11 へんか
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浴衣レンタルの予約をしに行ったり、行きたかったカフェに行ったり、京都旅行の買い物に行ったり。私と服部は放課後2人でいる率が高くなった。
その度、彼のバイクの後ろに乗せてもらっていたせいだろか。
「あの!野々村先輩と服部先輩って付き合ってるんですか?!」
「うわ、顔ちっちゃ!肌きれい!」
「美衣。質問に答えてあげなさいよ」
「あ、そっか!ごめん!付き合ってないよ!」
「ほんとですか?!よかったぁ!ありがとうございました!」
「…若いっていいねぇ」
「たったの一歳差でしょ」
こんな風に、付き合ってるのかと尋ねられることが増えた。服部がモテるのは知ってたけど改めて実感する。
「さっきの子、確か読モやってる子だよ」
「読モ!どうりで可愛かったわけだ」
「服部くんもやるわね。うかうかしてると取られちゃうかもよ?」
「取られるも何も、私はただの友達だもん」
「でも今日のお祭り一緒に行くんでしょう?」
「そう!楽しみー!志保も工藤と行くんだよね?」
「ええ。紗奈は?黒羽と行くの?」
「ううん。なんも約束してない」
「え、そうなの?てっきり黒羽と行くのかと思ってた」
「なんで。黒羽、違う学部にも友達多いし、そっちと行くんじゃない」
確かに黒羽は色んなとこに友達がいる。漠然といつもいるメンバーの中で考えてしまっていたけど、友好関係は何もここだけじゃない。
(服部も、私が知らないだけで他に仲良しな人とかいるのかな)
「あ、ねぇ。あれ」
「え?わお。服部が女の子に囲まれてる」
「確か違う学部の子達ね」
「おー。服部モテてんな。やっぱSNSの力はすげぇや」
「黒羽。SNSって?」
「服部、前の日曜日に剣道の試合出てさ。そん時の動画が話題になってるっぽいぜ」
「へぇ。見つかるかな」
紗奈がスマホを取り出しSNSを開く。剣道、大会で検索をかけると動画はすぐに見つかった。
「これね。イケメンな剣士発見、ですって」
「コメント数すご」
「元々、探偵としての知名度もあるしな服部は。そんで、動画を上げた人が読者モデルでそれなりに人気あるとかで、余計注目されてるんだと」
「あ、美衣。このアイコン、さっきの子だ」
「本当だ!世間は狭いねぇ」
「そこなの?」
スマホから視線を服部へ戻す。話してる女の子の中に、ポニーテールの子を見つける。写真で見た元カノみたいな。
(…似てるとか、思うのかな)
「先行ってるから、服部呼んでこいよ野々村」
「え?なんで私」
「気になるって顔に書いてある」
「あなたが呼べばすぐ来るわよ」
そう言うと3人は席取りをしてる工藤の元へ行ってしまう。気になるのは事実だし、近づいて声をかける。
「服部。みんな待ってるよ」
「おう、野々村。すまんすまん。今行くわ」
「えー!服部くん行っちゃうの」
「私達とご飯食べようよ」
「先約があんねん。ほな」
名残惜しそうな女の子達にそう言って歩き出す。私もそれについて行きながら、ちらっと後ろを見る。
「話の邪魔しちゃった?」
「いや全然。なんや色々質問ふっかけられてただけやし」
「服部、プチバズりしてたからしょうがないよ」
「それがなんやっちゅうねん。しょうもな」
「ポニーテールの子いたね」
「それが何や」
「幼馴染さんと似てるとか思うの?」
「思うか。全然似てへんかったしな」
「ふぅん」
そんなこと聞いて、なんて答えて欲しかったんだろう。自分でも質問の意図も答えもわからない。
「あの、服部先輩」
「ん?なんや」
声をかけてきたは例の読モの女の子。もじもじしながら服部を見あげるその顔は、同性の私から見ても可愛い。
「ちょっとお時間ありますか?探偵の先輩に相談したいことがあって…」
「なんや。事件か?」
「似たようなものです。実はストーカーに悩んでて…」
「ストーカーか。詳しゅう聞こか」
「あ、でも、ここじゃちょっと…」
言いながら、私の方を見る女の子。プライベートな話だし他の人に聞かれたくないのだろう。
「服部、みんなには言っとくから静かな所で相談のってあげなよ」
「ああ、すまん。頼むわ」
「ありがとうございます、野々村先輩」
「いえいえ。じゃあ私は行くから」
服部と女の子が2人で食堂を出て行く。その後ろ姿をなんとなく見送って、みんなの元へ。
「あれ。服部は?」
「相談あるって言われて、静かなところ行った。なんかストーカーに悩んでるみたいで」
「ストーカーか。警察も動きにくい分野だからな」
「それってもしかしてさっきの読者モデルの子?」
「うん。可愛いのも大変だよね」
「…本当ならね」
ぼそっと志保の呟いた言葉の意味を深く考えることはなく、お昼ご飯に手を伸ばした。
へんか