16 イベントの醍醐味
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「やあっと自由時間や」
「お疲れフランケンシュタイン」
人間の姿に戻った服部は、当たり前だけど制服姿で。初めて見るその姿はなんだかとても新鮮だ。
「結局あの後ずっと待機スペースおったな、自分」
「意外と居心地良くて」
「ホンマは怖くて動けんかったんとちゃうか?腰抜かすほどビビったみたいやし?」
「怖いに決まってるだろ、お化け屋敷だぞ」
「なんでキレ気味やねん。怖いの苦手ならなんで入ったねん。しかも1人で」
「え?だって服部のクラスだし。おばけやってるって言ってたから」
「ほー。そんなに俺に会いたかってんか?」
「会いたかったっていうか…招待してくれたんだから普通行くでしょ」
「あー、はいはい。せやな」
教室前で話してる私達。ちらちら視線を感じるのは、みんな服部を見てるんだろう。本当にモテるようだ。
「ほな、次はどないしよか。行きたいとこあるか?」
「え?」
「ないんやったら俺のオススメの」
「ちょ、待った。服部。もしかして一緒にまわるの?」
「は?当たり前やんけ。俺が誘ったんやから」
「そりゃありがたいけど、いいよ?私に気遣わなくても。友達とか他に服部とまわりたい子も沢山いるだろうし」
「アホ。俺がお前とまわりたい思うたから誘ってんねん。文句あるかボケ」
「…1回のセリフにアホとボケは詰め込みすぎかと」
「やかましわ!ほらさっさと行くで」
歩き出す服部。まさか本当に一緒にまわってくれるつもりだったなんて。嬉しくてつい頬が緩む。
「はい!先生!私イカ焼き食べたいです!」
「お、ええな。ほなそっから行こか」
「大阪のイカ焼きってクレープみたいな生地に包んであるんでしょ?」
「せや。よう知っとんな」
「お、服部ー!その子誰やねん!彼女か?!」
「やかましわアホ!」
「服部くーん!うちらのクラス寄ったってやー!」
「おー!後で行くわ」
「よっ!服部!モテ男!」
「変なノリすな」
ぺしっとパンフレットで頭を叩かれる。どこもかしこも賑やかで楽しそうで。文化祭ってなんて素敵な行事なんだろう。
「うん、美味しい」
「文化祭の出し物にしちゃいけとるやろ」
「うん。普通に美味しい。帰ったら作ってみよ」
「ちょお待て。そんなん食いたなるやろが」
「ご来店お待ちしております」
「店のメニューに出す気あらへんくせに」
「そっか。じゃあ…またの機会に?」
「そこは今度作るねとかでええやろ」
「なるほど。今度作るね」
「おう。楽しみにしとくわ」
その今度って、いつなんだろう。モヤッとしたものを感じて、今を楽しもうと疑問を振り払う。
「服部!この映え写真館ってやつ行きたい!あと体育館でやってるバンド見たい!」
「とりあえずその両手に持っとる食いもん食ってからや」
「はい。楽しいね、文化祭」
「そら呼んだかいあるってもんや」
「あ、平次」
「おー、和葉」
「さっき剣道部の人らが探しとったで」
「ほんまか。連絡しとくわ」
「うん。ほな」
声をかけてきた女の子は私にペコッと頭を下げる。同じように頭を下げてその背中を見つめる。
「元カノでしょ、今の」
「ようわかったな」
「私への視線が他のみんなと違ったから。可愛いね、元カノ」
「…なんや、気になるんか」
「いや特には」
「あ、そーですか」
「でも、服部が今も可愛いと思ってるのかはちょっと気になる」
「な、なんやねんそれ」
なんやと言われても、それが本音だ。頭に浮かぶジャスミンの花。あの子の方が似合うんじゃないかと。
「…一般的な評価として、まぁ可愛い方ではあるとは思うとるけど別に特別可愛ええとは思うてへん」
「あ、教えてくれんだ。優しい」
「それで言うなら…美衣の方が、可愛ええと思うとる」
「え…」
ほんのり赤く染まってる彼の頬。恥ずかしそうに逸らされた視線。自分の体温が上がるのが、わかる。
「ありがとう…で、合ってる?」
「合うとるんちゃう」
「…怒ってる?」
「なんでやねん。怒ってへんわ」
「だってこっち見ないから」
「恥ずかしいんじゃボケ!わかるや、ろ…」
「な、なに?私の顔になにかついてる?」
「や…そんな顔しとるとは思わへんかったから」
「え。何どんな顔?」
「可愛ええ顔」
「…からかってる?」
「ほんまにそう思うとる」
どんな顔なのかは結局わからなかったけど、そう言って笑う服部の顔はなんだか嬉しそうで、胸がきゅっとした。