2 守りたい場所
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「すごい!もう終わっちゃった!やっぱり男手があると助かります。本当にありがとうございます」
「いえいえ。このくらいお易い御用ですよ」
運搬予定だった家具も食器もあっという間に運び終えて。今度は古い食器が入ったダンボールを下へと運んでもらっている。
「あの、厚かましくて申し訳ないんですけど、もうひとつお願いしてもいいですか?」
「もちろん。何でしょう」
「廊下の電球を替えてほしくて…持ってる脚立で届かなくてもうずっと放置してあるんです」
「任せてください。他にも切れそうなところがあれば替えますよ」
「ありがとうございます!とても紳士な方ですね」
「いえ。それは、先にたくさん良くしていただいたからで。あなたの優しさあってこそですよ」
「ふふ。マジシャンさんって口も上手なのね」
替えの電球と脚立を持って、電球を替えてもらう。久しぶりに明るい廊下を見て思わず拍手する。
「明るーい!これで夜トイレ行くのに怖々しなくてすみます!」
「はは。ずっと怖かったんですね」
「あ、やだ。私ってば。子どもっぽくてすみません」
「とんでもない。とても可愛らしいと思いますよ」
「あ、ありがとうございます。上に行きましょうか!美衣達を手伝わないと」
「あの、よろしければ名前を伺っても?」
「え?あ、うそ!私ったら名乗りもせずに?!すみません!野々村紗奈です!」
「いえいえ!名乗ってないのはお互い様ですから!黒羽快斗です。どうぞよろしく」
自己紹介もせずに手伝わせていたなんて。自分のマヌケさに恥ずかしくなりながら、お店に上がる。
「あ、ちょうど戻ってきた。お疲れ。お姉、黒羽さん」
「美衣お姉さんがお昼ご飯作ってくれたよ」
「マジで!!っと、すみません。嬉しくてつい」
「いい反応してくれるじゃん。そっちが素ならそっちでいいよ。ね?お姉」
「もちろん。気を遣わずに過ごされてください。黒羽さん」
「あ、いや、はい。ありがとうございます」
カウンターに置かれたふわふわのオムライス。これは妹の得意料理のひとつで、サービスで出すってことは、2人のことを気に入ったようだ。
「うっま…!なんだこれ。卵ふわっふわ!」
「ほんと、すっごく美味しいよ!」
「でしょう?美衣はとっても料理上手なの」
「他はなんにも出来ないけどね」
「いやいや、この腕があれば他はいらねぇって。なぁ?」
「うん。天職だね、美衣お姉さん」
「そんな褒められるとデザートも出しちゃう」
「まじで!やった!」
「わーい!ありがとう!」
ドアの開く音がしてお客さんが入ってくる。お席に案内してお水を運んでると、次々にお客さんが。
「紗奈ちゃん、来たよ」
「紗奈さーん。久々!」
「紗奈ちゃん、後でちょっと聞いてくれよ」
「みなさん、いらっしゃいませ!すぐお水お持ちしますからかけてお待ちください」
常連の人達で賑わう店内。忙しくなく働くお姉を眺めてるコナンくんと黒羽さん。
「なるほど。紗奈さんは接客が天職って感じだな」
「みたいだね。すごく感じいいし、みんな紗奈お姉さんと話したがってる」
「ふふん。すごいでしょ。誰とでも仲良くできる、自慢のお姉なんだ」
「美衣ー!1〜3卓、Aランチ。5卓ナポリタン、食後にコーヒー3、カフェオレ1ね」
「あいよ」
ピーク時に入り、更にお客さんは増えてくる。コナンくんと黒羽さんは席が少なくなってきたのを気にして、立ち上がる。
「ごちそうさん。お金ここに置いとくな」
「ご馳走様。またね、美衣お姉さん」
「あ、お金いらないのに…って、もういないし」
カウンターの上を見れば多すぎるお金とメモ用紙。そこには、男手が必要な時はいつでも連絡してな、とゆう文字と電話番号。
(神かよ。でもさすがにこのお金は受け取れない。今度会ったら返そう)
そう思い、一旦食器と一緒に回収して戸棚の隅に置く。
「美衣、ご新規2名様Bランチ。デザート付きね」
「あいよ」
とにかく今は溜まったメニューをさばかなくては。メモの事は後でお姉に話そう。そう思ってフライパンを握った。
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