幸せとは
玲愛との待ち合わせ場所に向かう為、準備を終えると家を出た。
あの電話のおかげでだいぶ落ち着けたし、何よりこんな時に玲愛に会えるのが嬉しい。
心はまだ沈んでいるけれど、親友と会える喜びが私を外に連れ出してくれていた。
チラリと時計を見ると待ち合わせまでまだ時間がある。
少しコンビニでも寄ろうかな。
何を買うでもなく、通い慣れたコンビニに足を運ぶ。
「しゃいませ〜」
扉が開くと気だるそうな挨拶が私を迎え入れた。
昴が泊まりに来る時はいつもここで買い物してたな…。
不意に幸せな瞬間が思い返されて、心がまた沈もうとした。
「はぁ…」
と小さくため息をついて、玲愛に聞いてもらおう、という希望でなんとか繋ぎ止めた。
小さなペットボトルの水を手に取り、たぶん必要になるであろうポケットティッシュを探しに店内を歩く。
確か雑貨コーナーにあったな。
お菓子の棚を通り過ぎようとしたとき、床に置かれた段ボールに気づかず躓きすっ転ぶ。
ただ転ぶだけだったら良かったのに、とっさに出てしまった手が棚の商品を派手にぶちまけた。
あ〜…もう最悪
不幸は重なるものだな…そう思って商品を棚に戻していると、1人の店員が駆け寄った。
「大丈夫ですか?やっときますからいいですよ」
「あ…いえ、すみません。私も手伝います」
見れば高校生くらいの店員だ。
最初の挨拶が無愛想で印象は悪かったが、それだけで判断してはいけないな。
「すみません。僕が置きっ放しにしちゃったから…。お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。私もよそ見しながら歩いちゃって」
ある程度商品を戻すと、後は大丈夫ですから、と笑顔で対応してくれた。
目当ての物を見つけると時間を確認し、まだ待ち合わせまで余裕がある事にホッとする。
商品を持ってレジに並ぶと、対応したのはさっきの店員だった。
「さっきはすみませんでした。ダメになった商品があったら買いますから」
「あ〜、いえ、大丈夫です!ウチ返品ききますから!」
店員の幼さの残る笑顔に私もつられて
「へ〜!そうなんですか〜」
なんて返答をしながら笑ってしまった。
「お会計が276円になります」
「これでお願いします」
千円札を取り出して渡す。
店員が少し急いでるように見えたのでチラリと後ろを確認すると、数人が私の後ろに並んでいた。
「724円のお返しですね!ありがとうございます!」
少し慌てている店員にニッコリと微笑み、お釣りを受け取ると並んでいる客の為にすぐレジから離れた。
「お待ちのお客様どうぞ〜!」
若いのにしっかりしてるな、そんな事を思いながらお釣りをしまおうとした時、お金が少ない事に気付く。
数人がレジ待ちで並んでいる。
時計を見てまだ余裕がある事を確認すると、客が引くのを待って話しかけた。
「あの…お釣り、500円足りないんですけど…」
お菓子をぶちまけた事もあり、少し申し訳なさそうに告げる。
「え!?あ!!すみません!!」
そう言うと申し訳なさそうにレジから500円を取り出し、失礼しました!と言って渡してくれた。
「いえ。お菓子すみませんでした。お仕事頑張って下さい」
なんでこんな事を言ったのかはわからない。
店を散らかした後ろめたさからだったのかもしれないし、彼の仕事に対する真っ直ぐさが、私の心を少し戻してくれた気がしたからかもしれない。
あの電話のおかげでだいぶ落ち着けたし、何よりこんな時に玲愛に会えるのが嬉しい。
心はまだ沈んでいるけれど、親友と会える喜びが私を外に連れ出してくれていた。
チラリと時計を見ると待ち合わせまでまだ時間がある。
少しコンビニでも寄ろうかな。
何を買うでもなく、通い慣れたコンビニに足を運ぶ。
「しゃいませ〜」
扉が開くと気だるそうな挨拶が私を迎え入れた。
昴が泊まりに来る時はいつもここで買い物してたな…。
不意に幸せな瞬間が思い返されて、心がまた沈もうとした。
「はぁ…」
と小さくため息をついて、玲愛に聞いてもらおう、という希望でなんとか繋ぎ止めた。
小さなペットボトルの水を手に取り、たぶん必要になるであろうポケットティッシュを探しに店内を歩く。
確か雑貨コーナーにあったな。
お菓子の棚を通り過ぎようとしたとき、床に置かれた段ボールに気づかず躓きすっ転ぶ。
ただ転ぶだけだったら良かったのに、とっさに出てしまった手が棚の商品を派手にぶちまけた。
あ〜…もう最悪
不幸は重なるものだな…そう思って商品を棚に戻していると、1人の店員が駆け寄った。
「大丈夫ですか?やっときますからいいですよ」
「あ…いえ、すみません。私も手伝います」
見れば高校生くらいの店員だ。
最初の挨拶が無愛想で印象は悪かったが、それだけで判断してはいけないな。
「すみません。僕が置きっ放しにしちゃったから…。お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。私もよそ見しながら歩いちゃって」
ある程度商品を戻すと、後は大丈夫ですから、と笑顔で対応してくれた。
目当ての物を見つけると時間を確認し、まだ待ち合わせまで余裕がある事にホッとする。
商品を持ってレジに並ぶと、対応したのはさっきの店員だった。
「さっきはすみませんでした。ダメになった商品があったら買いますから」
「あ〜、いえ、大丈夫です!ウチ返品ききますから!」
店員の幼さの残る笑顔に私もつられて
「へ〜!そうなんですか〜」
なんて返答をしながら笑ってしまった。
「お会計が276円になります」
「これでお願いします」
千円札を取り出して渡す。
店員が少し急いでるように見えたのでチラリと後ろを確認すると、数人が私の後ろに並んでいた。
「724円のお返しですね!ありがとうございます!」
少し慌てている店員にニッコリと微笑み、お釣りを受け取ると並んでいる客の為にすぐレジから離れた。
「お待ちのお客様どうぞ〜!」
若いのにしっかりしてるな、そんな事を思いながらお釣りをしまおうとした時、お金が少ない事に気付く。
数人がレジ待ちで並んでいる。
時計を見てまだ余裕がある事を確認すると、客が引くのを待って話しかけた。
「あの…お釣り、500円足りないんですけど…」
お菓子をぶちまけた事もあり、少し申し訳なさそうに告げる。
「え!?あ!!すみません!!」
そう言うと申し訳なさそうにレジから500円を取り出し、失礼しました!と言って渡してくれた。
「いえ。お菓子すみませんでした。お仕事頑張って下さい」
なんでこんな事を言ったのかはわからない。
店を散らかした後ろめたさからだったのかもしれないし、彼の仕事に対する真っ直ぐさが、私の心を少し戻してくれた気がしたからかもしれない。