16 イベントの醍醐味
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楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、気付けばもう夕方。生徒以外の客はそろそろ帰らなければならないらしい。
「楽しかった。誘ってくれてありがとう、服部」
「おう。俺も楽しかったで」
「あの、服部先輩!彼女さんといるときにすみません!一緒に写真撮ってもらえませんか?!」
声をかけてきたのはどうやら他校の女子生徒。顔を赤くして震えた手。服部のこと、好きなんだろうか。
「ああ、かまへんで」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃあ私撮るよ。スマホ貸して」
「え?!あ、ありがとうございます!!彼女さん優しい…!」
彼女ではないのだけど、服部は特に何も言わないし私も何も言わずにシャッターを押した。
「はい」
「ありがとうございます!あの、お二人も撮りましょうか?」
「え?いや私達は」
「ほんなら頼むわ」
「はい!任せてください!」
断ろうとしたけど服部が先にスマホを渡してしまい、並んで写真を撮る。女子生徒は何度もお礼を言って立ち去った。
「モテるね、服部」
「大阪じゃそこそこ有名や言うたやろ。お、よう撮れてんで。ほら見てみ」
「わ、ほんと上手」
「送ったるから寂しくなったらこれ見て元気だしや」
「私がめっちゃ寂しがってるみたいじゃん」
「ちゃうんか?」
「思ったより平気。服部のくれたジャスミンと電話のおかげで」
「…もうとっくに枯れたやろ」
「うん。だからドライフラワーにして飾ってある。花瓶には造花のジャスミンいれて」
私を見る彼の瞳が、揺れる。思ったより寂しくなかった。ジャスミンと電話が元気をくれる。それは本当だけど。
「…でもやっぱり、会えるのが1番嬉しいや」
「美衣…」
「この写真待ち受けにしようかな」
「…彼氏とのツーショットはええんか?」
「あー、ヤイバーももちろん大好きだけど、服部に会いたい時にヤイバー見ても紛れないんだよね、寂しさは。ヤイバーは服部じゃないし」
「なんやねん、自分…。天然でそれとか恐ろしい奴やな」
「え?何が?」
「なんでもあらへん。待ち受けにするわ、俺も」
「え、マジか。…服部も私に会いたくなるの?」
「当たり前じゃボケ。ボランティアで一緒に文化祭まわるほど優しゅうないわ」
なんだろう、この気持ちは。今まで感じたことのないような、暖かくてふわふわする。心臓のリズムが、心地いい。
「ね、じゃあ私も服部になんかあげたい」
「は?」
「私のジャスミンみたいなやつ。でも今からお店行ったら新幹線間に合わないか…」
「別にいらん。会いたなったら、会いに行くし」
「わあ。男らしい」
「その代わり、1個だけ約束してくれるか」
「ん?なに?」
「もう他の男から花もらわんとってくれ」
「…はて。男に花をもらった記憶は服部くらいしかないんだけど」
「どアホ。黒羽から貰っとったやんけ。瓶に刺さっとったあの薔薇、あいつが手品で使うやつやろ」
そう言われ、思い出す。黒羽にマジックを見せてもらった時出した薔薇をもらってカウンター上の瓶に刺してたこと。
「あー!!そう!そうだった!すっかり忘れてた!」
「そもそも薔薇出すマジックってなんやねん。キザやな。鳩出しとけっちゅうねん」
「…もしかして服部、それに対抗して花くれたの?」
「べ、別に対抗したわけとちゃうわ!ただあんたには薔薇よりもっと違う花が似合うんちゃうか思うてやな!」
「確かに。薔薇なら私よりお姉のが似合うよね絶対」
「ま、まぁ、そうゆうこっちゃ」
「…ね、服部。薔薇の花言葉ってわかる?」
「ああ、薔薇は色によってちゃうねんけど、青は夢が叶うとか奇跡って意味や」
元々、実現不可能といわれていた色を見事成功させた事が由来だとかなんとか、聞いてもないことまで話し出す服部。
「ねぇ、じゃあジャスミンの花言葉は?」
「…知らん」
「絶対嘘じゃん」
「知らんもんは知らん」
「でも服部は、青い薔薇よりジャスミンのが私に合うと思ってるんだよね?」
「…やったらなんや」
「ん?嬉しいなって」
「……誰に聞いたねん。花言葉」
「コナンくん」
「やっぱアイツか…余計な事を」
ブツブツ文句を言ってる服部に、小指を差し出す。不思議そうに私をみる彼。
「約束する。もう他の男からは花もらわない」
「…おー。そうしてくれ」
指切りげんまんだと理解した服部の小指が、私のそれと絡む。意識が全部、小指の先に傾けられる。
ドキドキして、落ち着かない。でも何故か、離したくないと思った。
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