19 愛は世界を救う
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
手と手が重なって、全部の意識がそこに集まる。すりっと服部の指が手の甲を撫でるように動く。
「し、心臓爆発しそう…」
「こんなもんで爆発するか。昨日はもっと触ったやろ。手、繋ご」
「は、はい…」
「ほんま、一気に大人しゅうなるやん」
「な、慣れてなくて、ごめん…」
「謝らんでええ。悪い気せんし」
これがいわゆる恋人繋ぎってやつ。服部の手は大きくてゴツゴツしてる。男の人の手だ。
「…勉強、しないの?」
「してええで。手は離さへんけど」
「じゃあ無理です」
「俺も。好きな奴の部屋で2人きりなのに触らずにおるとか無理や」
「そ、そっか…」
沈黙が流れるけど、気まずくはない。恥ずかしくも嬉しい、甘い空気。一緒にいるだけで嬉しいってこうゆう事なんだろう。
「…今度は私、寂しくて泣くかも。服部が大阪に帰っちゃったら」
「なんや。前は案外平気言うてたのにか?」
「うん。だってあの時はまだ、こんな風に触れ合ったことなかったから…知らなかった。好きな人に触れるのってこんな幸せなんだね」
「…はぁ〜」
「え。クソデカため息。なんか変なこと言った?」
「ちゃう。あんま可愛いこと言うなや。もっと触りたなる」
服部の頬が赤い。いつもより雄み増した顔。繋がれた手に力がこめられて、恥ずかしくて死にそうなのに、体が動かない。目が逸らせない。
「…そんな顔しとるとキスすんで」
「きっ…は、服部は…したことあるの…?」
「…あかん、わからん。これなんて答えるんが正解なんや…!」
「え、いや普通に真実を教えてくれれば…」
「ホンマか?じゃあしたくないとか言うなよ?」
「え。そんなに沢山してるの?」
「してへん!和葉とだけや!」
「和葉…文化祭で会ったポニテの子?」
「あ、ああ。そうや。付き合っとった時にな」
「ふーん」
和葉とだけ。その言葉になんだか妙にイラつく。過去なんてどうでもいいと思ってるのは変わらないのに。
「でもほら、あいつとはもう別れとるし、昔の話やし!気にすることちゃうで!」
「今は?」
「え?」
「今もしたいと思う?和葉ちゃんとキス」
「思うわけないやろ!俺が好きなんはお前やぞ?!」
「じゃあ私とはしたい?」
「そら、もちろん…。キスも、それ以上もしたいに決まっとる。言うとくけどな!俺が探偵やなかったらとっくに押し倒されてんで」
「マジか。探偵すごい」
「せやろ。常に冷静でおらなあかんからな」
常に冷静。とてもじゃないけど服部を見て冷静だなと思ったことは無い。賢いとは思ってるけど。
「冷静ってなんだっけ…」
「喧嘩売っとんかワレ」
「だってイメージなさすぎて。初対面で睨まれたし」
「まだ言うとんのかそれ」
「一生言うつもり」
「ほーん。そら俺と一生一緒におるつもりっちゅうことか?」
「え、うん。駄目?」
「はぁ?なんやねん、ホンマ。そうゆうとこやぞ」
「急なディス」
繋いでた手を引き寄せられて、バランスを崩す。そのまま服部の胸に頬がくっついて、彼の手が私の背中にまわされる。
「駄目なわけあるか。俺もそのつもりや」
「し、心臓早いね…?」
「聞くなアホ」
「それは無理がある」
「…これは割と平気そうやんけ」
「あ、うん。顔見えないからかも。ドキドキはしてるけど、なんか落ち着く」
「なんかちょっと腹立つ」
「え?何故に」
「こっち見てみ」
「わぷっ」
繋いでた手を離して、私の頬を掴み上を向かせる服部。至近距離で目が合って、思考回路がショートする。
「耳まで真っ赤。タコみたいやぞ」
「うあ…きょ、距離の暴力…」
「なんやそれ」
「眩しさで目が潰れる…」
「ほんなら、閉じたらどうや?」
「はっ。確かに」
言われるがままぎゅっと目を閉じた。すると、唇に何かが触れた感覚がしたなと思いながらも心臓の音がうるさすぎて、イマイチ分からない。
(気の所為かな…)
なんて思ってると再び何かが触れて、気の所為ではないと分かる。これはもしかしなくても、キスされている。
(え、ちょっ、どうしたらいいの。何が正解?心臓破裂しそうなんだけど。ていうか息!どこでするの?!しちゃ駄目なの?!)
色々と考えながらもずっと目を閉じてる私に、服部は何度もキスをしている。このままでは窒息死すると思った時、頬をすりっと撫でながら彼が言う。
「口開け」
呼吸のタイミングをくれたのだと思ってバカ正直に口を開けば、口内に何かが入ってくる。思わず後ずさりしそうになったけど、腰を抱かれててそれは出来なかった。
(な、なになになに?!舌?!これ舌?!何が起きてるの?!さっきよりも苦しい、のに…なんか、気持ちいいのなに?なにこれ。服部、今どんな顔してるんだろ…)
そろっと薄目をあければ、それに気付いた服部が愛おしげに目を細めて微笑んだ。大きな矢で心臓を撃ち抜かれたのがわかった。
愛は世界を救う