2 ギリギリchop
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「…工藤から返事きたわ。ホンマに幼馴染なんやな」
「はい。有難いことに」
もはや自分の夕飯なんてどうでもよくなるくらい、落ち込んでる私。服部くんは不思議そうに言う。
「何をそんな落ち込むことがあんねん。幼馴染やからって工藤の全部を見ることは不可能やろ」
「おっしゃる通り…。でも服部くんは、工藤くんの相棒であり親友だから…その初対面は是非とも生で拝みたかった…!」
「いや、今日が初対面や言うたやろ。まぁ存在は知っとったけど」
「お気になさらず…ただのオタクの願望ですので…」
「変な奴やな。…待てよ。まさかあんた、昨日工藤のことヤバそうな奴から守ったっちゅう幼馴染か?」
「はい。私が死に損ないの幼馴染です」
昨日あの場で死んでいたら、こんなに悔しい思いもしなかったな、なんて考えて出た言葉。服部くんの声が少し低くなる。
「はぁ?何を言うてんねん。死にたかったんか、お前」
「いや、死にたかったわけでは…まぁ私が死ぬことで工藤くんを守れるなら、それでいいとは思ってたけど」
「アホか。それが愛やとでも思うとんか?気色悪い。そんなもん、ただのお前のエゴや」
「…そんな直球で言われたの初めて」
「俺はお前のことなーんも思うてへんただの他人やからな。工藤が可哀想やわ。こんな幼馴染がおるなんて」
「うん。私もそう思う」
そう言うと、服部くんはビシッと私の頭に手刀を振り下ろす。あまりの痛さに涙が滲み、頭を両手で抑える。
「痛いっ!」
「腹立つわー。そう思うなら変える努力したらどうや。自分がどう生きるかなんて自分次第やろ。幸せになんのを諦めんな。卑怯やで」
「…うわぁ、なんか、目から鱗だよ。幸せになるのを諦めるのは卑怯かぁ…。服部くんって、思ったより大人なんだね」
「やかましわ。まるで自分が年上みたいに言いおって。工藤と幼馴染なら同い年やろが」
「ふふ。そうだね、ごめん」
「犯人も連行されたし、俺はもう行くで。もう引ったくられんように気つけや」
「うん。助けてくれてありがとう。あと、がっかりさせてごめんね」
服部くんはこちらを見て、大きなため息をこぼす。そして何故かがしっと私の腕を掴み歩き出す。突然のことに転けそうになりながら、前を向く。
「は、服部くん?!何をっ…」
「この後、工藤と飯食う約束してんねん。一緒に来い」
「い、いいの?!工藤くんと服部くんが一緒にご飯食べてるとこ見せてくれるの?!」
「気色悪い言い方すんな。お前も一緒に飯食うねんボケ」
「うん!食べる!ありがとう!!」
「…ほっそい腕やな。ちゃんと食うとんか?」
「食べてるよ。たまに面倒でご飯抜く時はあるけど」
「食うてへんやんけ。飯は食えよ。腹が減っとったらなんも出来んからな」
服部くんって意外と世話焼きなんだ。当たり前だけど、前世の記憶だけではわからないことも、たくさんある。
「そういえば、服部くんは剣道が強いんだよね。さっきの手刀も凄かった。習ったりするの?」
「はぁ?あれはチョップやろ」
「いやいやいや!めっちゃ痛かったよ?!チョップ?!あれが?!」
「ギリギリチョップや」
「ぎ、ギリギリchop…!!」
「なんで喜んどんねん。気色悪い」
「オタクとは気持ち悪いものなのです」
逃げないとわかったからか、服部くんが私の腕を掴んでいた手を離す。隣に並んで歩くと、身長差がよくわかる。
「なんやジロジロ見おって」
「身長高いなって。工藤くんと同じくらいかな。何センチ?」
「174」
「やっぱり!一緒だ!」
「いちいち工藤持ち出してくんなや、うざったい」
「ごめん、それは無理。私の世界は工藤くん中心に回ってるから」
「あー、そうでっか。えらい狭い世界やな」
「工藤くんは世界を股に掛ける男になるよ?」
「そうゆう意味ちゃうわボケ」
服部くんの言葉はいつもストレートだ。わざと柔らかい言い方をしたりしない。思ったままを口にしてる。
(そんでやっぱり、ビジュがいいな…。リアルだとこんな感じなんだ)
「見過ぎじゃアホ。ちょっとは遠慮せぇよ」
「かっこいいから、つい。服部くんは彼女いるの?」
「なんで教えなあかんねん」
「その感じはいないとみた。じゃあ好きな子は?可愛い幼馴染がいたりする?」
「そうやな、おるわ。やかましゅうて面倒臭いけど、あんたより何倍も可愛い幼馴染がな」
「そっかー。その可愛い幼馴染が好きなんだね」
「は?!いや、ちゃうわ!いまのおるは、幼馴染がおるっちゅう意味で!」
「照れなくてもいいのに」
「照れてへんわ!」
どうやらまだ付き合ってはないようだけど、きっと時間の問題だろう。工藤くんと蘭のように。
ほんのりと赤い服部くんの頬。大人びていても、やっぱりまだ高校生。可愛いなと思った。
ギリギリchop