アルバム(ほのぼの)
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マスター「そういえばね、もともと僕とクレイジーはさぁ、ここの城住んだ最初の1ヶ月は同じ部屋だったんだよねー。それまでは部屋は綺麗だったんだよね」
マスターから初めて聞くとっても意外な話に、驚いて手が止まる。
……ってそれ、マスター絶対片付けてないやつじゃない!
『え、2人で同じ部屋ってこと? クレイジー嫌がらなかったの?』
マスター「もちろん嫌がったよ」
『でしょうね!』
マスター「1ヶ月経って、やってられないってクレイジーが怒っちゃったのねー。それで喧嘩して別部屋に至るみたいな?」
想像通りのオチに苦笑いを浮かべてしまった。
そんなお話を聞きながら、私は彼の私物をできる限りのスピードで片付けていく。
『あれ? これって…』
山積みになった服を片付けていると、分厚い大きな本のようなものが出てくる。
マスター「……あ! これ、アルバムだ」
『アルバム?』
マスター「探してたんだ。さくらありがとう!」
私から分厚い本を受け取ると、とっても懐かしそうに表紙を見つめているから、私もそのアルバムについてもう少し知りたくなってくる。
『それって、いつのアルバムなの?』
マスター「さくらならいっか。よかったら一緒に見る? もちろんクレイジーには内緒だよ」
『ってことは昔のマスターとクレイジーがみられるってこと??』
マスター「うん。そういうと、少し恥ずかしいね」
『え、見たい!!見せて!』
そんな面白そうなもの、見ない以外の選択肢なんてないに決まってるじゃんね!
私のお願いを聞いて、マスターが早速アルバムの最初のページを開いてくれた。
マスター「一時期記録を残そうって、自動で写真撮る機械を作って稼働させてたんだよねー!」
『へー、これっていつの??』
マスター「2年前くらいかな?」
『2人とも若いね!』
マスター「え。そんなに老けたかな」
私の言葉選びが悪かったのだけど、そんなにショックを受けないでー!
今よりも幼いって言いたかっただけなのーー!
そうして、色々な写真を見ていると、少し気になることに気づく。
『クレイジーって、今より表情が明るい……というか、こんなに色々な表情するの?』
マスター「え?いつもこんな感じだけど…」
マスターは全くといっていいほど今と変わらず明るい感じが伝わってくる。
けど、クレイジーはなんだろう?
今の彼と比較すると、珍しく口角が上がるような表情をしている写真が多いの。
マスター「……あ、この時期ねー、喧嘩するとすぐ発狂してたからかな?」
『あ、じゃあこの口角上がってるのは発狂してるクレイジーなのね』
確かに、マスターとクレイジーがおでこ引っ付けてなんか言い合いしているような写真。
マスターは本気で怒ってるけどクレイジーはまさに狂気を浮かべたような顔をしている。
『マスターのピンショットもあるのね! 珍しくすっごい真剣な顔してるじゃん!』
マスター「あー、これがさっきの写真の後の乱闘だね」
『なんかごめんなさい……。ってことはこっちのピンで笑顔のクレイジーは……?』
マスター「あーこれ僕に技を繰り出そうとした瞬間のクレイジー。結構えげつない技出してくるんだよね、こんな可愛い顔して」
確かに可愛いというか、普通に楽しそうな顔しているから前情報がなければ、
「クレイジー笑顔だね!」
って喜んじゃう。
それ以降の写真を見ると、やっぱりマスターは表情豊かで、一方クレイジーの方は表情がだんだん少なくなってきて、普段見る無表情の彼の写真が増えてきた。
マスター「あの人、発狂してる時くらいしか喜怒哀楽の出し方分かんないんじゃないかなー?」
『うーん。確かに無表情だけど、たまに楽しそうにしている時もある、気がする』
マスター「僕には睨むか無表情しかないけどね。でも、さくらが来てから笑顔が増えた気がするよ」
『今より無表情だったって、それもそれで少し怖いのだけど……』
マスター「うん、怖かったよー」
そんなこんなで2人でアルバムを観ながら、マスターの昔話を沢山聞いていたの。
マスターがとーっても楽しそうに話すから、ついつい聞きいっちゃって……。
『って、夜になってるじゃない!!』
マスター「あー!ご飯の時間だね!」
そういうことじゃなくて!
