12 初デート
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お盆にのせられたたくさんの小鉢。それにはそれぞれ違う料理が盛り付けられていて。珍しい組み合わせのものもあって、つい夢中で箸を進める。
(わ、この梅和えいいな。こっちのナムルも好き。魚とお肉どっちもあるの最高すぎる)
一通り食べてみて、頭であれこれ考えてると、ふと視線を感じて前を見れば、服部と目が合う。
「ご、ごめん!私つい夢中で食べちゃって!」
「ん?なんで謝んねん」
「や、だって一緒に来てるのに黙々と食べるなんて…」
「別にかまへん。俺が事件に夢中になんのと一緒やろ。どれが1番美味かった?」
「あ…えっと、この梅和えかな」
「ああ、それな。確かに美味かったわ」
「服部の1番は角煮でしょ」
「よう分かったな」
「うん。服部、こうゆう系の味付けの時、特に食いつき良いから」
「よう見とるやん」
「超常連さまだからね」
でもそれも、あと4日で終わる。服部は大阪に帰ってしまう。別に一生の別れでもないのに。
「美衣?どないしてん」
「夏休み、終わるなって」
「ああ、せやな。なんや。俺に会えへん事なんのが寂しいんか?」
「うん。寂しい」
「えっ…」
「服部だけじゃない。黒羽もコナンくんも、夏休み終わったら今までみたいに来れなくなっちゃうじゃん」
「…あー、そうやな」
「え。また怒った。今のどこに怒りスイッチが」
「怒ってへんわボケ」
彼らに出会う前の生活に戻るだけ。でも、もう知ってしまったから。友達といる心地良さを。それがなくなるのは、寂しい。
「会いたくなったらそう言ったらええやんけ。友達なんやから」
「…そっか。言っていいんだ」
「じゃんじゃん言うたれ。学校帰りでもすっ飛んで来るで、あいつ等」
「服部は?」
「は?」
「服部に会いたくなっても、言っていい?」
「お、おお…そら、もちろん…」
「よかった。会える会えないは別にして、それを言えるか言えないかで大分変わるだろうし」
「…会いに来たるわ。あんたが俺に会いたい言うなら」
「え、ほんと?服部優し。ありがとう」
なんか何とも言えない顔をしてる服部。どうゆう感情なのかわからないけど、怒ってるわけではないようだし、良しとしよう。
「あ、そうだ。会えなかった数日間でわからないとこたまってて、テキスト持ってきたんだ」
「…さよけ」
「くそデカため息。駄目だった?」
「や、そもそも数日会えへんかったんは俺のせいやしな。どこや、わからんの」
「えっとね、数学はここと、ここと」
「ちょお待て。見にくいし料理あるし、隣行くわ」
「あ、うん」
向かい側に座っていた服部が隣に座る。近づいた距離。今までも、カウンターで同じくらいの距離で座ってたのに。
(な、なんか、緊張するかも)
「どこやって?」
「ここと、ここ。あと、これ」
「ああ、自分これ系苦手よな。ええか?まずはこの公式にあてはめて」
テキストを見ながら説明してくれる服部。顔が、声が近い。おかしい。今までと違う。心臓が落ち着かない。
「ほんでそれを…って、聞いとるか?」
「き、聞いてる…けど、何も頭に入ってこない」
「はぁ?なんじゃそれ」
「ごめん…あの、もうちょっと、離れてほしい」
「なっ…なんやねん、その顔…」
「えっ。な、なんか変な顔してる?」
「変なっちゅうか…赤い…」
「…見るなバカ」
「す、すまん…。ほな、やっぱ…席戻るわ」
「うん、そうして」
前の席に戻った服部。だけど変な感じになった空気は戻ることはなくて。結局持ってきたテキストは使わないまま、鞄に戻した。
(私のバカ。どうすんの、この空気)
「…明日、また店行った時教えるわ」
「あ、うん。ありがとう」
「そろそろ帰ろか。遅なったら姉ちゃん心配するやろ」
「うん。そうだね」
服部の顔が、うまく見れない。会計をすませてお店を出ても、特に何を話すでもなく家へと歩いた。
「ほな、また明日」
「あ、うん。送ってくれてありがとう。また明日」
明らかに変だけど、どうすればいいのかまったくわからないまま服部と別れて家に入る。そして気付く。お金を全て払ってもらったことに。
(うわー!やらかした!奢らせた上にお礼も言ってない!最低か!)
「あ、美衣おかえり!デートどうだった?」
「最悪…もう風呂入って寝る…」
「え?!な、何があったの…」
姉に詳しく話す気力もなくて、よろよろとお風呂へ向かった。
初デート