1 謎
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「やっぱり告白のタイミングってロマンチックな雰囲気とかがいるのかな?どう思う?平次くん」
「レトロチックな分度器がなんやて?」
学校が終わり家に帰って、平次くんと電話しながら晩御飯の準備をするのが私の夕方のお決まりパターン。
「そんなこと言ってない。ロマンチックな雰囲気!工藤くん、俺には俺のタイミングがあるってなかなか蘭に告白しないから。絶対両思いなのに」
「やからやないか?幼馴染でお互い好きなんもなんとなくわかっとるから、告白は印象に残るようなちゃんとした感じでしたいと思うとんちゃう?」
「…平次くんもそうだったの?和葉ちゃんに」
「は?!な、なんでそうなんねん!」
「だって前は好きだったんでしょ。和葉ちゃんのこと」
「そ、そら、そんな時期もあったけど!今は美衣だけやし!」
焦ったような平次くんの声。別に今も和葉ちゃんを好きなんじゃないかって思ってる訳じゃないけど、少し意地悪したくなった。
「本当にー?告白する為に絶景ポイントとか調べたりしてたんじゃない?」
「してへんわ!そもそも、告白しようとか思うてへんかったし!」
「そうなの?」
「そもそも、和葉の事好きやったんやってわかったんも、美衣に会うてからやし」
「え?!そうなの?!どうゆうこと?!」
「どうって…和葉とはずっと一緒におったから、大事に思うんも兄妹みたいなもんやと思うてて。けど、美衣と出会って、気になり始めて、好きになって…和葉に抱いてた気持ちと似とんなってなって…あー、あれも恋やったんかって…」
つまり私は幼馴染じゃなかったからこそ(なんなら第一印象が悪かったからこそ)平次くんはすぐに私への気持ちが恋だと気づけたのか。
「ふーん。似てるんだ。和葉ちゃんに抱いてた気持ちと、私への気持ち」
「いや、待て待て!なんか変に捉えとるやろ?!」
「別にー?私は平次くんに出会って、恋して、世界は生まれ変わるんだって思って、そんな風に思ったのは平次くんだけなのになぁ」
「おい、ずっこいぞ。お前かて普段工藤にきゃーきゃー言うとるくせに」
「工藤くんは推しだもん」
「だから何や。俺だけ見とけばええのにって、そんな風に思うたんは美衣だけやで」
きっと今、電話の向こう側で平次くんは少し頬を赤らめて照れくさそうにしているだろう。お玉で鍋の中身を混ぜながら想像する。
「なんか言えやこら。恥ずいやろが」
「会いたいね、平次くん。電話もいいけど、声聞くとやっぱり会いたくなっちゃう」
「…おん。俺も会いたいわ」
「週末そっち行ってもいい?」
「あー、今ちょっとある事件追っとってな。週末は京都行こ思うてて…」
「そっか。じゃあ駄目だね」
「…俺が言うのもあれやけど、自分ほんまに探偵への理解あるよな。和葉やったらまた事件?!毎度毎度アホちゃう?!ってキレとんで」
ここでかまたも和葉ちゃんの名前を出すなんて。服部くんは恋愛においては結構バカだと思う。
「好きだからね、探偵してる平次くん」
「そ、そうか。おおきに」
「うん。じゃあ私は工藤くんと京都行こっと」
「は?ちょお待て!なんでそうなんねん!」
「なんか依頼がきたんだって。盗まれた仏像を探してほしいって。京都なら服部とも待ち合わせしやすいし一緒に行くか?って今日誘われた」
「それを先に言わんかい!!まさか2人とちゃうやろな?!」
「知らなーい」
「おいこら!あかんぞ!工藤と2人で京都なんて、ただのデートやんけ!」
本当は蘭も一緒だ。さすがの私も、蘭抜きで工藤くんと2人京都に行くのは気が引ける。例え依頼でも。
「京都かー。清水寺に行った時以来だな。何着て行こう」
「美衣」
「…わかってるよ。蘭も一緒だってば。2人なわけないじゃん」
「ならええわ。着いたら教えてくれ。一緒に飯食お」
「会ってくれるの?私、邪魔じゃない?」
「アホ。会いたいのは俺もやって言うたやろ」
「うん…」
「ズボンで来いよ。バイクで行くし、後ろ乗っけたるわ」
「え!本当?!やった!バイクの後ろ乗るの楽しくて好き!」
「知っとる」
声のトーンや話し方で、平次くんが何を思ってるのか分かるようになってきた。でもやっぱり、今すぐ会いたくて。
「早く週末にならないかなぁ」
「薬、忘れんと持って来いよ」
「はーい。あれ以来そんな痛くなってないし大丈夫と思うけど」
「油断は大敵やで。前に死体見た時も体調悪なってたし、何がきっかけでなるかわからへんやろ」
「死体見たら普通の人は気分悪くなるよ…。平次くんと工藤くんが慣れすぎなの」
「とにかく、ちゃんといつも持っときや。ほんまは俺がいつでも傍におれたらええけど、そうもいかんからな」
その気持ちだけで充分だと頬が緩む。この世であなたの愛を手に入れるもの。それ以上の幸福はないと思いながら、小皿に味見をよそった。
謎