私も一緒になって楽しんでしまったのだから何も言えないのだけど、本来の目的であるお片付けは2割くらいしか進んでなくて。
マスター「あとは明日僕が頑張るから大丈夫大丈夫!」
『大丈夫? 心配しかないのだけど』
マスター「じゃあ明日も手伝ってくれる?」
『それは嫌かも』
マスター「冷たいなー」
だって、マスターの話を毎日聞くだけで一生かかっても片付けなんて終わらなさそうだもの。……それも楽しそうなんだけどね。
『というか、アルバム、途中からなくなってるね』
マスター「あー、これね、電池交換するのめんどくさくてそのままにしているんだよね」
『電池なんてすぐ交換するだけなのに』
マスターの後回し癖って、ここまでひどかったのね……。
幸い、機械も電池もすぐ見つけたから交換しておいた。
マスター「まめだね、さくらは」
『だって、これからも沢山思い出を残したいじゃん』
そう言って、機械のスイッチを入れると、機械は透明になる。
『あれ、なくなっちゃった』
マスター「あ、これ僕の魔法もかかってて、自動追尾機能もあるし、自然体撮りたいから透明になるようになってるの」
そんな高性能だったのね!
……ここまでハイテクなのに電池で動くんだ。というツッコミは無しの方向で。
ちなみにマスターしか追尾しない設定になってるから安心してって言われた。
『じゃあお腹もすいたからご飯食べに行こっか』
マスター「そうだね、クレイジーも誘う?」
『もちろんだよ、わざわざ聞かなくてもいいのに』
マスター「万に一度でも、さくらが僕と2人で過ごしたいって思ってるかもしれないから聞いたんだけどね」
『さっき嫌ってくらい2人で話したじゃない』
マスター「えーさくらにとっては嫌だったのー? ショックだなぁ」
『ち、違うってば!ずっと2人でいたってことを揶揄しただけで、これは!』
マスター「わかってるわかってる」
本当にわかってるかな? わからないけど……。
とりあえずクレイジーの部屋をノックして一緒に夕食に向かう。
マスターが真ん中で色々な話を振ってくれて、それに私が相槌を打つ。
クレイジーが興味なさそうに聞きつつもマスターがいきすぎたことを言うと抑える。
そんな風にいつも通りに歩く。
少し遅めの時間とあって、メンバーが少ない食堂まで辿り着く。
いつもだったら私の隣にマスターかクレイジーが座るのだけど。
『今日は2人並んで座ってよ?』
マスター「じゃあ今日はクレイジーと ” 仲良く ” お隣さんだね!」
クレイジー「寄るな。1mは距離を取れ」
マスター「それは隣って言わないんじゃない!?」
マスターの距離が近かいのもあると思うのだけど、相変わらずマスターへの当たりが強いクレイジーに私は苦笑いを隠せなかったわ。
クレイジー「なんで隣なんだよ」
『なんとなく』
クレイジー「……」
マスターが見せてくれたアルバムを見て、2人が並んでるところ見たいって言ったら、マスターとの約束破ることになっちゃうもんね。
だから秘密。
クレイジーは少し不服そうな顔を浮かべていたんだけど、ちゃんとマスターの横に座ってくれた。
クレイジー「さくらは今日は何をしてたんだ?」
マスター「僕にも聞いてよ!」
クレイジー「お前は聞かなくても話してくるだろ」
マスター「はぁー相変わらず僕の愛は一方通行みたい」
私はこの2人の掛け合い、結構好きなんだよね。
確かにクレイジーは冷たいかもしれないけど、マスターの仕事をやっちゃったり部屋の片付けまでしちゃうんだから、なんだかんだマスターを思ってるんじゃないかなって。
(それか、マスターに頼むより自分でやった方が早いから……?)
