を私が教えてあげたい
私は振り返り久遠のマンションを見上げ
「ありがとう」
一言呟き車に乗り込んだ
『あの言葉…反則だろ…』
『俺じゃ駄目なんだな…
はは…情けな…
芹ちゃん先輩の目を見たら一歩も動けなかった、声すら出せなかったな…俺…』
『純花を諦められるのか…時間かかるだろうな…』
『なんだ、これ、俺…泣いてる?泣くほど好きだったのか…くっ…』
久遠はその場に立ち尽くしたまま声を殺し泣いていた
「あ〜あ、自由にしとくんじゃなかったかな〜」
「え…」
「お前が男と飲みに行くことを許してた理由わかるか?」
「私のことがそんなに好きじゃないから…」
「お前バカだろ
好きじゃないって?本気でそう思ってたのかよ」
「正直な話、思ってた…」
「だから久遠に揺らいだのか?」
「え、ちがっ!」
「まあいいよ、俺は純花が他の奴に心奪われることはないって思ってたからだよ
信じてた
けど、それももうやめる
自由にしとくんじゃなかったな」
「だ、だって!芹くんだって大学で他の女の子に囲まれてイチャイチャしてるじゃない!
そんなの見たら誰でも自分のこと好きじゃないんだなって思うよ!」
「へ~そうなんだ?
俺は一切ソイツらに触れないし触れさせてないけど?」
「え…」
「俺もそこまで馬鹿じゃないよ
純花がいるのに触れたりしないだろ
触れられそうになったらかわしてる」
「…」
「純花、俺から離れられるのか?」
私はその言葉を聞くと芹くんのほうに視線を向けた
そんなの無理に決まってる
1度は揺らいだ気持ち
でも、姿を見たら私は芹くんから離れることなんて無理って実感した
「無理…だよ」
「だよな?
はぁ…
ま、今日はこれから家に帰ったらどうなるのか、わかるよな?」
「うん…」
「よし、いい子だ
今日はじっくり教え込んでやるからな、俺がどれだけ純花を好きなのかを」
そして私は罰にならない罰を朝まで受けつづけたのだった
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