1 運命のルーレット廻して
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齢5歳。自分は転生者だと悟った。それからは推しの幸せの為に生きてきた。他の事も自分の事もどうでもいい。ただ、推しの幸せの為に。
「だからって、ジンと工藤くんの間に入って鉄パイプを金属バットで受け止めるのは危険すぎると思う」
「だって、他にいい方法思いつかなくて。工藤くんと黒の組織の接点を経つのはなしかなって思ったから」
「わかるけど。でも驚いたなー。まさか私の他にも転生者がいたなんて」
「いやこっちの台詞です。まさかあの場に警察がいるなんて思ってもみなくてめちゃ驚きました。死ぬ覚悟だったのに。おかげで命拾いしました。ありがとうございます」
「私もまさか金属バット持った女子高校生がいるなんて思わなくてめちゃくちゃ驚いたよ。間に合って良かった」
全ての始まりである、工藤新一がトロピカルランドで黒の組織の取引現場を見る場面。つい数時間前、私達はそこで出会った。
「正直コナンくんにも会いたかったけど、推しの幸せが第一なので」
「わかるー。知ってる物語と大きく変わるってわかってても、目の前の推しの幸せを守りたいよね」
「同志ですね、お姉さん!」
「うん!私もそのために警察になったからね!」
「ですよね!やっぱりお姉さんの仕業ですね?!松田さん達警察学校組が生きてるのは!」
「声大きい!!ここ警察病院だし、誰かに聞かれたらまずいから!」
「あ、すみません…!つい興奮して…」
「わかるけどね…!未だに5人揃ってるとこ見ると泣きそうになる時あるもん」
工藤新一が殴られるのを阻止した後、私はジンによって気絶させられた。その後のことは詳しくわからないけど、黒の組織を逮捕するべく張り込んでいた警察によって助け出されたらしい。
「あの、組織はどうなったんですか?」
「壊滅したって言えたら良かったんだけど…残党はきっと沢山いるし、奴等がやってた事を暴き裁くことは出来なかった。三日三晩、公安含む警察とFBI、総力を上げて奴等と戦ったけど、どちらも犠牲は多かったし、ジンやベルモットは自害したって聞いた。ボスが誰かも分からずじまい、研究データも何一つ残ってなかった」
「犠牲…工藤くんは?!生きてますよね?!」
「もちろん!あなたと違って数時間で目を覚まして、組織を追い詰めるのに協力してくれたの」
「よかった…」
ほっと胸をなで下ろしたけど、すぐに不安が沸き上がる。ここからは、未知の世界。
「でもこれで、明美さんも死なないし哀ちゃんが哀ちゃんになることもない…。蘭が泣くこともないし…我が人生に悔いなし」
「待って。園子と京極さんは?ちゃんと出会える?」
「やべぇ。そうだ。そこは出会わせないと」
「ちょ、今後やること整理しよ。とりあえず連絡先交換しよ」
「お願いします。めちゃ心強い」
「おーい。入るぞ」
ノックが聞こえて、松田陣平が入ってくる。明るいところでちゃんと見たのは初めてで、涙腺が緩む。
「うう…」
「何泣かせてんだよ」
「私じゃない。松田だよ」
「はぁ?何でだよ。目覚めたって言ったら、話がしたいってあの探偵坊主が廊下で待ってんぞ」
「わかった。もう終わるから」
「…なぁ、あんた前にどっかで会ったことねぇか?」
ずいっと松田が顔を近付けてくる。兎にも角にもビジュがいい。見惚れてると、お姉さんが彼の服の裾を引っ張る。
「ちょっと。女子高生ナンパしないで。逮捕するわよ」
「してねぇし。なんだよ、嫉妬か?」
「違います。ほら、さっさと出て」
「へいへい」
松田が部屋を出て行くのを見届けてから、声を潜めてお姉さんが言う。
「私も言われたことあるんだよね、あれ。会ったことないかって。その時はまだ初対面だったのに」
「え。私も初対面です。じゃあもしかして、転生者だからとか?」
「あるかも。松田、野生の勘とか鋭そうだし」
「ですね。もしかしたら、私達の他にもいるかもですよね」
「うん。可能性は大いにあるね。でも会えて良かった。こんな話誰にも出来なかったから」
「私も嬉しいです。是非また会いましょう」
「もちろん。じゃあ工藤くんも待ってるみたいだし、この辺で。調書は適当に書いとく。お大事にね」
「はい。ありがとうございます」
一緒に部屋を出ると、少し先の自販機の所に萩原と工藤くんがいるのが見えた。こちらに気付き手を振る萩原。
「おはよう。気分はどうかな?眠り姫。はいこれ、あげる」
「ココアだ…ありがとうございます」
「こちらこそありがとう。勇敢なお嬢さんのおかげで悪い奴らを捕まえることが出来たよ。でももうあんな危ないことしちゃ駄目だよ」
「…はい」
「うん。いい子だね」
「こーら、女子高生を誑かさないの」
「えー。そんなつもりないのに。あ、もしかして君もよしよししてほしい?」
「違います。もう。どいつもこいつも」
呆れたように言うお姉さん。でも私にはわかる。内心では喜びの舞を踊り散らかしていることが。
「あの、それじゃあ俺達これで失礼します」
「あ、もう遅いし送って行くよ。今車を」
「いえ。歩いて帰ります。話したいことがあるので」
「そうかい?じゃあくれぐれも気をつけて」
「はい。行くぞ、野々村」
「あ、うん」
手を振る萩原とお姉さんにぺこっと頭を下げて、工藤くんの後を追った。
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