2 スーパーキッズ
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翌日。約束通り、手紙を持って毛利探偵事務所を訪ねた。
「ほう。これがその手紙ですか」
「はい。先週、ポストに入ってて」
「切手も差出人もなし、か…。心当たりは?」
「ないです」
「うーむ。手がかりなしか」
「あんた、学校以外でよく行く場所あるか?」
「え?よく行く場所…行きつけのカフェとかコンビニとか?」
「そこで仲ええ店員とかおるか?」
「会話はするけど仲良いとまでは」
「バイトはしてる?」
「あ、うん。居酒屋で」
手紙を見て唸る毛利さん、紗奈に次々質問を投げかける服部くんとコナンくん。どちらかというと、2人の方が探偵っぽい。
「この手紙の差出人は直接あんたん家のポストに入れとる。ちゅうことは、少なくとも家は知られとるってわけや」
「となると、近辺でよくお姉さんを見かけてる人、あるいは住所を把握出来るバイト先の店長が怪しいよね」
「確かにそうだな。文面からするに、こいつは堤さんに好意を持っているようだし、ストーカーかもしれねぇ」
「ストーカー…そういえば紗奈、前バイト先の人に告白されたって言ってなかった?」
「あ、うん。でも」
「それだぁ!きっとそいつが振られた逆恨みに嫌がらせしてるんですよ!そうと決まりゃ善は急げだ!バイト先はどこですか?!」
毛利さんの勢いに押されながら、紗奈がバイト先を教える。それをく聞くとぴしっとスーツを正す。
「いよぅし!待っててください!今俺が嫌がらせの犯人を捕まえて来ますから!」
「あ、でもあの…って!もういない?!」
「…なんか、イメージと違うね。眠りの小五郎」
「まぁ、今は眠ってへんからな」
「さっきから、何を言いかけてたの?」
「あ、うん。その人は、もうバイト辞めてて。なんなら彼女出来たって聞いたんだけど」
「ほなちゃうやんけ。相変わらず早とちりなおっさんやな」
「とりあえずさ、僕らもお姉さんがよく行くカフェとコンビニ、あとバイト先に行ってみない?」
「せやな。運が良ければ犯人に出くわすかもしれへんし」
服部くんとコナンくん、私と紗奈で彼女の行きつけのカフェとコンビニ、他にもよく利用するらしいスーパーにも立ち寄った。
「今んとこ怪しげな人物はおらへんな」
「ああ。誰かに見られてる感じもしねぇし…やっぱバイト先か」
「…コナンくん、キャラ変わってない?」
「てゆうか、あっちが素?昨日も事件の時はずっとあんなだった」
「マジか。あの子どもらしさは演技だとでも?天才か」
「確かに。天才子役になれる」
「おーい、何してん。早う行くで」
「あ、うん。今行く」
バイト先へ向かうと、裏口付近でなにやら人がゴソゴソと動いている。紗奈が声をかける。
「店長。お疲れ様です」
「堤さん。どうしたの。今日はシフト入ってないよね」
「どーも。あんたが店長さんか?実は今バイト探しとって、堤が紹介してくれてな。見学させてもろてもええか?」
「ああ、もちろん。色々案内してあげるといい」
「ありがとうございます」
「…妙だな」
「ああ。あの店長、怪しいで」
「え…なんで?」
いい人そうに見えたけれど、服部くん達には違ったようで。お店のバックルームに入りその理由を聞く。
「普通、バイト探しとるやつの案内をバイトに任せたりせんやろ。素性もわからへん奴に店ん中ウロウロされたくないはずや」
「つまり、あの人は知ってるんだ。俺達が堤に相談を受けてここに来たこと」
「それにや、毛利のおっちゃんもここに来たはずやのに、それを言わへのも引っかかる。普通本人に言うやろ?」
「な、なるほど…」
「え、ちょっと待って。て事は…あの手紙は店長が?」
「可能性はあるけど、決めつけるにはまだ早いよ」
バックルームを調べてると、ドアが開いて誰かが入って来た。その人に紗奈が挨拶をする。
「あ、国末さん。お疲れ様です」
「おお、紗奈ちゃん。お疲れさん。今日休みとちゃうかったっけ?」
「国末…あー!あんた!和葉と家が隣りの!」
「お守り事件のお兄さん!」
「え?ああ!あん時の!久しぶりやなぁ!元気しとったか?」
「え?なに?知り合い?」
「まぁそんなとこや。怪我はもうええんか?」
「ああ。もうすっかり治ってんで。ところで…なんでここに?」
「紗奈お姉さんに届いた変な手紙について捜査してるんだ」
「手紙?ようわからんけど、事件絡みなんやな」
関西弁のバイト先の先輩は、着替えを済ませてからふと足を止めてコナンくんの目線に合わせてしゃがみ、耳打ちする。
「なぁ、まさか紗奈ちゃんも、あの色黒くんのこと好きやったりせぇへんよな?」
「大丈夫だよ。あの2人は昨日会ったばっかりだし。元気そうでよかった」
「そうか!おおきに。今度の恋は上手くいくよう応援したってや、ボウズ」
何を話してたかは聞こえなかったけど、コナンくんの頭をわしゃわしゃと撫でて、バックルームを出ていく間際、紗奈に声をかけた。
「俺にも出来ることあったらいつでも言うてな、紗奈ちゃん」
「あ、はい。ありがとうございます」
「紗奈〜!いるじゃん、近くに!いい男!」
「確かに国末さんはいい男だけど、前にずっと好きな子がいるって言ってたんだよね」
「うーわ、まじか」
「あ、でもそれ…」
「ん?なに?コナンくん」
「あ、いや…なんでもない」
「ここはこれ以上おっても収穫なさそうやな。次行くで」
その後も、色々と店内を調べてみたけど手がかりになるようなものは出てこなかった。