1 プロローグ
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「あれ。服部くん」
東京に住んでる親戚の友達の家に泊まりで遊びに来てた夏休み。同級生の服部くんにばったり出会った。
「おー、野々村やんけ。何しとんねん。こんな所で」
「親戚の友達の家に遊びに来てて。服部くんこそ、その子、親戚?」
「ああいや、こいつは知り合いんとこのボウズで親戚とはちゃう」
「こんにちは」
「こんにちは。ちゃんと挨拶出来て偉いね、僕」
「美衣、お待たせ…って、知り合い?」
「うん。高校の同級生」
「へぇ。どうもこんにちは」
友達がそう言ってペコッと頭を下げた瞬間、悲鳴が聞こえた。それを聞いて服部くんと少年は声の方へ走って行く。
「え、な、何事?」
「わかんないけど…なんかやばそうじゃない?早く帰ろ」
「そ、そうだね。そうしよ」
「全員、動いたらあかん!警察が来るまでその場でじっとしとれ!!」
「えっ…は、服部くんの声…」
「動いたら駄目って…なんで?」
ザワつく店内。不平不満が飛び交う中、服部くんは毅然とした態度でキッパリと言う。
「殺人事件や。無理にでも帰ろうとする奴おったら、もれなく容疑者の仲間いりやで」
「さ、殺人って…!」
「人が、殺されたってこと…?」
初めての経験に、怖くて足が動かない。ドアはすぐそこにあるのに、とてつもなく遠く感じた。
しばらくして警察が到着。服部くんと少年は当然のように一緒に捜査している。
「ねぇ、あの服部くんって何者?」
「探偵やってるんだって。確か、お父さんも警察のお偉いさんで」
「へぇ…あの小学生も?」
「さぁ…あの子は知らない」
「僕知ってるよ!あのおじさんと、あそこのおばさんと、そこのお兄さんと、このお姉さん!」
「え?!わ、私?!何?!」
「失礼。この店にいる時、トイレに行きましたか?」
「あ、は、はい。帰る前に…」
「ではすみませんが、あちらでお話を伺えますか」
警察に声をかけられて不安そうな友達。無理もない。殺人事件に遭遇しただけでも、恐怖なのに。
「あの!私、彼女の連れなんです!ずっと一緒に行動してたので、一緒に行ってもいいですか?!」
「ああ、そうなんですか。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「美衣、ありがとう」
「ううん。私達何もしてないもん。堂々としとこ」
「うん。そうだね」
警察に連れられてやって来たスタッフルーム。どうやらその隣がトイレで、現場はこの奥の更衣室で起きたらしい。
(犯人はトイレに行った人の中にいるってこと…?)
「ではお1人ずつトイレに行った時間とどのくらい滞在していたかをお聞かせください」
「僕は14時前。3分くらいですが」
「わ、私は14時15分くらいかしら…大体、5分くらいだったと思うけど」
「俺はそのおばさんが出てすぐ。何分かなんて覚えてねぇけど、その後すぐダチから電話きたな」
「着信履歴、見せてもろてええか?」
「ああ、いいぜ」
「あ、私は…14時30分すぎだと思います。化粧も直してたので、10分くらいかと」
「そのお姉さんがトイレから出てきたの、僕見てたよ。14時40分くらいで、その後すぐ悲鳴が聞こえたんだ」
当然のように、少年の証言に耳を傾ける警察。もしかしてものすごい知能を持った小学生なのだろうか。
「それぞれ、証言を証明出来る人は?」
「さぁ…1人で来てますので」
「私も1人だけど、店員さんの誰かが見てるんじゃないの?」
「俺も1人だ。けど、前の席にずっと同じやつ座ってたからそいつに聞けばわかんじゃね?」
「あ、私はこの子と一緒に来てて…」
「はい!トイレ以外はずっと一緒にいました!」
「まぁけど、仲ええ奴の証言は信憑性薄いからな。念の為みんな店ん中の人らが見てないか確認した方がええんちゃう」
「そうだな。高木くん」
「はい!確認します!」
これまた当然のように服部くんの言葉に警察が動く。探偵をやってるって知ってはいたけど、学校とは全然雰囲気が違う。
「…野々村!お前それ!」
「え?!な、なに?!」
「パーカーの紐!なんでその結び方してん?!」
「ひ、紐?!あ、リボン結びのこと?なんでって…可愛くない?」
「女は、その結び方ようやるんか?」
「うーん、1人でやるよりは、匂わせでやる方が多いかも」
「匂わせやと?」
「うん。彼氏と自分のをリボン結びにして、遠回しに付き合ってるアピールするの」
「…なるほどな。おい、工藤」
「ああ。間違いない。犯人はあの人だ」
急に質問されたかと思うと、何やら解決の糸口になったようで。服部くんと娼年は得意気に笑っていた。
そしてその数分後、服部くんと少年の見事な推理により事件は無事に解決したのだった。
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