03 君がきになる
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あれから1週間が過ぎた
あの日、遠巻きから見ていたであろう桃城と菊丸から絡まれたのは言うまでもない
2人して根掘り葉掘り聞いてきたが、
彼女とは特に話すことがあるような間柄でもないため
何でもない、と答えると
それで納得するはずのない彼らは
1週間たった今でもしつこくからかってくるのだ
当の彼女はと言えば、あれからやたらと校内で姿をみかけるようになった
もしかしたらそれまでも同じようにすれ違っていたのかもしれないが
会えば彼女がこんにちは、と声をかけてくるので
海堂も短い挨拶を返すくらいだった
いつものように部活後にランニングをしていた海堂
ノルマを終えたので、そのまま帰宅しようとしたが
川で振り抜きに使った手ぬぐいが見当たらないことに気づく
「…チッ、落としたのか」
少し走り足りなかったのもあったので、手ぬぐいを取りに行きがてら再びランニングをすることにした
河原につき川の方へ降りていくと、誰かが川のふちにしゃがみ込んでいる
なんだか見覚えのある後ろ姿だ
「あっ、海堂先輩」
見覚えのある後ろ姿は柏木 葵だった
「こんばんは、何だか最近よく会いますね」
そう言って彼女が立ち上がった
その手には海堂が取りに来た手ぬぐいが握られている
「それ、俺のだ」
手ぬぐいを指さす
「ああ、そうなんですね散歩してたら落ちてたので何かと思って拾った所だったんです
風に飛ばされなくてよかったですね」
わざわざたたみ直してから手ぬぐいをこちらに差し出してくれた
「悪いな」
ありがたく海堂はそれを受け取った
「先輩部活が終わったあともこんな時間までトレーニングしてるんですね
さすが青学テニス部レギュラーですね!」
彼女がにっこり微笑みながらこちらを真っ直ぐ見上げてくる
風になびく栗色の髪が印象的だったが
こう見ると目の色も少し色素が薄いような色をしている
「ていうか、この前から思ってたんですけど…
海堂先輩って脚の筋肉がすっごい綺麗ですよね!
私も以前陸上やってたんですけど、先輩の脚惚れ惚れします」
きらきらとした瞳をこちらに向けたまま
急にそんなことを言ってきたので
はぁ?とすっとんきょうな声が出てしまった
すると葵は急に顔を赤らめ、しまった、という顔つきになる
「わ、すみません急に、なんか興奮しちゃって
気持ちわるいですよね、ごめんなさい!」
「いや、気持ちわるいことはねえが…」
急に褒められたので驚きと恥ずかしさはあるが、素直に嬉しかった
「すみません、いきなり変なこと言って
じゃあ、あの私そろそろ帰ります
先輩もトレーニングお疲れ様です、では」
相当恥ずかしかったらしい彼女は、そそくさと帰っていった
女子に褒められたのは初めてかもしれない
しかも脚の筋肉が綺麗だと、
海堂の口角が少しあがる
(家までもう少し走って帰るか)
丁寧にたたまれた手ぬぐいを手に、海堂も帰路についた