その空に、星は無かった。

言葉などは、沢山あるのに何故だろう。


「今日も一日中、本を読みまくったなー」



背伸びをする少年。


彼の名はソラ、読書が大好きな民間人。


「本ばかり読んでいても、星の降る街には辿り着けないわよ！？」

すかさずニボシを投げると、魔法の黒猫であるミミは迅雷の如き速さで走って行く。


「犬より早いなぁ」


なんて言っていると、ミミは本棚にブチ当たって大量の本が雨のように降り注ぐ。


「そんなに本が好きだったのか？」


「なわけ無いでしょ、シャー！」



（毒舌と食いしん坊さえ、無ければ可愛いのに）



猫は少しフラつきながらも、トコトコと歩きながら書斎から出て行った。


ソラは心配しつつも、ローブを羽織って外に向かった。

（夜空には、ちゃんと星がある筈なのに……無いと思うと凄く悲しい）