『そうだ、今日さ、一日中マスターの部屋を掃除してたのよ! 全然進まなかったけど』
クレイジー「あー……」
おそらく昨年までのマスターの部屋のことを思い出しているのかな? クレイジーは少し憐れむような表情を浮かべていた。
……やっぱり去年までの片付けも大変だったのね。
クレイジー「あそこは魔界だからな」
マスター「魔界って言い過ぎじゃない? せめてジャングルとかにしてよ」
クレイジー「魔界だろ」
マスター「魔界の住人が認めるならそうかもしれないけど」
クレイジー「あ?」
『アハハハ!』
急に笑い出す私を見てポカンとする2人。
『ごめん、2人の掛け合いがなんだか漫才みたいで』
マスター「漫才かー、じゃあ僕がツッコミだね、兄だし!」
クレイジー「…………なんでやねん」
すっごい迷った末にクレイジーが、ちゃんとコテコテのツッコミを真顔で入れるのがさらにおかしくて、私はさらに笑ってしまう。
それにつられてマスターも笑って、クレイジーも楽しそうな顔をしている。
いつもより少しだけ盛り上がった夕食を片付けようとした時、
パサリーー。
マスターの前に一枚の写真が落ちてくる。
『あ、これって……』
すっかり忘れてたけど、マスターの写真を撮る機械から写真が落ちてきた。
写真を覗くと、大爆笑をする私とマスター、そして口角を遠慮がちにあげるクレイジーの姿が映っていた。
マスター「おぉー、素敵な写真」
『ね、それにクレイジーも笑ってるよ!』
マスター「本当だ、クレイジーが笑顔!」
笑顔っていうのには少し遠いかもだけど、楽しそうなクレイジーの姿も映ってた。
クレイジー「笑ってない」
『笑ってるじゃん!』
マスター「クレイジー、物的証拠があるんだからその言い訳は無理だよー!」
『あ、絶対壊しちゃダメだからね!』
クレイジー「……」
クールでツンデレな彼だから、笑顔を見られるのが恥ずかしいのかな?
せっかくだからこの写真は、マスターが作ってたアルバムに加えてあげたいけど、あの部屋の状態だもの。次はいつアルバムが見れるかわからない。
だから……。
『この写真、私が貰ってもいい?』
マスター「もちろん。僕だとまた無くしそうだしね。でもクレイジーが笑ってるレア写真、僕も欲しかったなー」
『クレイジーが笑ってる写真なんていつでも撮れるよ!』
マスター「さくらがいないと撮れないけどね?」
クレイジー「マスターァ?」
『んんん! ほらクレイジーが笑顔よ?』
マスター「さくら、これは狂喜と言うんだよ!」
********
私は無事に写真をもらうことができたの。
私の大好きな2人が、私も含めて笑顔で楽しそうにしている写真は、写真たてにいれられて机に飾ってある。
『ふふ、ずっとこんな風に笑って過ごせますように』
そんなことを思いながら私は穏やかに眠りについた。
********
▼後日談。
マスター「……」
『しょんぼりしてどうしたの?』
マスター「……」
何も言わずに、スッと紙を数枚見せてくるマスター。
それは先日の機械が撮った写真たち。
そこにはーー。
マルスにめっちゃくちゃに(マスターって髪の毛とか服とか白いんだけど真っ黒にされちゃうくらい)ボロボロにされたマスターとか、
クレイジーに踏みつけられて泣いてるマスターとか、
ピーチにお買い物袋を持たされて使用人扱いされるマスターとか…
とっても可哀想なマスターがずらりと映ってる。
マスター「客観的に見て、僕って可哀想すぎない!?!?」
私は、不憫すぎるマスターに慰めの声をかけることができず写真を見なかったことにして、マスターにバレないようにその場をそっと後にした。
その写真もきっちり撮られてて、しっかりマスターの心にダメージを与えたのであった。
Fin
マスターから初めて聞くとっても意外な話に、驚いて手が止まる。
……ってそれ、マスター絶対片付けてないやつじゃない!
