4 マイゴット
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関西弁の男はナポリタンをぺろっと平らげた後、プリンアラモードまで綺麗に完食した。
「めっちゃ美味かったわ。ご馳走さん」
「コーヒーおかわりいる?サービス」
「お、ええんか?もらうわ」
「うん。売上貢献のお礼に」
「はは。普通そうゆうんは思っとっても言わへんやろ。おもろいな、自分」
「どうも。おもろついでにちょっとご飯食べていい?」
「おー、食え食え。自分は下で食わへんのやな」
「うん。いつお客が来てもいいように私はずっとここにいる」
おにぎりを食べる間も、コーヒー片手に男はじっとこちらを見ている。もうお姉への疑惑は晴れたはずだけど。
「まだ何かある?」
「いや…姉妹でも似てへんのやなって」
「…セクハラで警察呼ぶよ」
「あ、アホ!胸の話とちゃうわ!それも思うたけど!」
「素直か。私はお姉みたいに可愛くないし、胸もない。せめてどっちかはあってもよかったよね。神ひどくない?」
「ん?いや、可愛ええやろ。胸はあらへんけど」
「いいよ、気遣わなくても。わかってるから」
「は?気遣うとかそんなんと」
「あー!やっぱりここにいやがった!!」
勢いよくドアが開いて、大きな声がする。息を切らした黒羽さんがズカズカと男に歩み寄る。
「服部!ここで何してんだよ!」
「何って、飯食うてんねん。今は食後のコーヒー中やけどな」
「嘘つけ!どうせ紗奈さんのこと見に来たんだろ?!店の名前は伏せたのに、これだから探偵はっ」
「まぁ落ち着けや黒羽。その紗奈さんが驚いとんで」
「えっ?!」
「お姉。もう食べたの?」
「あ、ううん。大きな声が上から聞こえたから、どうしたのかと思って」
ドアのところでこちらの様子を伺っている姉。黒羽さんは慌てた様子で掴んでいた男の胸倉から手を離す。
「す、すみません。騒がしくしてしまって」
「いえいえ!また来てくださって嬉しいです、黒羽さん」
「あ、今日はその、服部…この人を迎えに来ただけなんですけど」
「さっきお知り合いだと聞きました。仲がいいんですね」
「ええ、まぁ」
「お姉。早くしないとランチはじまる」
「あ、そうね!すぐ食べてくる!じゃあ黒羽さん、ごゆっくり」
ぺこりと頭を下げて姉が再び下へ降りていく。閉じたドアを見て、黒羽さんが大きなため息をこぼす。
「…黒羽さん、お姉のこと好きなの?」
「え?!い、いや!そうゆう訳じゃっ」
「いーや、完全に好きやでこれは。昨日も電話しながらニヤニヤしおってな」
「服部!お前ちょっと黙っとけ!」
「ははーん。誑かされたって心配してた友達、黒羽さんか」
「え?」
「この人、お姉が友達を誑かしたんじゃないかって殴り込んで来て」
「おいコラ。殴り込んでは明らか言い過ぎやろが」
「服部…お前、俺を心配して?」
「アホ。お前の弱み握ったろ思うただけや」
頬杖をついてふいっと顔を逸らしてそんな事言ってるけど、あれは弱みを握ろうなんて人の態度じゃなかった。
「あー、その、美衣、ちゃん」
「呼び捨てでいいよ」
「じゃあ、美衣。まだ出会って3日だし、好きとかそうゆうんじゃなくて、ただ助けてもらったお礼がしたいっつーか、力になりたいっつーか、そうゆう感じだから…」
「それを人は恋と呼ぶのでは?」
「ナイスや妹!!素直に認めたらどうや黒羽」
「だっ…だってよ…まだ出会って3日だぜ?なのに…」
「時間なんて関係ない。落ちる時は落ちるもんだよ、恋なんて。知らんけど」
「知らへんのかい!!せっかくのええ台詞が台無しやんけ!」
少し頬を赤らめて戸惑っている様子の黒羽さん。時間とか歳とか見た目とか、そんなのはどうでもいい。私は姉が幸せなら、姉を幸せにしてくれる人なら、誰だっていい。
「お姉、めっちゃ鈍感だから頑張って。黒羽さん」
「おー、サンキュ。てか、同い歳なんだろ?さんなんて付けなくていいって」
「あ、そうだった。じゃあ黒ちゃん」
「なんでだよ?!普通に黒羽でいいだろ!」
「可愛くない?黒ちゃん」
「わはは!ええやんけ!黒ちゃん!似合うとるで!」
「この…他人事だと思って…美衣、こいつ服部平次っつーんだ。好きに呼んでやってくれ」
「服部平次…じゃあ、はっとんかな」
「なんやその豚みたいなあだ名は!!」
「だはは!お似合いだぜはっとん!」
もし学校に行ってたら、クラスメイトとの会話ってこんな感じなんだろうか。なんて思いながら楽しそうな2人を眺めた。
その後、姉が戻ってきて。忙しくなる前にと黒羽と服部は帰っていった。
「随分楽しそうだったね。笑い声が下まで聞こえてきたよ」
「ごめん。うるさかった?」
「ううん。全然。さ、ランチも頑張ろ!」
学校に行けてないことを、そこまで悲観したことはないけど。クラスメイトってゆう存在は羨ましいと思う。
約束しなくても会える関係。他愛のないことを話せる関係。身内以外にそんな人がいるって、どんな感覚なんだろうと思いながら、今日最初のランチプレートを作り始めた。