6 休日
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「で、たこ焼き食べたさに家庭教師引き受けたのか?すっかり胃袋掴まれてんな、服部」
「放っとけ」
本当はヤイバーのショーをダシにしようと思っていたけど、あんな素直に喜ばれてはとても言い出せなくて。
どうしようかと思っていた時にちょうどいい話題が持ち上がって、これだと交換条件を取りつけた。
「せやかて気になるやろ?あの料理上手が作るたこ焼きがどんなんか!」
「まぁ食べてはみてぇけど、別にそこまでは」
「これやからお子ちゃまは」
「同い歳だっての。ショー行くなら動画撮っといてくれよ。歩美のやつ、だいぶ落ち込んでたから」
「はぁ?!なんでガキ向けのショーを動画撮らなあかんねん!そない恥ずかしいこと出来るか!」
「見に行くんだから同じようなもんだろ?頼んだぜ」
ただ見てるのと動画を撮ってるのでは、かなり違う。そんな事をしたらめちゃくちゃファンみたいではないか。
「ショーの動画を撮れって?」
「ああ。自分、ファンなんやろ?せやったら動画撮ってなんべんも見返せるようにしたらええんとちゃうか」
ショーの開始30分前。デパート前で美衣と集合して会場である屋上へと向かう。
「うーん。動画撮るよりこの目にしかと焼き付けたい!画面越しはもう何度も見てるし」
「ああ…さよか…」
「そういえば服部はいつからこっちに住んでるの?」
「夏休み中だけや。普段は大阪に住んどる」
「あ、そうなの?夏休み中だけ東京にいるんだ」
「ああ。親友に会うためにな」
「へぇ。情に厚いんだね、服部」
「まぁな。おー、割と人おんな。ガキばっかやけど」
屋上に着くと特設ステージの前に並べられた椅子にはたくさんの子供達。空いてる後ろの方に腰掛けた。
「楽しみー!やっと生のヤイバーが見れる…!」
「…ヤイバー役の俳優が好きとかちゃうんか?」
「違うよ。ヤイバーが好き。ヒーローってかっこいいじゃん」
「ほーん。意外と精神年齢低いねんな」
「服部ってデリカシーないって言われない?」
「悪かったなぁデリカシーのうて」
「まぁ初対面の人睨みつけるくらいだもんね」
「あんたさては根に持つタイプやな?」
「お姉の敵は私の敵だから」
初めて店の外で見る美衣は、なんだかいつもより幼く見えた。ワクワクしてるのが見てわかるからかもしれない。
「おい、聞いたか?駐車場で事件だとよ」
「え?うそ。大丈夫なの?」
「おい、あんた!それどこの駐車場や」
「え?こ、このデパートの地下だけど…」
「美衣!すぐ戻るさかい!ここおれよ!」
「え?あ、うん」
地下に降りるのに1番早いのはエレベーターだけど。この時間帯は割と混み合うし各階に止まることを考えれば階段の方が早い。
駐車場について野次馬をかきわけながら前に出ると、既に警察が到着していて。その中に知った顔を見つける。
「高木はん!」
「服部くん?!久しぶりだね。コナンくん達と一緒かい?」
「いや、今日は俺1人や」
「1人?珍しいね。あ、もしかしてあの幼馴染の彼女とデートかい?」
「ああ、いや。和葉とはもう別れてん」
「え?!そ、そうなの?!なんかごめんよ」
「かまへん、かまへん。終わったことや。それより、事件について聞かせてくれへんか」
幼馴染で、元彼女で。デート中に事件が起きて放ったらかしにするなんて事、数え切れない程あった。その度にやんやん言いながらも許してくれていた彼女に、甘えていたんだろうと。今なら思う。
もう嫌やと、彼女の涙を見るまで気付けなかった自分に心底腹がたった。小さなほころびを解こうと思った時にはもう、遅かった。
「しょぼい事件やったな」
「協力ありがとう。服部くん。この後事情調子をとりたいから、署に来れるかい?」
「ああ、かまへん…って!忘れとった!すまん、高木はん!人待たしてんねん!署にはまた後日行くさかい!ほな!」
「あ、ああ!わかった!人を待たせてたのを忘れてたって…デートとかじゃないといいけど」
ショーは30分。自分が屋上を飛び出してからはもう既に3時間は経っている。スマホを見ればメッセージが1件。もちろん、美衣。
ー先に帰るね
経験上、こうゆう時はメッセージではなく電話一択だ。怒られるのを覚悟して、電話をかけた。