『え、2人で同じ部屋ってこと? クレイジー嫌がらなかったの?』
マスター「もちろん嫌がったよ」
『でしょうね!』
マスター「1ヶ月経って、やってられないってクレイジーが怒っちゃったのねー。それで喧嘩して別部屋に至るみたいな?」
想像通りのオチに苦笑いを浮かべてしまった。
そんなお話を聞きながら、私は彼の私物をできる限りのスピードで片付けていく。
『あれ? これって…』
山積みになった服を片付けていると、分厚い大きな本のようなものが出てくる。
マスター「……あ! これ、アルバムだ」
『アルバム?』
マスター「探してたんだ。さくらありがとう!」
私から分厚い本を受け取ると、とっても懐かしそうに表紙を見つめているから、私もそのアルバムについてもう少し知りたくなってくる。
『それって、いつのアルバムなの?』
マスター「さくらならいっか。よかったら一緒に見る? もちろんクレイジーには内緒だよ」
『ってことは昔のマスターとクレイジーがみられるってこと??』
マスター「うん。そういうと、少し恥ずかしいね」
『え、見たい!!見せて!』
そんな面白そうなもの、見ない以外の選択肢なんてないに決まってるじゃんね!
私のお願いを聞いて、マスターが早速アルバムの最初のページを開いてくれた。
マスター「一時期記録を残そうって、自動で写真撮る機械を作って稼働させてたんだよねー!」
『へー、これっていつの??』
マスター「2年前くらいかな?」
『2人とも若いね!』
マスター「え。そんなに老けたかな」
私の言葉選びが悪かったのだけど、そんなにショックを受けないでー!
今よりも幼いって言いたかっただけなのーー!
そうして、色々な写真を見ていると、少し気になることに気づく。
『クレイジーって、今より表情が明るい……というか、こんなに色々な表情するの?』
マスター「え?いつもこんな感じだけど…」
マスターは全くといっていいほど今と変わらず明るい感じが伝わってくる。
けど、クレイジーはなんだろう?
今の彼と比較すると、珍しく口角が上がるような表情をしている写真が多いの。
マスター「……あ、この時期ねー、喧嘩するとすぐ発狂してたからかな?」
『あ、じゃあこの口角上がってるのは発狂してるクレイジーなのね』
確かに、マスターとクレイジーがおでこ引っ付けてなんか言い合いしているような写真。
マスターは本気で怒ってるけどクレイジーはまさに狂気を浮かべたような顔をしている。
『マスターのピンショットもあるのね! 珍しくすっごい真剣な顔してるじゃん!』
マスター「あー、これがさっきの写真の後の乱闘だね」
『なんかごめんなさい……。ってことはこっちのピンで笑顔のクレイジーは……?』
マスター「あーこれ僕に技を繰り出そうとした瞬間のクレイジー。結構えげつない技出してくるんだよね、こんな可愛い顔して」
確かに可愛いというか、普通に楽しそうな顔しているから前情報がなければ、
「クレイジー笑顔だね!」
って喜んじゃう。
それ以降の写真を見ると、やっぱりマスターは表情豊かで、一方クレイジーの方は表情がだんだん少なくなってきて、普段見る無表情の彼の写真が増えてきた。
マスター「あの人、発狂してる時くらいしか喜怒哀楽の出し方分かんないんじゃないかなー?」
『うーん。確かに無表情だけど、たまに楽しそうにしている時もある、気がする』
マスター「僕には睨むか無表情しかないけどね。でも、さくらが来てから笑顔が増えた気がするよ」
『今より無表情だったって、それもそれで少し怖いのだけど……』
マスター「うん、怖かったよー」
そんなこんなで2人でアルバムを観ながら、マスターの昔話を沢山聞いていたの。
マスターがとーっても楽しそうに話すから、ついつい聞きいっちゃって……。
『って、夜になってるじゃない!!』
マスター「あー!ご飯の時間だね!」
そういうことじゃなくて!
