14 SPARKLE
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「美衣ちゃん、おかえり!遅かったね」
「ただいま。ごめんなさい。ちょっと色々あって」
松田さんに家まで送ってもらって、お姉ちゃんの顔を見て帰ると言うので一緒に玄関前まで来た。
「色々ね。萩原くんから聞いたよ、松田くん。連続殺人事件に協力したって?」
「あー、まぁ、成り行きで」
「成り行きで、じゃないのよ!なに美衣ちゃん勝手に連れ出した挙句事件に巻き込んでるわけ!?」
「お、お姉ちゃん!松田さんのせいで巻き込まれたわけじゃ」
「悪かったと思ってるよ。だからこうして怒られに来たんじゃねぇか」
「悪かったって思ってる奴にしては態度がでかいわ!しゃがめ!見下ろすな!」
「へいへい」
お姉ちゃんに言われた通り、その場にしゃがむ松田さん。その目線に合わせるようにお姉ちゃんもしゃがんだ。
「一発殴らせてくれたら許したげる」
「ちょ、お姉ちゃん!松田さんは本当に悪くなっ」
「いーよ、嬢ちゃん。それで気が済むなら好きなだけどうぞ」
「いい心がけね。目つぶって口閉じてて」
「お、お姉ちゃ…ん…」
ぐいっと松田さんの首元を持ったお姉ちゃん。言われた通り目と口をとじた彼の頬に、ちゅっとキスをした。
「……は?」
「美衣ちゃんにお願いされたからやっただけだから。勘違いしないでね」
「お姉ちゃん…!って、殴るは殴るんだ?!」
「グーパンチじゃなくてビンタなだけ優しいと思う」
「そ、そうゆう問題なの?松田さん、大丈夫ですか?」
「…嬢ちゃん!今度は口で、それも舌が絡む濃いやつしろってあいつに頼んでくれ!」
「え?!い、いやそれはちょっと」
「調子のるな!ほら、さっさと帰って!松田くん、明日仕事でしょ」
ビンタされたことは最早どうでもいいらしく、よっぽど頬にキスされたのが嬉しかったのだろう。松田さんはなんだか夢心地って感じで帰って行った。(というか、お姉ちゃんに追い出された)
「人のちゅー初めて見た。ほっぺだけど」
「…なんで急にあんなお願いしてきたの?」
「松田さんが言ってたの。ご褒美にキスの一つや二つしてもらえれば、次もまた頑張れるって」
「美衣ちゃんにそんなこと言ったの?!あいつ!」
「あ、いや違うよ?!えっと、服部くんにしてやれよって言われただけで。松田さんはきっとお姉ちゃんにしてほしいんだろうなって私が勝手にメッセージしただけ」
「待って。服部くんに?え、なに?付き合ってるの?」
「付き合ってないよ。ないけど…」
私の名前を呼ぶ服部くんの声。優しい眼差し。思い出して、顔が赤くなってるのがわかる。それを見てお姉ちゃんは興奮気味に言う。
「ちょ…詳しく!詳しく教えて!何があったの?!好きなの?!」
「す、好きなのかな…?」
「えー!やだなに可愛い!!今日は夜更かししよ!いっぱい話そ!お酒とお菓子持ってくる!」
「でもお姉ちゃん明日も仕事じゃ…」
「そんなのどうでもいいの!妹の一大事だからね!」
「一大事って。大袈裟だなぁ」
そう言いながらも、嬉しくて。お姉ちゃんと夜遅くまでお菓子を食べながら今日あったことや、服部くんへの思いを話した。
いつの間にかソファで寝落ちてしまっていたようで、目を覚ますと既にお姉ちゃんの姿はなかった。
(仕事行ったんだ。今何時だろ…)
手元にあったスマホを見ると、服部くんからメッセージがきている。一気に目が覚めて、起き上がる。
ー昨日はすまんかった
(…ん?なんの謝罪?)
謝られるようなことは何もなかったはず。首をかしげながら思ったままを送る。
ー急に名前呼んで
前に工藤から男に名前で呼ばれるの苦手な理由聞いとったのに
そういえば、そうだった。工藤くんでさえ名前で呼ばれるのはなんだか嫌だったのに。服部くんはちっとも嫌じゃなかった。
(むしろ、嬉しかった…)
それはきっと、相手が服部くんだからだ。いつからか、失うことになれて、望まなくなってしまった。だから少し、緊張する。
ー服部くんになら、名前で呼んで欲しい
思ったままを送ったけれど、すぐに返事はこなくて。シャワーを浴びようとお風呂に向かった。
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