17 ロマンティックナイト
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「美衣姉ちゃん、文化祭楽しかった?」
「最高だった」
カウンターでコーヒーを飲むコナンくんにぐっと親指を立てて見せる。あれから1週間くらい経ったけど。
「まだ余韻に浸ってる。見てこれ。撮ってもらったの」
「わ、平次兄ちゃんとのツーショットだ。待ち受けにしてるの?」
「うん。服部とお揃い。いいでしょ」
「えっと、付き合ったの?」
「まさか。私の目標は服部の親友だから。ちなみに、コナンくんはライバルだよ」
「え?!そこは彼女じゃないの?」
「無理無理。荷が重い」
「荷が重いって…じゃあ、平次兄ちゃんのこと好きは好きなんだ?」
「うん。好き。内緒ね」
口元に人差し指を添えてそう言うと、コナンくんは複雑そうな顔で笑う。ドアが開いて、お姉が入ってくる。
「あ、コナンくん!いらっしゃい」
「こんにちは。紗奈お姉さん」
「珍しいね。こんな時間に来てるの」
「うん。お言葉に甘えて閉店時間過ぎてるのに来ちゃった。ごめんなさい」
「いいよ、そんなの気にしなくて。でも大丈夫?外暗くなってるけど、家まで送ろうか?」
「ううん。大丈夫だよ。今日は、お別れを言いに来たんだ。美衣姉ちゃんと、紗奈お姉さんに」
「え…」
「お別れって…何?転校でもするの?」
「うん。外国に行くんだ。すごく遠いところ」
国の名前なんて、コナンくんならきっとちゃんとわかるだろう。言えないのか、言わないのか、わからないけど。
「そっか…寂しいけど、教えに来てくれてありがとう。きっとまたいつか、遊びに来てね」
「うん。ありがとう、紗奈お姉さん」
「写真撮ろうよ、コナンくん。君はうちの神様だから、店の神棚に飾らせて」
「神棚なんてあったっけ?」
「ないけど、多分その辺」
「適当だなぁ。うん、撮ろう。写真」
お姉と私とコナンくんで写真を撮る。何故かはわからないけど、きっともうこの子に会うことはないと、そう思った。
「あの夜、黒羽を拾ってくれたのが2人で本当によかったよ。ありがとう」
「…コナンくん?」
「じゃあ、帰るね!バイバイ!」
「あ…バイバイ!元気でねー!」
手を振りお店を出て行くコナンくん。空になったコーヒーカップ。そのソーサーの横に、ちゃんとお代がぴったり置いてある。
「なんか、さっき少し雰囲気違ったね。コナンくん。大人みたいだった」
「ずっと大人みたいだったよ、コナンくんは」
「それは確かにそうだけど。転校かぁ。せっかく仲良くなれたのに寂しいな」
「うん。でも、嬉しそうだったよ、コナンくん」
「そうね。きっと楽しみなのね。写真飾る額縁、買わなくちゃね」
「だね。めっちゃ豪華なやつにしよう。神との写真だから」
「ふふ。賛成」
その夜、服部にメッセージを送った。コナンくんが転校するのを伝えにお店に来てくれたと。既読になって、すぐ電話がかかってくる。
「もしもし」
「なんや。寂しゅうて泣いとるんちゃうか思ったのに」
「泣かないよ。服部じゃあるまいし」
「はぁ?なんで俺が泣かなあかんねん」
「だって服部、コナンくん大好きじゃん」
「まぁ、せやな。けど別に、永遠の別れとちゃうし」
「そうだね。でも、やっぱりちょっと残念」
「常連が1人減るからか?」
「ううん。友達が遠くに行っちゃうから。あと、コナンくんが遠くに行ったら、服部は大阪で探偵になるんでしょ?だから」
前にそんなことを言っていた。コナンくんが遠くに行くなら迷うことなんてないのだと。少しの沈黙。
「…そら、あれか。俺に東京で探偵やって欲しかったっちゅう意味か?」
「うん。そしたら、前みたいに会えるかなって。電話も嬉しいけど、やっぱり直接会って話したいや。服部とは」
「そっち行くわ。今から」
「…え?」
「2時間くらいで着くと思うから、着いたらまた連絡する。ほな」
「え?ちょっ、服部?!」
切れる電話。本気だろうか。時計を見れば時刻は既に22時を過ぎている。2時間ってことは、車だろうか。
(服部って車持ってるんだ…え、免許とれるんだっけ?って、違う!そんなことより、来るの?今から?本当に?)
「美衣、私もう寝るね。おやすみ」
「お姉…」
「どうかした?なんか動揺してるみたいだけど」
「ううん。なんでもない。おやすみ」
「そう?じゃあ部屋行くね」
とりあえず、携帯片手にリビングに向かう。なんで急に今から行くなんて言ったんだろう。寂しがってるように聞こえただろうか。
(や、実際寂しくはあるけど、そんな今すぐ来てもらうほどじゃ…。2時間…長いな。なんか作ろう)
落ち着かなくてキッチンに立つ。2時間後に会える。服部に。そう思うと胸がきゅっとなる。
(嬉しい…たこ焼きにしよう)
美味いって笑う服部の顔を思い浮かべながら、たこ焼き器に手を伸ばした。