私も一緒になって楽しんでしまったのだから何も言えないのだけど、本来の目的であるお片付けは2割くらいしか進んでなくて。
マスター「あとは明日僕が頑張るから大丈夫大丈夫!」
『大丈夫? 心配しかないのだけど』
マスター「じゃあ明日も手伝ってくれる?」
『それは嫌かも』
マスター「冷たいなー」
だって、マスターの話を毎日聞くだけで一生かかっても片付けなんて終わらなさそうだもの。……それも楽しそうなんだけどね。
『というか、アルバム、途中からなくなってるね』
マスター「あー、これね、電池交換するのめんどくさくてそのままにしているんだよね」
『電池なんてすぐ交換するだけなのに』
マスターの後回し癖って、ここまでひどかったのね……。
幸い、機械も電池もすぐ見つけたから交換しておいた。
マスター「まめだね、さくらは」
『だって、これからも沢山思い出を残したいじゃん』
そう言って、機械のスイッチを入れると、機械は透明になる。
『あれ、なくなっちゃった』
マスター「あ、これ僕の魔法もかかってて、自動追尾機能もあるし、自然体撮りたいから透明になるようになってるの」
そんな高性能だったのね!
……ここまでハイテクなのに電池で動くんだ。というツッコミは無しの方向で。
ちなみにマスターしか追尾しない設定になってるから安心してって言われた。
『じゃあお腹もすいたからご飯食べに行こっか』
マスター「そうだね、クレイジーも誘う?」
『もちろんだよ、わざわざ聞かなくてもいいのに』
マスター「万に一度でも、さくらが僕と2人で過ごしたいって思ってるかもしれないから聞いたんだけどね」
『さっき嫌ってくらい2人で話したじゃない』
マスター「えーさくらにとっては嫌だったのー? ショックだなぁ」
『ち、違うってば!ずっと2人でいたってことを揶揄しただけで、これは!』
マスター「わかってるわかってる」
本当にわかってるかな? わからないけど……。
とりあえずクレイジーの部屋をノックして一緒に夕食に向かう。
マスターが真ん中で色々な話を振ってくれて、それに私が相槌を打つ。
クレイジーが興味なさそうに聞きつつもマスターがいきすぎたことを言うと抑える。
そんな風にいつも通りに歩く。
少し遅めの時間とあって、メンバーが少ない食堂まで辿り着く。
いつもだったら私の隣にマスターかクレイジーが座るのだけど。
『今日は2人並んで座ってよ?』
マスター「じゃあ今日はクレイジーと ” 仲良く ” お隣さんだね!」
クレイジー「寄るな。1mは距離を取れ」
マスター「それは隣って言わないんじゃない!?」
マスターの距離が近かいのもあると思うのだけど、相変わらずマスターへの当たりが強いクレイジーに私は苦笑いを隠せなかったわ。
クレイジー「なんで隣なんだよ」
『なんとなく』
クレイジー「……」
マスターが見せてくれたアルバムを見て、2人が並んでるところ見たいって言ったら、マスターとの約束破ることになっちゃうもんね。
だから秘密。
クレイジーは少し不服そうな顔を浮かべていたんだけど、ちゃんとマスターの横に座ってくれた。
クレイジー「さくらは今日は何をしてたんだ?」
マスター「僕にも聞いてよ!」
クレイジー「お前は聞かなくても話してくるだろ」
マスター「はぁー相変わらず僕の愛は一方通行みたい」
私はこの2人の掛け合い、結構好きなんだよね。
確かにクレイジーは冷たいかもしれないけど、マスターの仕事をやっちゃったり部屋の片付けまでしちゃうんだから、なんだかんだマスターを思ってるんじゃないかなって。
(それか、マスターに頼むより自分でやった方が早いから……?)
