19 夏の幻
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
平次くんと付き合うことになった。でも彼は明日大阪に帰ってしまう。だから今日は一緒に過ごそうと思ったのに。
「ええ?!事件の捜査?!」
「悪い、野々村。どうしても服部が必要でよ」
「すぐ終わらせたるから、そこで待っとき」
「まぁ、工藤くんがそう言うなら…待ってる」
「ちょお待て。おかしないか?あんたの彼氏は俺やろ?」
「でも推しは工藤くんだもん」
「ほーん?ちょっとゆっくり話聞こうやないか」
「服部!時間がねぇんだって!さっさとやるぞ!」
しぶしぶ本棚から私でも読めそうなやつを手に取る。何やら2人はずっと同じ言葉を練習してる。
「金は用意出来たか」
「違う。金は用意できたか」
「金は用意できたか」
「だから違うって!」
「一緒やろが!」
「違ぇよ!アクセントが!」
「あー!くそ!わからへん!」
「…ね、阿笠博士の発明品でさ、変声機とかないの?」
「はぁ?博士のガラクタにそんないいもん…いや待てよ?」
工藤くんが部屋の隅にあるダンボールをガサガサとあさって、蝶ネクタイ型変声期を取り出す。
(あ、あるんだ!あれ!コナンくんがいなくても!)
「なんやそれ」
「なんか最近やたら博士が発明品持ってくんだよ。探偵業に活かしてくれって。大体は使う機会ねぇからここに置いたままなんだけど…あ、ほら。前に皐月堂で火消す為に使ったベルト!あれも博士の発明品でさ」
「ああ!あのやたらでかいサッカーボール出すやつか!」
(それもあるんだ?!なんか感動…!)
「そうそう。けどベルトとしてつけとくには、普通にダサくてさ」
「確かにな。あのデザインは小学生までやな」
「この変声期も何故か蝶ネクタイ型だし…もっと違うデザインなら不自然じゃねぇのによ」
「高校生で日常的に蝶ネクタイつけるやつはおらんわな」
「でもこれすげぇんだよ。こうやってダイヤル回すと…ほら!声が変わる!」
「ほんまや!変わりおった!」
「これで服部の声に合わせりゃいいんだ!お手柄だぜ、野々村!!」
「やった!工藤くんに褒められた〜」
本当にあると思ってなかったから、まさかだけど。工藤くんに褒められて機嫌も直る。すかさず、平次くんが私の顔を覗き込む。
「えらい嬉しそうやなぁ?」
「推しに褒められたからね」
「そう言えばなんでも許されるわけちゃうぞ」
「なんで許してもらう必要があるの?推し活は別に平次くんの許可いらないし」
「俺かて相手がアイドルや俳優ならなんも言わんわ。あんたの推しは幼馴染やろ。そら話変わるっちゅうもんじゃ」
「変わらないよ。推しは推しだもん」
「ほなお前、俺が自分の前で和葉の事推しやから言うて可愛い可愛い言うてええんか?」
「言ってたじゃん。明るくて可愛い幼馴染って」
「せやからあれはちゃう言うたやろ!初っ端も初っ端やし!」
「あー!もう!うるせぇ!さっさと行くぞ服部!」
工藤くんが立ち上がって玄関へと向かう。不服そうな顔した平次くんが、私の手を引いてその後を追う。
「ちょっ、私はここで待ってるよ」
「あかん。他の男の家に1人でおらせられるか」
そんな風に言われたら、ついて行くしかない。少し悔しさを感じながらも大人しく靴を履いて外に出る。
「住んどるとこはわかったんか?」
「ああ。さっきお前らが痴話喧嘩してる間にかけた電話で、服部の声に反応があったこの電話番号がどこに繋がるか堤さんに調べてもらった」
「仕事早いなぁ。あんま姉ちゃん頼っとるとセコム怒るんとちゃうか」
「はは。ご名答。まさに今、電話がきたとこだ」
「ほなそっちはお前に任すで。ナビするわ」
「へいへい。あ、もしもし。松田さん、先日はどうも。いや!決してそんなつもりは!はい!」
工藤くんが松田さんと電話で話してる間に、平次くんはナビに住所を入力して、こっちやなと彼の前を歩き出す。
(これも確か…知ってるな。知ってるって事しかわからないけど)
なんて思ってると、前から来た人と肩がぶつかってよろける。
「わっと…すみません」
「ちっ。気をつけろよ」
「ちょお待て。歩きスマホして前見てなかったんはお前の方やろ。謝らんかい」
「は?この女がぼけっとしてんのが悪ぃんだろうが」
「おいこら。俺の美衣に何しとんじゃ」
「テメェ…女の前だからってカッコつけてんじゃねぇぞ!!」
ただ指を刺されただけなのに、パシッとその手を叩き落とす平次くん。男が怒って殴りかかってくる。
それをひょいと避けてどこからともなく飛んできた傘をキャッチした平次くんが、男の体に打ち込む。
「ぐあっ…!」
「アホか。好きな女の前でカッコつけんと、いつカッコつけんねん」
「こ、この…」
「次は喉ついたろか?」
「ひっ…!す、すみませんでしたぁ!」
「最初からそう言えっちゅうんじゃ。工藤、傘おおきに。助かったわ」
「壊してねぇだろうな」
「ああ。無傷や」
「あの傘は工藤くんが…ナイスアシスト!さすが工藤くん!」
「こいつ俺に喧嘩売っとるやんな?」
「ま、まぁまぁ服部。あ、ほら!目的地見えてきたぜ!」
マンションを指さし歩き出す工藤くん。ため息をこぼしながら、その後を追う平次くんの背中をちょんちょんとつつく。
「なんや」
「ありがとう。超かっこよかったよ」
「…工藤より?」
「それは難しい質問」
「あんたなぁ…」
「またぶつかったら嫌だから、つないだ手を離さないでね」
言いながら、平次くんの手を握る。彼は驚いた顔をして、それから少し頬を染めて、後で覚えとけやと呟いた。
夏の幻