15 文化祭
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「ここが服部くんの通ってる高校か〜。すごい賑わってるね」
「文化祭ですからね。一般の方も入れるところはどこもこんな感じですよ」
はるばる大阪までやって来た私達は、服部の通う改方学園の賑わいに圧倒される。大きく文化祭と書かれた看板の前で、黒羽に記念にお姉と写真を撮ってもらった。
「服部に送ろ。参上!っと」
「あいつのクラスお化け屋敷だったよな?えっと…あ、すみません。パンフレット1枚いいですか」
「はい、どうぞ!」
黒羽がパンフレットをもらって広げながら見せてくれる。学校のどこに何があるか書かれてるそれは遊園地みたいでワクワクする。
「3年1組か。じゃあまずそこに」
「わぁ!クレープにチュリトスにチョコバナナ!美味しそう!本当にお祭りなのね!」
「…お姉は甘いものをご所望だ黒羽」
「みてぇだな。じゃあ服部んとこには軽く腹ごしらえしてから行くか」
「あ、気にしないで!でも私お化け屋敷苦手で入れないけど…」
「じゃあお姉は黒羽と甘いもの食べに行くといい。服部には私が挨拶しとく」
「え?でも…」
「紗奈さん、ここはお言葉に甘えましょう。あの2人も、2人の方がいいかもですし」
「そ、そうですね!じゃあ、美衣!また後でね!」
いい事をしたと2人の背中を見送ってから、はたと気付く。自分が方向音痴なことをすっかり忘れてた。
(初めての場所で迷わない自信ない。まぁ、なるようになるか)
とりあえずさっき黒羽が持ってたパンフレットの記憶を頼りに服部のお化け屋敷を目指し歩き出すけど。
(うーむ。一向に見つからない)
「あ、おった!あんたやろ!野々村美衣さん!」
「いかにも私が野々村美衣ですが、どちら様ですか?」
「俺、服部のクラスメイトでな。客引き担当やねんけど、あんたの事探してくれ頼まれてん!ほら、この写真の子、あんたやろ?」
「それは私がさっき服部に送った写真。助かりました。めっちゃ迷子で」
「はは。服部も言うてたわ!めっちゃ方向音痴やからきっと迷うてるて。案内すんで!」
「ありがとうございます」
3-1お化け屋敷って書かれた看板を持ちながら校内中を歩くのが客引きの仕事らしく、服部はそのついでに私探しを頼んだらしい。
「あいつ今お化けやっとるから抜けられへんくてさ」
「頭にネジのオバケですね」
「そうそう!フランケンシュタインな!ちゅうか、あんたもしや服部の彼女なん?」
「いえ。友達です」
「なんや。ちゃうんか。あいつが女呼んだ言うからついに新しい彼女出来た思うたのに…あいつモテるくせに彼女つくらへんから」
「服部ってモテるんですか」
「ムカつく程にな。遠山と別れてからはそらもー、すごいで。今日かてあいつと過ごしたい子めっちゃおるんちゃう?」
「なんでですか?」
「なんでって、そら文化祭なんて恋人作るんに絶好の日やからやろ!脈ないやつと一緒にまわるアホおらんしな」
クラスメイトは、教室の目の前までつくと、ほな楽しんでと大きく手を振りまたどこかへ歩き出して行った。
(ここが服部のお化け屋敷…中何も見えない)
「お姉さん、入ってかへん?なかなかおもろいで」
「あ、はい。入ります」
「おおきに!1名様ご案内でーす!」
ドアが開かれ中に入ると、暗闇の中、明るさに照らされた所々に血塗れの人の体の一部が置かれている。
(え、怖。なに?でも今のとこ特におばけとか出てこない…)
「ねぇ、知ってる?フランケンシュタインってさ、人の死体を繋ぎ合わせて出来たオバケなんだって」
「だからあんなツギハギだらけなの?」
「そう。勝手に作られたのにその醜い姿のせいで酷い扱いをうけたから、人間をとっても恨んでるんだって」
どこからか聞こえてきた、話し声。なるほど、今までのあの体の一部はフランケンシュタインの一部だということか。なんて思ってると、巨大な影が見えてドキッとする。
(あ、フランケンシュタイン、のこれは作りもの…だよね?うん)
その前を通り過ぎようとすると、また声がした。
「よこせ…」
「え…」
「お前の体をよこせぇー!」
「ぎゃああぁああ!!」
後ろから斧を持ったフランケンシュタインが走ってきて恐怖に絶叫する私は目をつぶってその場にしゃがみ込む。
「…いや、しゃがむなや。逃げんかい」
「あいたっ。お、斧で頭っ…!」
「アホ。ダンボールや」
「…フレンドリーフランケンシュタイン」
「何を言うとんねん。俺や俺。服部や」
「あ…服部か。なんだ、よかった…」
「ほれ、次の客来るから早う行け」
「…腰ぬけた」
「はぁ?!ったく、世話焼けるの〜」
フランケンシュタイン(服部)は私をひょいと抱えて黒い布の向こう側に連れて行ってくれる。飲み物とスマホだけが置かれた省スペース。
「俺の待機場所や。腰よおなるまでしばらくそこおれ。静かにしとけよ」
「う、うん。わかった」
姿は完全にフランケンシュタインだけど、間違いなく服部の声。触れた手も、とても暖かった。
(…沈まれ、心臓)
このドキドキが怖さからのものなのか、違うものなのか。わからないけど、しばらくおさまりそうになかった。
文化祭