『そうだ、今日さ、一日中マスターの部屋を掃除してたのよ! 全然進まなかったけど』
クレイジー「あー……」
おそらく昨年までのマスターの部屋のことを思い出しているのかな? クレイジーは少し憐れむような表情を浮かべていた。
……やっぱり去年までの片付けも大変だったのね。
クレイジー「あそこは魔界だからな」
マスター「魔界って言い過ぎじゃない? せめてジャングルとかにしてよ」
クレイジー「魔界だろ」
マスター「魔界の住人が認めるならそうかもしれないけど」
クレイジー「あ?」
『アハハハ!』
急に笑い出す私を見てポカンとする2人。
『ごめん、2人の掛け合いがなんだか漫才みたいで』
マスター「漫才かー、じゃあ僕がツッコミだね、兄だし!」
クレイジー「…………なんでやねん」
すっごい迷った末にクレイジーが、ちゃんとコテコテのツッコミを真顔で入れるのがさらにおかしくて、私はさらに笑ってしまう。
それにつられてマスターも笑って、クレイジーも楽しそうな顔をしている。
いつもより少しだけ盛り上がった夕食を片付けようとした時、
パサリーー。
マスターの前に一枚の写真が落ちてくる。
『あ、これって……』
すっかり忘れてたけど、マスターの写真を撮る機械から写真が落ちてきた。
写真を覗くと、大爆笑をする私とマスター、そして口角を遠慮がちにあげるクレイジーの姿が映っていた。
マスター「おぉー、素敵な写真」
『ね、それにクレイジーも笑ってるよ!』
マスター「本当だ、クレイジーが笑顔!」
笑顔っていうのには少し遠いかもだけど、楽しそうなクレイジーの姿も映ってた。
クレイジー「笑ってない」
『笑ってるじゃん!』
マスター「クレイジー、物的証拠があるんだからその言い訳は無理だよー!」
『あ、絶対壊しちゃダメだからね!』
クレイジー「……」
クールでツンデレな彼だから、笑顔を見られるのが恥ずかしいのかな?
せっかくだからこの写真は、マスターが作ってたアルバムに加えてあげたいけど、あの部屋の状態だもの。次はいつアルバムが見れるかわからない。
だから……。
『この写真、私が貰ってもいい?』
マスター「もちろん。僕だとまた無くしそうだしね。でもクレイジーが笑ってるレア写真、僕も欲しかったなー」
『クレイジーが笑ってる写真なんていつでも撮れるよ!』
マスター「さくらがいないと撮れないけどね?」
クレイジー「マスターァ?」
『んんん! ほらクレイジーが笑顔よ?』
マスター「さくら、これは狂喜と言うんだよ!」
********
私は無事に写真をもらうことができたの。
私の大好きな2人が、私も含めて笑顔で楽しそうにしている写真は、写真たてにいれられて机に飾ってある。
『ふふ、ずっとこんな風に笑って過ごせますように』
そんなことを思いながら私は穏やかに眠りについた。
********
▼後日談。
マスター「……」
『しょんぼりしてどうしたの?』
マスター「……」
何も言わずに、スッと紙を数枚見せてくるマスター。
それは先日の機械が撮った写真たち。
そこにはーー。
マルスにめっちゃくちゃに(マスターって髪の毛とか服とか白いんだけど真っ黒にされちゃうくらい)ボロボロにされたマスターとか、
クレイジーに踏みつけられて泣いてるマスターとか、
ピーチにお買い物袋を持たされて使用人扱いされるマスターとか…
とっても可哀想なマスターがずらりと映ってる。
マスター「客観的に見て、僕って可哀想すぎない!?!?」
私は、不憫すぎるマスターに慰めの声をかけることができず写真を見なかったことにして、マスターにバレないようにその場をそっと後にした。
その写真もきっちり撮られてて、しっかりマスターの心にダメージを与えたのであった。
Fin
