11 最高の調味料
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「いらっしゃい。お待ちしてました」
黒羽とコナンくんと服部が退院した次の日の閉店後。私とお姉は彼等をお店に招待した。
「わぁ!すごい!お店が飾り付けてある!」
「ふふ。私が飾ったの。見て、これ。みんなの顔も作っちゃった」
「すごいですね。営業後にこんな…大変だったでしょう。ありがとうございます」
「いえいえ!私は全然!美衣の方がよっぽど頑張ってました!」
「みたいやな。ごっつ御馳走が並んどる。食うてええか?」
「いいよ。頑張ったあとは美味しいご飯に限る」
「ありがとう!美衣お姉さん!」
「マジですげぇよ。ありがとな」
美味しそうに食べてくれる顔を見て、頑張ってよかったと思う。夏休みが終わるまで、あと5日。
「コナンくん、足平気?」
「うん。まだ松葉杖だけど、もう痛くないし」
「コナンくん。このグラタン、骨折スペシャルだから食べて」
「ありがとう、美衣お姉さん!名前がちょっと気になるけど…」
「黒羽はこれ。腹に風穴記念ステーキ。特製ソース添え」
「いや言い方!めっちゃ美味そうだけども!」
「服部はこれ。これであなたもご機嫌アクアパッツァ」
「おいこら!なんか俺のだけちゃうやんけ!」
「いや、なんか病院行った時怒らせたみたいだったから」
「怒ってへんわボケ!」
「ふふ。美衣のネーミングセンス、直球ですごくいいよね」
姉のシスコンぶりに苦笑いなコナンくんと黒羽。自分も人のことは言えないけれど。
「お。これ、玉子焼きか?ひとつだけやけにシンプルだな」
「あ、それは…」
「それは愛情100%お姉による黒羽の為の卵焼き」
「ちょっ、美衣!!言わない約束だったじゃない!」
「名前を発表しただけですが」
「い、意地悪っ!」
「…あの、本当に紗奈さんが俺の為に、作ってくれたんですか?」
「あ…えっと…は、はい。で、でもあの!美衣みたいに上手じゃないし、無理して食べなくても!」
姉の言葉を聞き終わる前に、黒羽が卵焼きを口の中へ。それを真っ赤な顔をして心配そうに見守る姉。
「美味しいです、すごく。今まで食べた卵焼きの中で1番」
「えっ…あ、ありがとうございます…!でも、1番だなんて、そんなわけ…」
「あるよ、お姉。愛情は最高の調味料だから」
「へぁ…きょ、恐縮です…」
「熱くてかなわんな。お前ら2人であっちの席座れや」
「そうだね。それがいいよ」
「僻むなよオメー等」
「わ、私!ちょっとトイレ行ってきます!」
恥ずかしさに耐えられなくなった姉がバタバタとトイレに駆け込む。締りのない顔をしてる黒羽。
「さっさと付き合えや」
「僕も平次兄ちゃんに同感」
「私も」
「うっせぇな。俺らには俺らのペースがあんだよ。つーか、幼馴染と散々焦れったい関係だったお前らに言われたくねぇよ」
「お前かて同じやろが」
「ほんとだよ」
「元カノの話?」
「そうなんだよ、美衣。こいつ元カノが幼馴染なんだけどよ。見るからに両思いなのに超焦れったくてさぁ」
「喧嘩売っとんのかワレ。お前も似たようなもんやったやろが」
黒羽と服部がぎゃあぎゃあ言い合いだして、それを聞き流しながら目の前の生春巻きに手を伸ばす。
「気になる?平次兄ちゃんの元カノ」
「え?いや全く」
「そ、そう…」
「過去ってその人が積み重ねてきたもので、それで今のその人が出来てて。過去に何してようが、それで今どうしてるのか、どう思ってるのか、どう生きてるかが大事だと思うのね」
「つまり、平次兄ちゃんに限らず、過去自体にそんな興味はないって事だね」
「その通り。さすがコナンくん、賢いね」
「じゃあ、平次兄ちゃんが今その元カノの幼馴染の人の事、どう思ってるかは気になる?」
「…ちょっとだけ。内緒だよ」
「う、うん。わかった」
なかなか戻ってこない姉の様子を見にトイレに行ってくるとコナンくんに伝え、席を立つ。案の定、姉は洗面台のところで火照ったままの頬を両手で抑えていた。
「お姉、せっかくみんないるんだから戻ろう」
「戻りたいのは山々だけど、顔の赤さが戻らないんだもん」
「大丈夫。赤くても可愛い」
「そ、そうゆう問題じゃないの!もう…」
「じゃあちょっと冷ましに行くといい。デザートに使う予定だったバニラアイス買い忘れてたから、頼める?」
「あ、うん!もちろん!買ってくる!」
「ありがとう」
一緒にトイレを出たかと思うと、姉は早口でちょっと買い物に行ってきますと言って足早にお店を出た。
「黒羽、もう暗くなるしついてってあげてほしい」
「お、おう!もちろん!」
「なんならそのまま連れ帰ってもよし」
「ばっ、バーロー!んな事するかよ!行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
姉を追ってお店を出て行く黒羽。もちろんバニラアイスを買い忘れたなんて嘘だ。姉が戻る前に消費しようと、冷凍庫を開けた。