10 新たな環境
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探偵事務所に就職して2週間。早速ピンチが訪れた。服部くんもコナンくんも調査に出かけてる昼下がり。
「ど、どうぞ」
「ありがとう」
訪ねてきたのはどえらい美人で大人っぽい中学生の女の子。どうやら2人の知り合いらしく、帰って来るのを待つと言われたけれど。
(いや気まずいって!!初対面の中学生と2人きりは!)
「あなた、中学生にコーヒー出すのね」
「え?あ、すみません。苦手でした?砂糖とミルクいりますか?それか別の…」
「いいえ。好きよ。変わってると思っただけ」
「コーヒーの香りってリラックス効果があるらしいんです。探偵事務所に来られる方って思い悩んでる方が多いと思うから、少しでも話しやすくなればと思って…みなさんにお出しするようにしてて。でも確かに、コーヒー苦手な方もいらっしゃいますもんね。気をつけます」
「とてもいい心がけだと思うわ。リラックス効果を目的とするならアールグレイとほうじ茶の3択あれば困りはしないんじゃない?」
「なるほど!確かにその3種類あればどれかはお飲み頂けますね!アドバイスありがとうございます!」
早速アールグレイとほうじ茶を事務所に置いてもいいか、服部くんに相談しようとメモ用紙にお茶の相談と記す。
「ところで、さっきから気になっているんだけど、どうして敬語なの?」
「え?」
「私は依頼人でもないし中学生なのに」
「確かに依頼人ではないですけど、私は初対面ですし、何歳でも見合った礼儀は必要かと」
「そう…。自己紹介がまだだったわね。私の名前は、灰原哀。よろしくね」
「野々村美衣です。よろしくお願いします」
「あなたのこと、気に入ったわ。お友達になってくれるかしら」
「え…うん!喜んで!」
その言葉が、自然体でいいと言ってくれてるのだとわかって差し出された手を握る。ミステリアスな子かと思ったけど、優しくていい子だ。
「ところで、あなたが身につけてるその腕時計。フサエブランドのものよね?」
「そう!初任給で買ったものなの!もしかして、灰原さんもフサエブランド好き?」
「哀でいいわよ。ええ、好きなの」
「じゃあ哀ちゃん!可愛いよね!次はバック狙ってるんだ」
「いいじゃない。やっぱりあれかしら?新作の仕事用にも便利な大きめのトート?」
「そー!すごい!まさにそれだよ!」
「素敵よね。買ったら見せてちょうだい」
「もちろん!」
同じブランド好きとわかって盛り上がる私達。コーヒーが空っぽになった頃、服部くん達が帰ってきた。
「戻ったで〜」
「灰原。来てたのか」
「ええ。お邪魔してるわ」
「おかえりなさい。2人もコーヒー飲む?」
「おお。もらうわ」
「サンキュー、野々村。オメー、今日来る予定だったっけか?」
「いいえ。新しい事務員さんがどんな人なのか見に来ただけよ」
「え?!そうだったの?!」
「ごめんなさいね。警戒されたくなかったから江戸川くん達に用があるって嘘ついちゃって」
「ぜーんぜん!また来てね!あ、連絡先交換しよ!」
「ええ。そうしましょう」
哀ちゃんと連絡先を交換してると、ポカンとした顔でこちらを見てる服部くんとコナンくん。
「どうしたの2人共。鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して」
「いや…初対面、やんな?」
「そうだよ。哀ちゃんもフサエブランド好きですっかり意気投合しちゃって!」
「あ、哀ちゃん…」
「何か言いたげね?探偵さん」
「いや…オメー、歩美達以外に友達つくれんだと思って…」
「喧嘩売ってるの?」
「そ、そうじゃねぇけどよ!学校でも基本1人じゃねぇか!だから自分から友達つくれねぇ奴なのかと!」
「つくれないんじゃなくて、つくらないのよ!失礼ね!」
コナンくんと哀ちゃんは同じ中学校みたいだ。コーヒーをいれながら2人が言い合ってるのを微笑ましく思う。
「はい、服部くん。コーヒー」
「おおきに」
「あとこれ、留守中にかかってきた電話の依頼内容と、メールで来てた依頼。緊急性高そうなやつ上にしてあるから」
「お、気が利くやんけ」
「ありがと。コナンくん、コーヒーここ置くね」
「あ、おう」
「あと、今朝読み終わってた新聞、事件の種類別にファイリングしたけど良かった?」
「え、マジで?サンキュー!助かる!」
「よかった。今日のタスクは終わったから、やる事あったら言ってね」
私が就職するからと、服部くんが用意してくれた事務員用のデスク。これまたアンティーク調で可愛くてお気に入り。
「いい子捕まえたじゃない」
「せやろ?おかげで推理だけに集中出来て文句なしや」
「気難しい科学者も手懐けたみてぇだしな」
「何か言った?」
「いえ、なんでも」
デスクの上の電話が鳴る。メモ用紙を準備して、受話器を取った。