2 ギリギリchop
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「にしても、やっぱあの推理オタク呪われてんじゃないの?蘭と行ったトロピカルランドでジェットコースターに乗ったら事件に遭遇して、蘭を1人取り残して行った先でやばい現場に鉢合わせて、しかもそこには美衣がいたなんて」
園子が腕を組んで呆れたように言う。蘭は苦笑いして、そうだねって言ったあと私の方を見る。
「でも本当に無事でよかったよ。美衣、新一を守るためにヤバそうな人と戦ったんでしょ?」
「いやいや、戦うなんてまさか。蘭じゃあるまいし。一発殴られそうだったのを庇っただけだよ」
「充分凄いわよ。私なら怖くて体動かないもん。それにその手首、その時に怪我したんでしょ?」
「ちょっと捻っただけ。包帯なんてしてるから大袈裟に見えるけど」
「お願いだから、もう危ないことしないでよ。美衣は私達の大事な友達なんだから」
「そうよ。今度やったらパパに頼んでボディガードつけてもらうからね」
「わー、さすがお嬢様。脅し文句が金持ち」
ジンやベルモットがいなくなっても、組織が完全になくなったわけじゃない。警察のお姉さんへ送ったメッセージは、一夜明けた今も未読のまま。
(忙しいんだろうな…)
「それで?肝心のあやつはどこ行ったの。2人を危ない目に合わせたお詫びにケーキ奢らせてやろうと思ったのに」
「なんか目暮警部に呼ばれたって、警察に行っちゃったよ」
「はー。ほんっと、あの男は。こんな乙女を2人も事件に巻き込んでおいて懲りずにまた事件?好きねー、ほんと」
「別に新一に巻き込まれた訳じゃ…ねぇ?美衣」
「私は工藤くんのあるところに事件ありだと思ってる。彼が名探偵であるが故の宿命だよ」
「そ、そうなのかな」
「あんたもあんたで相変わらずねぇ。その工藤くんオタクは。そんなに良いかしら。あの推理オタクが」
やれやれと手を広げて園子がため息をこぼす。またも苦笑いする蘭。スマホで時間を確認して、2人に謝る。
「ごめん。私お金おろしに行かないと。ケーキは2人で行って」
「そうなの?じゃあまた今度にしようよ。新一もいないし」
「そうね。みんなで食べた方が美味しいし」
「了解。じゃあ、また明日」
「うん、気をつけてね」
「また明日ねー!」
ATMの時間に間に合うように小走りで銀行へ向かう。家電を買い替えるためにいつもより多めにお金を下ろして、外へ出る。
(スーパー寄って帰らないと冷蔵庫スカスカだったよな。でも手首痛いし、お弁当買って帰る方がいいか)
なんて思ってると、後ろから来た誰かに思い切りぶつかった。
「わ!すみませ…って、鞄!!うそ!待てこのひったくりー!」
下ろしたばかりのお金を入れた鞄を盗られたことに気付き叫ぶ。走り去る犯人の前に、見覚えのある人影。近くの店の暖簾をひょいと取って、それで犯人の足元を狙い転けさせる。
(あれ…このシーン…)
「弁慶の泣き所や。あら痛いで〜」
見たことある。映画でのワンシーン。そしてこの声、シルエット、制服。間違いない。服部平次だ。
(なんでここに…?)
「ほれ。気付けや」
「あ、ありがとうございます!」
「勝手に使うてすまんな、おっちゃん。ついでに警察に連絡してもらってええか」
暖簾を片付け、騒ぎを聞きつけて出てきたお店の人に服部が言う。念の為確認した鞄の中の物は全て無事だ。
「あの、服部平次くんですよね」
「ん?なんやあんた。俺の事知っとるんか」
「はい。西の高校生探偵ですよね」
「そうや。サインしたろか?」
「え、是非!」
「え。なんやホンマにいるんか?冗談のつもりやったんやけど…まぁええわ。サインなんてあらへんから、名前書くだけでええか?」
「もちろんです。あと写真と握手もいいですか」
「お、おお。ええけど…なんや自分、俺のファンなん?」
「あ、いえ。私の不動の推しは工藤新一なので」
「は?なんやて?」
「服部くんにはまさかこんな所で会えると思ってなくてテンション上がっちゃって…」
工藤くん(コナン)と服部くんの掛け合いはすごく好きだから、是非ともここでも繋がってもらいたい。
「辞めや、辞め。サインも書かん。写真も握手もなしや」
「え!なんでですか」
「なんで工藤のファンに俺がそんなことせなあかんねん。工藤にやってもらえ」
「工藤くんのサインは既に貰ってます。写真も握手もしてもらってるし、なんなら成長まで見守らせて貰ってます」
「は?な、なんやお前…まさかストーカーか?」
「いえ。幼馴染なおかげでストーカーにはならずに済んでます」
「幼馴染やと?お前みたいな奴が?工藤の?ホンマかいな」
服部くんに疑いの眼差しを向けられる。無理もない。私はイレギュラーな存在。本当の幼馴染は蘭や園子だ。
「お前、名前は」
「野々村美衣です」
「野々村か。工藤に確認するわ」
「え…知り合いなんですか?!工藤くんと!」
「なんや急に焦りおって。やっぱり幼馴染っちゅうんは嘘か?」
「そんなことより!いつ!どこで!知り合ったの?!昨日までは知らなかったよね?!」
「け、今朝や、今朝。捜査協力でこっちの警察署行ったら、そこにおってん」
「今朝…!まじかぁ…!見たかった…!工藤くんと服部くんの初対面シーン…!」
両手で顔を抑えてしゃがみこむ私に、服部くんがドン引いてるのが気配で何となく分かった。