14 おおさからばーず
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「そんじゃ、夕飯は別々で食おうぜ」
せっかく4人揃ったというのに、夕飯のお店を相談してると黒羽がそう言った。
「えー!せっかく4人揃ったのに?」
「大阪美女を捕まえに行くつもり?」
「違ぇよ!ほら、堤!行くぞ!」
「え。何故」
「黒羽ってば紗奈と2人きりになりたかったの?!言ってよもー!」
「あー、もうそれでいいよ!決めてこいよ服部!」
「何を決めるの?お店?」
「もうお前は黙ってろ」
強引に黒羽に連れて行かれる紗奈。そうゆうことなら仕方ない。
「黒羽ったらみずくさいね。早く言ってくれたいいのに」
「あいつは空気読むんが上手いからな」
「ん?」
「なんでもあらへん。何食いたい?」
「お好み焼きとたこ焼きは食べたから、串カツ!」
「お、ええな。美味いとこあんで」
「やった!楽しみ!」
歩き出した私達。ふと手に温かさを感じて視線を動かせば、服部の大きな手が私のそれを握っている。
「…なんで手繋ぐの?」
「ほなお前は、さっきなんで俺の手握ったん?」
「あれは、気付いたら握ってて…自分でもよくわからないといいますか。私の右手がすみません」
「別にええけどな。野々村なら」
「えっとそれで、服部は何故私の手を?」
「なんや。嫌なんか」
「嫌っていうか…なんか、恥ずかしい」
「お前にも羞恥心があんねんな」
「あるわ!人をなんだと思ってんだ!」
「アホの子」
「ぐぬ…言い返せない…!」
「はは。ほんま、アホやなぁ」
そう言って笑う服部の横顔を見て、ひとつの答えが出た。あの時の胸のザワつきは。
「野々村?どないしたん?」
「…服部のアホには、愛がつまってるんだよね」
「ああ、せやで」
「誰彼構わず愛を振りまくのはどうかと思う」
「はぁ?何を言うてんねん」
「だって服部、よくアホって言うじゃん。紗奈にも、遠山さんにも。それって色んな人に好き好き言ってるのと同じでしょ」
「あ、アホ!!野々村に向けてのだけに決まっとるやろ!」
「へ?」
「ちゅうか、ちゃんとそう言うたやろ?!俺がお前に言うアホには愛がこもっとんやって!」
「そ、そうだっけ?」
きょとんとする私に服部は盛大なため息をこぼす。そう言われてみれば、そんな気もしてきた。
「ほんっまにお前は…アホ。どアホ」
「めっちゃ好きってこと?」
「おん。めっちゃ好きやで」
冗談のつもりで言ったのに。そんな優しい顔して笑うなんて思わなくて。心臓が、うるさい。
(あ。もしかして、全然違うって…この顔のこと…?)
「嫌やったんとちゃう?俺と和葉がまた付き合うかもって思うて」
「え…」
「せやから、無意識に手、握ったんちゃうんか?」
「…確かに、そうかも。やり直そうって言うのかな、嫌だなって思ってた」
「なんで嫌なん?」
「なんで…?だって、服部に彼女が出来たら今みたいに一緒にいれなくなっちゃうから」
「なんで一緒におれんくなんのが嫌なん?」
私の手を握る服部の手に、力がこもる。自分でもまだ気づいてない気持ちに導いてくれてるのがわかる。
「…服部といるの、楽しいから。もっと一緒に色んなとこ行きたいし、ずっと一緒にご飯食べて欲しい。愛のこもったアホが聞けるの、私だけがいい」
「なぁ、野々村。俺の事好きやんな?」
「うん。好き。大好き」
「そうなんちゃうかなって、思うとった」
そう言うと服部は、繋いだ手を引き寄せて私を抱きしめる。初めて感じるその体温に、体中の熱が上がっていく。
「は、服部…外だよ?」
「どうでもええ。やっと触れられるんやから」
「やっとって…触りたかったの?」
「せや。我ながらよう我慢したわ」
「えー。そうなの?言ってくれたら良かったのに」
「言えるかボケ」
「あはは。そっか。にしても、さすが探偵だね。私が気付くより先に、私の気持ち知ってたなんて」
「野々村は顔に全部書いてあんねん。それでも、確かな証拠がほしくて今日まで黙っとったんやけどな」
前に服部が言ってた証拠って、この事だったのか。色んなことが頭の中で繋がっていく。
「お腹空いたよ服部」
「お前…ムードっちゅうもんを知らんのか」
「知ってるけど、腹が減ってはラブも出来ぬ」
「聞いたことないわ。ほんま、アホやな」
私を抱きしめてた腕を解いて、ぽんと優しく頭を叩く服部。好きだって言われた気がした。
おおさからばーず