1 プロローグ
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事件が解決してからは早かった。犯人と一緒に警察もいなくなり、やっと解放された私達。
「なんていうか、すごかったね」
「うん…どっと疲れた」
「おう、野々村。今日はおおきにな。おかげで無事解決出来たわ」
「え?あ、うん。服部くんって本当に探偵なんだね」
「なんや。疑っとったんか」
「そうゆう訳じゃないけど、学校とは雰囲気違ったから驚いちゃった」
「そうか?」
「僕もすごかったね。警察顔負けの推理力」
「え?!そ、そんな事ないよ!僕はただ平次兄ちゃんのお手伝いしてただけでっ」
しゃがんで少年に目線を合わせそう言うと、何故か焦ったように否定される。先程とは違う子供っぽい話し方で。
「謙遜しなくてもいいのに。小さな探偵って感じでかっこよかったよ、工藤くん」
「えっ…」
「お、お前!なんでその名前っ!」
「え?違った?服部くんが工藤って呼んでたから、この子の名前なのかと…」
「ちっ、違うよ!僕の名前は江戸川コナン!」
「せ、せやせや!聞き間違いとちゃうか?!」
「え?でも確かに…呼んでたよね?」
「うん。呼んでた。そういえば工藤って名前、なんか聞き覚えが…」
「気、気のせいだよ!!よくある名前だし!!」
「せやで!なんなら似た発音も多いしな!くどいとか、苦労とか!」
2人のこの慌てよう、明らかに怪しい。服部くんが少年を工藤って呼んでたのは間違いないのに。
「あ、思い出した。前によくニュースになってた高校生探偵の名前が工藤だった」
「あー、そういえばいたね、そんな人。もしかして、兄弟とか?それならあの推理力も納得かも」
「う、ううん!兄弟じゃないよ!」
「こいつが推理得意なんは、居候しとるんが毛利のおっちゃんの所やからや!な?!こ、コココ、コナンくん?!」
「うん!小五郎のおじさんの推理をいつも傍で見てるからなんだ!」
「毛利、小五郎…?あー!あの眠りの?!」
「へぇー。有名な探偵さんの所に住むとやっぱり推理力つくんだね」
にしても、名前呼び慣れてなさすぎではないだろうか。さっき一緒に推理してた時は相棒って感じだったのに。
「あ、ねぇ紗奈。ちょうどいいし、相談してみたら?」
「え?でも…」
「なんや。なんか困っとるんか?」
「実は、変な手紙が届いて」
「変な手紙?」
「差出人は不明で、もうすぐ会いに行くみたいな事が書かれてて」
「ねぇ、その手紙見せてくれない?」
「ごめん。今は持ってなくて」
「ほな、その手紙見に行ってええか?」
「え?今から?今からはちょっと…」
「じゃあさ、明日その手紙持って毛利探偵事務所に来れる?おじさんにも話しておくからさ」
手紙ひとつで警察に駆け込むわけにもいかず、どうするべきかと困っていたから名探偵が話を聞いてくれるなら有難い。
「いいの?ありがとう!」
「もしなんかあったらすぐ連絡せぇよ」
「え?私、服部くんの連絡先知らないけど」
「1年とき同じ委員会やったやんけ。そん時のグループトーク残ってへんのか?」
「…あー!あるある!追加していいの?」
「おう。適当にスタンプ送っといてくれ」
「うん、わかった」
「極力、1人で行動すなよ」
「あ、うん。そうする」
「じゃあまた明日ね」
服部くん達と別れ、早速昔のグループトークを開く。同じ委員会の時も、今も、特別仲良かった訳じゃないから友達追加する事はなかった。
(スタンプ送って…これでよし、と)
「ね、美衣。服部くんってイケメンだね」
「でも両片思いの幼馴染いるんだよね」
「うーわ、勝ち目ないやつ」
「コナンくんも将来絶対イケメンだよね」
「それな!メガネない方が好みだわ」
「今から行く合コンにもいい男いるといいなぁ」
「事件に巻き込まれるなんて貴重な体験した後だからいそうな気がする!」
「あはは。なにそれ!関係ある?」
きゃっきゃしながらメイクも服も髪も気合を入れて挑んだ合コンだったけど、見事にハズレで早々にお開きする羽目になった。
ヤケ食いだとコンビニでお菓子とジュースを買い込み、友達の家に帰った。
「こんな事なら毛利探偵事務所に行けば良かったよ〜」
「まぁ結果論だよね〜。てかさ、目前にイケメン見ちゃって目が肥えてた可能性ない?」
「大いにある!そんな悪い見た目じゃなかったもん!」
「だよね?!まぁ見た目はまだしもさ、食事の仕方汚すぎな?!」
「ほんとそれ!しかも事件に巻き込まれた話したらウケるって!ウケねぇよ!形だけでも心配しろ?!」
「東京の人って冷たいよね、なんか」
「いや、あいつらが駄目だっただけだから!東京で括らないで!」
そんな話をしながら、楽しく夜は老けていく。カーテンを閉めて盛り上がる私達。外からこちらを見つめている不審な人物に、気付くことはなかった。
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