LOVE A TUTOR
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『うん、そう、あってる この調子で次もやってみて』
「うん」
私の先生っていっても
家庭教師なんだけど
初めて家に来た時はビックリしたの
勿論私は初日に顔を合わすまで
家庭教師のことも
それを同級生に頼んでたことも全く知らなくて
だってその人は
私の好きな人…
今まで遠い存在に思っていた
同じクラスの佐伯くんだったから
話なんてしたことなかった
いつも取り巻きの女のコが沢山だったから
下手に話しかけたりしたら
それはもう大変なことになりかねないから
私の親が佐伯くんの両親と知り合いだったらしくて
それも初めて知って
成績の悪い私をみかねて
それならうちの子を家庭教師にと
申し出たのが佐伯くんのお父さんで
うちの親もそれは有り難いと
勝手に家庭教師なんてものを頼んでしまったから
勿論このことは学校では秘密
バレたら私はどうなってしまうのか…考えただけでもゾッとする
で、今日は家庭教師の日
佐伯くんの教え方は 凄く上手いんだ
頭の悪い私でも わかってしまうくらいだから
でもね、なんか違う方に意識がいっちゃって
上の空で
『おい、聞いてるのか?』
「え?あ、ご、ごめん」
『お前な~チョップだ』
「痛っ!暴力反対!」
『お前がちゃんと聞いてないからだろ?
何考えてんだよ、こっちに集中しろ』
だって好きな人がこんな間近でいたら
照れちゃって恥ずかしくて
勉強どころじゃないよ
こんなに自然に話せるようになるとは思わなかったな
「どう?これで合ってる?」
『あぁ、正解、飲み込みが早くて助かるよ、
よく頑張ってるな』
その微笑は私にトドメを指し
私の顔も赤くなるのがわかる
私に向けられる微笑は
学校で見せてる偽物の微笑じゃなかったから
『ん?どうした?
なんで顔が赤いんだ?熱でもあるのか?』
佐伯くんの掌が私の額に乗せられる
「さ、佐伯くん!!」
『熱はないみたいだ
ははぁ~ん、お前』
「な、なによ」
『俺にホレたか?』
「ば、ばっかじゃないの!!
み、皆が皆、佐伯くんのことカッコイイって思ってるとは限らないんだからね!!」
あ、余計なことまで言ってしまった…
いつもいつも私は一言多い
今までそれがきっかけで失敗ばかりしていたのに
『あ~そうだな、悪かったな』
「ごめん」
『なんで謝るんだよ、やっぱりホレて…』
「違っ!わなくもないこともない、かな」
『ふうん』
「な、なによ」
『なあ』
「え?─んっ!!!」
いきなり不意打ちのキス
私は咄嗟に佐伯くんの体を押し退ける
「ち、ちょっと!!なにすんの!!」
『何って、したかったから、じゃ駄目なのか?』
佐伯くんってこんな人だった?
なんか佐伯くん別人みたい
「当たり前じゃない!!
お互いの気持ちが同じじゃないのに
こんなの、こんなのってないよ」
『気持なら純花と一緒だけど?』
思わず泣きそうになった私は
「へ!?今なんて?」
佐伯くんの言葉に変な声を発してしまった
『だから、気持なら同じだって言ってんだよ、
二回も言わせんな!』
またチョップをくらう
気持が同じ?なんの冗談?
夢?
だって家庭教師になって
うちに来てからまだ数回なのよ?
学校では会ってるけど
話したことなかったのに
「痛っ!夢じゃない…」
『当たり前だろ!夢であってたまるか!』
「だ、だって、どうして?学校では話したことなかったじゃん」
佐伯くんは私のこの言葉に少し寂しそうな顔をした
『俺ら前にも会ってるんだよ、
小さい頃、お互い親に連れられて、
何回か遊んだんだ、
やっぱり覚えてなかったか』
親に?
そういえば昔
泣き虫な男の子が
私の後ろをくっついて来てた子がいたけど
まさか!
「瑛虫!」
『ばか!その名前を口にするな!』
3回目チョップが飛んできた
「痛いよ!!何回チョップするのよ!!」
『純花が悪いんだろ!!
…やっと思い出したか』
また佐伯くんは切なそうな表情をする
「ごめんね、今まで忘れててホントにごめん」
『もういいって、思い出してくれたようだし…
家庭教師だって純花だから引き受けたんだ
他のやつなら受けなかった』
「瑛…」
自然に私の口から出た佐伯くんの名前に
少しだけ驚いた表情を見せたと思ったら
私の視界には佐伯くんはいなくて
強く抱きしめられていた
「家庭教師ってこんなことまでするの?」
『純花にはな、ここからは特別授業だ』
完
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