12 初デート
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「え?!服部くんとデート?!」
「前の埋め合わせと昨日のお礼の、だけどね」
珍しく出掛ける準備をしてる私に姉がどこへ行くのかと聞いてきたから、正直に答える。
「デートならもっと可愛い格好しなくちゃ!私のワンピース貸してあげる!」
「いいよ、これで」
「駄目よ!髪も化粧ももっとしっかりしまょ!やってあげる!」
「え、いや、本当に大丈夫」
「美衣!デートに普段着で行くなんて失礼よ」
「あ…はい…」
ガシッと腕を掴まれて、姉の圧に思わず頷く。されるがまま服を着替え、メイクをされてヘアセットまで。鏡に映る自分は見慣れない姿。
「うん、可愛い!服部くんもきっと褒めてくれるよ!」
「お姉ならそうだろうけど、気合入れすぎって笑われそう」
「そんなわけないじゃない。どうして美衣はそんなに自分を卑下するの?」
「卑下してるつもりはないけど。事実を言ってるだけで」
「それが卑下してるっていうの!ちゃんと可愛いんだから、もっと自信持って」
「…ん。ありがと、お姉」
自分よりも可愛い姉にそう言われて、自信が持てるわけがない。でも別に、見た目が全てじゃないし、私は私の良いとこがあると思ってる。だから大丈夫。
「あ、服部来た。じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
また迷子になるといけないからと。今回、服部は家まで迎えに来てくれた。インターホンで姿を確認して玄関へ向かう。
「服部。お待たせ」
「…おう。ほな、行こか」
「どうかした?動きロボットみたいだけど」
「あ、あんたがそんなめかしこんで来るからやろ!」
「ああ、これ。お姉に圧かけられて…ごめん。めっちゃ気合い入ってるみたいで嫌だよね」
「はぁ?ちゃうわ!可愛くてびっくりしただけや!」
「え…」
「ちゅうか、デートに気合い入れて来て嫌とかないわ。嬉しいに決まっとるやろ」
可愛い。今、可愛いって言ったのか。きっとあれだ。姉が全てやってくれたから、姉みたいで可愛い的な。きっと、そうゆう意味。
「美衣?」
「あ…っと、ありがとね。お姉の可愛さには到底及ばないけど」
「…確かにあんたの姉さんは可愛ええけど、俺にはあんたも負けんくらい可愛く見えてんで」
「や、それは嘘でしょ」
「おいこら。真顔で否定してんとちゃうぞ。こんな嘘つくかボケ」
「服部はこうゆう雰囲気がタイプってこと?」
「…雰囲気っちゅうか、俺はあんたの姉さんより、あんたのがタイプや」
「…マジか。変わってんね」
「やかましわ。行くで」
初めて言われた。いつも可愛いって褒められるのは姉で。それは当然のことだと思ってた。誰がどう見ても、わかる事実。
(服部、私のこと可愛いって思ってくれてるんだ…な、なんか、急にめっちゃ恥ずかしい)
「…なんか喋れや」
「なんかって、なに」
「なんでもええ」
「無茶振りがすぎる。じゃあ…元カノのこと、今はどう思ってる?」
「はぁ?!なんやねん急に!」
「なんでもいいって言ったじゃん」
「言うたけどっ…別に、どうもこうも、普通の幼馴染や」
「まだ好きなの?」
「それはない。自分でも驚くほど、綺麗に消えてもうて。あれはホンマは、家族愛みたいなもんやったんちゃうかって思うくらいや」
どこか遠くを見つめるような服部の横顔。普通の、なんて嘘ばっかり。恋愛感情はなくてもその人はきっと今も彼の特別だ。
「消えてないよ。形を変えただけで、今もまだちゃんとあるよ。服部の中に」
「…そうやな。ちゅうか、俺だけズルいやんけ。お前もなんか元彼の話せぇよ」
「いないものの話は出来ない」
「おらへんのか」
「うん。私はご存知の通りヤイバー一筋ですから」
「あー、せやったな。聞いた俺がアホやったわ」
よかった。いつも通りに話せてる。さっきの胸のドキドキもおさまった。
「お、ここや、ここ」
「和食屋さん?」
「ああ。ここ小鉢で色んな料理ちょっとずつ楽しむスタイルらしくてな」
「めっちゃいいね。そうゆうの大好き」
「やと思ったわ。すんません。予約した服部です」
「はい。お待ちしてました。こちらにどうぞ」
わざわざ私の好きそうなお店を予約してくれたのか。めちゃくちゃデートっぽい、なんて思ったらまた少しドキドキしてきて。バレないようにと視線をメニューへ落とした。