7 新たな日常
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「ねぇ、服部。私ってしつこい?」
お店の閉店後。服部の前にオムライスを置きながらそう聞くと、彼はキョトンとした顔でこちらを見る。
「なんや急に。どっちかっちゅうとあっさりしとるやろ」
「今日、黒羽に言われた」
「はぁ?なんでや」
「ヤイバーの話してたら、同じ話を何度もすんな!しつけぇよ!って」
「あー、それに関しちゃ黒羽が正しいわ」
「マジか。でも好きな人の話って何度もしたくなるもんでしょうよ」
「あんたの場合、ホンマに同じ話やからやろ。人が同じでもエピソードがちゃえば聞けるけど」
「そんな事言っても、ショー見たの1回だし、他はアニメの感想になっちゃう」
もうこちらには見向きもせずにご飯を食べ始める服部。家から持ってきた勉強道具を手に彼の隣の席に座る。
「そこ。公式ちゃうで」
「え?どこ」
「問3。あと問2、計算違いや」
「…本当だ。全く見てないようでよく見てるよね、服部」
「あんたは相変わらず一言余計じゃ」
「あ、お姉からメッセージ。ちょっとごめん」
「おー」
スマホを見ると、私宛に荷物が届いたと写真が送られてきていた。最近頼んだ物といえばひとつしかない。
「届いた!服部、見て!たこ焼き器届いた!」
「ホンマか!ちゅうことは、明日はたこ焼き食えるんか?」
「いや、それはまだ。納得いく味になるまで練習させて」
「練習て。別に店に出すんじゃあるまいし」
「駄目。これは服部へのお礼の品だから。納得できるものじゃなきゃ食べさせられない」
「そうゆうことなら、もうちょい待つわ。自分、頑固やから言ったって聞かへんやろうし」
「うん、これは譲れない」
「手止まってんで」
「あ、そうだった」
つい頭の中でどんなたこ焼きにしようとか考えてしまっていた。目の前の問題に視線を戻す。
「ごちそうさん。今日も美味かったわ」
「卵、ふわふわにしたけど硬めのが好きだった?」
「美味かったらどっちでもええ」
「じゃあ中のご飯はチキンライスとバターライス、どっちが好き?」
「美味かったらどっちでもええ」
「…あ、そう」
「何やその顔!ホンマにそうなんやからしゃあないやろ!ちゅうか、別にメニューと同じもんでええで?」
「だってもう全メニュー制覇してるじゃん。単品のご飯メニューはそんな充実してないし。飽きるでしょ。同じのばっかだと」
こちらとしても、もう飽きたと思われるのはなんか嫌だ。せっかく気に入ってもらえたら私の味を、ずっと美味しいと思って欲しい。
「別に飽きひんけど、まぁ俺としちゃ有難いで。あんたの色んな料理食べれるんは」
「私的にもそっちのがいい。なに食べても美味いって言わせてやるってむしろ燃える」
「ほーん。かっこええやんけ。その答え間違うてるけど」
「マジか。もー、絶対こんな数式生きてる上で必要ないのになんで習うんだろ」
「まぁ大半がそうなんやろうけど、これ習うてめっちゃおもろいって数学者になる奴がおるかもしれんし、だからこれはこうなんやって新たな発見をする奴がおるかもしれへん。今、俺があんたに教えてやれるんも、習ったおかげやしな?」
「…なるほど」
「知識は財産や。多くのことを知っとれば知っとる程、選択肢が増える。解決できる問題が増えるってもんやで」
服部の言葉は、すごく納得出来た。料理と同じだ。材料の善し悪し、調味料の相性、調理法。知ってれば知ってるだけ、完成の幅は広がる。
「服部、先生になれるよ」
「そらどーも。けど俺は探偵やし、誰でも彼でも教えたろって気になる訳ちゃうで」
「え。そうなの?じゃあ私はなんで教えてくれる気になったの?」
「そら自分の作ったたこ焼きが食ってみたかったからや」
「…そんなに食べたい?私のたこ焼き」
「おん。めっちゃ楽しみにしとんで」
どうやら思った以上に私は服部の胃袋を鷲掴みしてるようだ。それは、とても嬉しくて幸せな事だ。
「任せて。絶対美味しいやつ作る」
「期待しとくわ。ほな次、英語いこか」
「イエス!ティーチャー!」
「発音下っ手くそやな」
「む。じゃあ服部言ってみてよ」
「Yes.teacher」
「…実は外国の方?」
「な訳あるか。早うテキスト開け」
英語までペラペラだなんて、逆に何が出来ないのか気になってくる。そう思いながらテキストを開いた。
新たな日常